現場用語字幕制作納品送出

字幕放送

ジマクホウソウ

番組の音声を文字にした字幕を映像とは別のデータで送り、視聴者がリモコンの字幕ボタンで表示と非表示を切り替えられるようにした放送です。聴覚障害者向けのサービスとして総務省の指針で普及目標が定められています。

種別
クローズドキャプション(受信機側で表示を切り替える字幕)
地上デジタル放送の字幕符号化
ARIB STD-B24
制作・納品用の字幕ファイル
ARIB STD-B36(NAB形式を指定する局もある)
普及目標の根拠
総務省「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」(2018年策定、2023年改定)
普及目標の対象時間
6時から25時までのうち連続した18時間
生放送の主な制作方式
音声認識、リスピーク、専用キーボードによる連係入力

リモコンの字幕ボタンを押しても何も出ない番組があるのは、テレビの故障ではなく、その番組に字幕データが付いていないからです。字幕放送は映像に文字を焼き込むのではなく、字幕を別のデータとして一緒に送り、受信機が画面に重ねる仕組みで成り立っています。

字幕放送の現場での使われ方

収録番組の場合、字幕は完成した映像を見ながら字幕制作会社や局の字幕担当が作ります。台詞を1枚2行程度に区切り、表示の開始と終了のタイミングを合わせ、話者ごとに文字の色を変えるといった作業です。仕上がった字幕はARIB STD-B36のファイルやNAB形式で局に納め、局の送出設備が放送波に多重して流します。家庭のテレビ側ではARIB STD-B24に沿って符号化された字幕データを受信機が解読し、字幕ボタンが押されたときだけ表示します。

ニュースやスポーツ中継のような生放送は、放送と同時に字幕を作る必要があります。主な方式は次の通りです。

  • アナウンサーの原稿がある部分は、読まれている箇所を追いかけて字幕を出す
  • 放送音声を音声認識にかけ、誤りを人がその場で直す
  • 別室の担当者が放送音声を聞き取りやすく言い直し、その声を音声認識にかけるリスピーク
  • 専用キーボードを使い、複数の入力者が短い区切りで交代しながら打つ連係入力

どの方式でも音声より数秒遅れて字幕が出ます。生放送の字幕が少し遅れて表示されるのはこのためです。

字幕放送の普及目標と対象になる番組

総務省は2018年に「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」を定め、2023年に改定しました。字幕放送の対象時間は6時から25時までのうち連続した18時間で、対象になるのは「字幕付与可能な全ての放送番組」です。複数人が同時に話す生放送のように技術的に字幕を付けられない番組、外国語の番組、大部分が器楽演奏の音楽番組、権利処理上の理由で付けられない番組は対象から外れます。

目標値は放送事業者の種類で分かれます。NHKと県域局以外の地上系民放は対象番組の全てに字幕を付けること、県域局は2027年度までに対象番組の80%以上、BS放送は2027年度までに50%以上が目標です。字幕放送の実績は総務省が年度ごとに公表しています。

字幕放送で間違えやすい点

字幕とテロップの混同がよく起きます。テロップは演出として映像に入れる文字で、字幕放送の字幕とは別のものです。テロップで出ている内容を字幕でも重ねて出すかどうかは局や番組の方針次第で、字幕の表示位置がテロップと重ならないように調整する作業も発生します。

ネット配信との違いにも注意が必要です。放送と同じ番組を配信サービスに出すとき、ARIBの字幕データはそのままでは使えず、WebVTTやTTMLへの変換が必要になります。放送の字幕とWebの字幕の関係はクローズドキャプションの仕組みで詳しく扱っています。

よくある質問

字幕放送はどうやって表示しますか

テレビのリモコンにある「字幕」ボタンを押すと表示されます。ボタンが無い機種では、メニューの字幕設定から入にします。番組表に「字」のマークが付いている番組が字幕放送の対象です。

字幕放送の字幕を録画に残せますか

多くのレコーダーは放送の字幕データごと録画するので、再生時に字幕ボタンで表示できます。ただし、録画した番組を別の形式に変換したりダビングしたりすると、字幕データが落ちることがあります。

生放送の字幕が遅れるのはなぜですか

音声を聞いてから文字にする工程があるためです。音声認識や人の入力、誤りの確認を経て送出するので、数秒程度の遅れは避けられません。

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似ている用語との違い

名前主に使う場面字幕放送との違い
解説放送視覚障害者向け画面の情報を音声で補う放送。字幕放送は音声の情報を文字で補う
オープンキャプションSNS動画・演出字幕映像に焼き込まれているので視聴者が消せない。字幕放送の字幕は消せる
テロップ演出・情報の補足制作者が画面に入れる文字で、音声を網羅する目的ではない

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