現場用語 送出

緊急警報放送

Emergency Warning System(EWS) / キンキュウケイホウホウソウ

大津波警報・津波警報や、自治体の長からの要請があったときに、特別な緊急警報信号を前に置いて行う放送です。対応した受信機は、待機中でもこの信号を受けると自動で電源が入ります。日本では1985年に始まり、放送法施行規則で使える場面が限られています。

英語名
Emergency Warning System(EWS)
根拠となる規定
放送法施行規則第82条(緊急警報信号の使用)
第一種開始信号を使う場面
災害対策基本法第57条の規定で求められた放送、大規模地震対策特別措置法の警戒宣言の放送
第二種開始信号を使う場面
津波警報・津波特別警報(大津波警報)の放送
終了
放送のあと速やかに終了信号を送る
地域符号
受信する地域を指定する符号。使い分けは無線局運用規則第138条の3
デジタル放送での送り方
伝送制御信号(TMCC)の起動制御信号と、PMTの緊急情報記述子
開始
1985年

テレビやラジオから急に「ピロピロ」という独特の音が流れ、画面が津波の情報に切り替わった。それが緊急警報放送です。音の正体は受信機を起こすための緊急警報信号で、放送局が勝手に使ってよいものではなく、使える場面が法令で決められています。

緊急警報放送の現場での使われ方

放送法施行規則第82条は、緊急警報信号を前置して放送できる場面を次のように定めています。

  • 災害対策基本法第57条の規定で、都道府県知事や市町村長などから放送を求められたとき(第一種開始信号)
  • 大規模地震対策特別措置法の警戒宣言を放送するとき(第一種開始信号)
  • 津波警報や津波特別警報(大津波警報)を放送するとき(第二種開始信号)

放送したあとは、速やかに終了信号を送らなければなりません。規則はさらに、これ以外の場面で緊急警報信号を使ってはならないと定めています。

放送局は緊急警報信号の発生装置を送出の設備に備え、津波警報が出たときなどに信号を前置して放送します。緊急警報信号を使った放送は、そのたびに基幹放送業務日誌に記録する決まりです。NHKは受信機が正しく動くかを確かめるため、毎月、試験信号を放送しています。

制作の現場で気をつけたいのが、過去の放送の素材の扱いです。録画した災害報道の映像を番組で使ったとき、音声に入っていた緊急警報信号がそのまま流れて受信機が反応した例があります。災害報道の映像を再使用するときは、信号音が残っていないかを確かめる必要があります。

緊急警報放送の仕組み

AM・FMラジオやかつてのアナログテレビのようなアナログの放送では、警報信号を音声に重ねて送ります。1024Hzを1、640Hzを0として2つの音を切り替えるので、人の耳にも「ピロピロ」と聞こえます。

デジタル放送では、信号は音ではなく制御のデータとして送られます。ISDB-Tの伝送制御信号(TMCC)にある起動制御信号と、TSの番組情報(PMT)に入る緊急情報記述子の2つを使い、受信機は両方を確かめて緊急警報放送の受信に移ります。デジタルの信号そのものは耳に聞こえないため、NHKは知らせの音として、デジタル放送でも信号音を流しています。

信号には、特定の県だけを対象にする県域符号、それより広い範囲の広域符号、全域を対象にする地域共通符号があり、受信機は自分の地域に当てはまる信号にだけ反応します。ワンセグでも信号を受けられ、対応する端末やカーナビは自動で起動します。

緊急警報放送で間違えやすい点

混同されやすいのは、次の点です。

  • 緊急地震速報は緊急警報放送とは別の仕組みで、テレビは画面の文字とチャイムで伝える。受信機の電源を入れる働きはない
  • デジタル放送のテレビで自動で電源が入る機能を持つ機種は限られ、多くのテレビは電源が切れていると反応しない
  • 津波注意報だけでは第二種開始信号は使われない。第二種を使うのは津波警報や大津波警報のとき

よくある質問

緊急警報放送の音はなぜ鳴るのですか

待機中の受信機の電源を入れ、放送が始まったことを知らせるための緊急警報信号です。アナログの放送では信号そのものが音として聞こえ、デジタル放送でもNHKは知らせの音として流しています。

緊急警報放送と緊急地震速報の違いは何ですか

緊急警報放送は、津波警報や自治体からの要請で、受信機を起動させる信号を前に置いて行う放送です。緊急地震速報は強い揺れが来ることを気象庁が知らせる情報で、テレビでは画面の表示とチャイムで伝え、受信機を起動させる信号は使いません。

緊急警報放送の試験放送はいつありますか

NHKは、受信機の動作を確かめるための試験放送を、全国の放送局から毎月1日の正午前(1月は4日)に行っています。放送の時間は変わることがあります。デジタル放送の試験では、緊急情報記述子に試験であることを示す値が入るので、受信機は本番の緊急警報放送として扱いません。

似ている用語との違い

名前 主に使う場面 緊急警報放送との違い
緊急地震速報 強い揺れの直前の知らせ 気象庁が出す地震の予報・警報で、テレビでは画面の文字とチャイムで伝える。受信機の電源を入れる緊急警報信号とは別の仕組み
全国瞬時警報システム(Jアラート) 自治体の防災無線や携帯電話への伝達 国から自治体などへ緊急情報を送るシステム。放送局が送る緊急警報信号とは別
字幕放送 番組の音声を文字で伝える 災害報道でも使われるが、受信機を起動させる機能はない

関連する用語

最終更新