AI・自動化字幕制作配信

機械翻訳

Machine Translation(MT) / キカイホンヤク

ある言語の文章をコンピューターが別の言語に訳す技術です。現在はニューラルネットワークによる方式が主流で、映像の分野では字幕の多言語化や海外向け番組の翻訳の下訳に使われています。

英語表記
Machine Translation(MT)
方式の移り変わり
ルールベース、統計的機械翻訳、ニューラル機械翻訳(NMT)、大規模言語モデルによる翻訳
NMTで広く使われる構造
Transformer(2017年に発表)
字幕での主な使い方
原語字幕の下訳を作り、翻訳者が修正するポストエディット
ポストエディットの国際規格
ISO 18587
一般に知られるサービスの例
Google翻訳、DeepL

機械翻訳にかけた字幕は、訳文として読むと自然なのに、映像に乗せると読み切れないことがよくあります。字幕は1枚ごとに文字数と表示時間の上限がある器なので、正しい訳と字幕として使える訳が一致しないからです。

字幕での機械翻訳の使われ方

映像の現場では、機械翻訳は下訳を作る道具として使われます。日本語の番組を海外に販売する、社内向けの動画を多言語で配信する、といった場面で、まず日本語の字幕データを用意し、それを機械翻訳にかけて訳文の初稿を作ります。原語の字幕が無い素材は、音声認識で日本語の字幕を作るところから始めます。

訳文の初稿は、その言語が分かる翻訳者やチェッカーが見直して仕上げます。機械翻訳の出力を人が直すこの作業はポストエディット(MTPE)と呼ばれ、国際規格ISO 18587で要件がまとめられています。最終的な字幕は、配信先に合わせてWebVTTやSRT、TTMLなどの形式で書き出します。

画面のテロップも翻訳の対象になります。字幕に比べると見落とされやすいのですが、テロップをOCRで読み取って翻訳の下訳を作る方法もあります。

機械翻訳の仕組み

以前の機械翻訳は、文法の規則を人が書くルールベース方式や、対訳の文章から単語や句の対応を統計的に学ぶ方式でした。2016年ごろから、文全体をニューラルネットワークで読み込んで訳文を出すニューラル機械翻訳(NMT)が広まり、訳文の自然さが大きく変わりました。現在のNMTの多くは、2017年に発表されたTransformerという構造を使っています。近年は、大規模言語モデルに指示を与えて翻訳させる方法も使われています。

NMTは文単位で訳すのが基本です。字幕は1つの文が2枚、3枚に分かれて表示されることが多いので、字幕を1枚ずつ訳すと文の途中で切れた断片を訳すことになり、語順の違う言語では意味が崩れます。字幕の区切りをいったん文にまとめてから訳し、訳文を字幕の枚数に割り直すのが一般的な手順です。

字幕の機械翻訳で間違えやすい点

多い失敗は次の通りです。

  • 字幕を1枚ずつ訳して、文の途中で区切られた断片が不自然な訳になる
  • 訳文が長くなり、1行の文字数や表示時間の上限に収まらない
  • 日本語で省略された主語を取り違え、「私」と「彼」が逆になる
  • 人名や番組名、専門用語が回ごとに違う訳になる

用語の揺れには、多くの翻訳サービスが用意している用語集(グロッサリー)の機能が効きます。番組に出る固有名詞を先に登録しておくと、訳が統一されます。文字数と表示時間の問題は機械翻訳だけでは解けず、訳文の短縮とハコ割りのやり直しが必要になります。言語ごとの上限の違いと崩れ方は、動画字幕のAI翻訳で崩れる場所で詳しく扱っています。

よくある質問

動画の字幕を機械翻訳するにはどうすればいいですか

まず原語の字幕ファイルを用意し、文単位にまとめてから翻訳にかけます。訳文を字幕の区切りに戻したら、表示時間と文字数を確認し、その言語が分かる人が見直してから書き出します。

機械翻訳の字幕はそのまま使えますか

社内向けの参考字幕なら使える場合もありますが、公開する作品では人の確認が必要です。誤訳に加えて、読み切れない長さの字幕や、主語の取り違えが残りやすいためです。

YouTubeの自動翻訳字幕と何が違いますか

YouTubeの自動翻訳は、視聴者が自分の画面で表示するための機能で、制作者が訳文を確認して直すことはできません。字幕ファイルを翻訳して登録すれば、制作者が確認した訳文を全員に同じ形で見せられます。

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似ている形式との違い

名前主に使う場面機械翻訳との違い
音声認識原語の字幕・文字起こし音声を同じ言語のテキストにする。機械翻訳はテキストを別の言語に変える
音声翻訳通訳アプリ・会議の同時通訳音声認識と機械翻訳を続けて行い、話した声をそのまま別の言語にする
人手の字幕翻訳映画・配信作品の字幕翻訳者が文字数と表示時間に収まるように意訳する。機械翻訳の下訳を使う場合も最後は人が仕上げる

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