尺
シャク
映像や音声の長さ(時間)を指す、映像制作と放送の現場用語です。フィルムの長さで上映時間を数えていた名残で、「尺が足りない」「尺を詰める」「15秒尺」のように、番組やCM、1カットの長さを言うときに使います。
- 読み
- しゃく
- 意味
- 映像・音声の長さ(時間)
- 由来
- フィルムの長さの単位フィートが、ほぼ同じ長さの1尺に重ねられた
- 英語での近い言い方
- duration、running time
- 主な単位
- 秒・フレーム(タイムコードで数える)
- よく出るCMの尺
- 15秒、30秒
「尺が足りない」と言われても、何が足りないのかすぐには分かりません。尺は映像の長さ、つまり時間のことで、この場合は放送枠を埋めるだけの使える映像が無い、という意味です。
尺が使われる現場
尺は映像制作のあらゆる場面で出てくる言葉です。代表的な使い方は次の通りです。
- 番組の長さ。「本編尺」はCMを除いた番組そのものの長さ、「全尺」は頭から最後までの長さ
- CMの長さ。「15秒尺」「30秒尺」のように、秒数で決まった枠に合わせる
- 1カットの長さ。「このカット、尺が長い」は、映像が間延びしているという意味
- 素材の長さ。「インタビューの素材尺は2時間」のように、撮影した量を言う
動詞と組み合わせた言い方も多く、「尺を詰める」は編集で短くすること、「尺を伸ばす」は足りない分を補うこと、「尺を合わせる」は決められた長さにぴったり収めることです。生放送で予定より長くなることを「押す」と言い、「尺が押している」のように使います。
語源はフィルムの長さです。映画の上映時間はフィルムの長さで数えられていて、単位のフィート(約30.5cm)が日本の長さの単位の1尺(約30.3cm)とほぼ同じだったことから、映像の長さを尺と呼ぶようになったとされています。35mmフィルムでは1フィートが16コマで、毎秒24コマなら1分が90フィートになります。
尺の数え方と工程での位置
いまの編集では、尺をタイムコードの差で数えます。編集ソフトのタイムラインで範囲を選ぶと、「00:00:14:29」のように時・分・秒・フレームで長さが表示されます。
尺が問題になる工程は主に3つあります。構成を決めるオフライン編集では、放送枠に対して本編尺を何分にするかを決め、ブロックごとに尺を配分します。仕上げの段階では、テロップやMAを入れたあとに尺がずれていないかを確かめます。納品の段階では、仕様書で決められた尺と完パケの長さが1フレームまで一致しているかを確認します。
放送局に納める素材では、尺が秒の単位で決まっていることが多く、特にCMは決められた秒数から外れると受け付けてもらえません。番組でも、送出のスケジュールが秒単位で組まれているため、本編尺がずれていると差し戻しや作り直しの対象になります。
尺で間違えやすい点
日本の放送で使う29.97fpsでは、タイムコードの数え方によって尺と実際の時間がずれます。ドロップフレームを使わないタイムコードで1時間と表示される長さは、実際の時間では約3.6秒長くなります。長尺の番組でタイムコードの種類を取り違えると、表示上は合っているのに実時間では放送枠をはみ出す、ということが起きます。
もう一つは、どこからどこまでを尺に含めるかの食い違いです。頭のカラーバーや無音区間、黒味を含めた長さを言っているのか、本編だけの長さを言っているのかで数字が変わります。尺を伝えるときは「本編尺」「全尺」のように範囲を添えると誤解が減ります。
よくある質問
映像の尺とはどういう意味ですか
映像の長さ、つまり時間のことです。番組の長さ、CMの秒数、1カットの長さなど、長さを言うときに幅広く使います。
尺の読み方は何ですか
「しゃく」と読みます。長さの単位の「尺」と同じ字で、フィルムの長さで時間を数えていた頃の言い方が残ったものです。
尺が足りないとはどういう意味ですか
放送枠や決められた長さを埋めるだけの、使える映像が無いという意味です。撮影した素材は多くても、使えるカットが少ないときにもこう言います。
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