信号・規格 送出配信アーカイブ

PSI/SI

Program Specific Information / Service Information / ピーエスアイ・エスアイ

デジタル放送のTSに映像や音声と一緒に流れる、制御と案内のための情報の総称です。PSIはどのパケットが何かを示す表、SIはチャンネル名や番組名、放送時刻を伝える表で、受信機はこれを読んで選局し番組表を作ります。

PSIの規格
ISO/IEC 13818-1(MPEG-2 Systems)
日本のSIの規格
ARIB STD-B10(デジタル放送に使用する番組配列情報)
PSIの表
PAT、PMT、CAT、NIT
SIの主な表
SDT、EIT、TDT、TOT、BIT、BAT、RST
固定のPID
PAT 0x0000、CAT 0x0001、NIT 0x0010、SDT 0x0011、EIT 0x0012、TDT・TOT 0x0014
伝送の形
セクション形式に分けてTSパケットで送る
運用の規定
地上デジタルはARIB TR-B14、BS・110度CSはARIB TR-B15の第四編
4K8K衛星放送
TLV-SIとMMT-SI(ARIB STD-B60)に置き換わる

放送を録画したTSから1つのチャンネルだけを切り出したら、プレーヤーで再生できなくなった。自作の解析ツールで開くと、局名や番組名が文字化けする。こうしたトラブルの多くは、TSの中に流れているPSI/SIの扱いで起きています。映像と音声だけでは、受信機は何を再生すればよいか分からないからです。

PSI/SIが使われる場面

放送局の送出マスターでは、多重化装置がPSIを、SI送出装置がSIを作り、映像や音声と一緒に1本のTSにまとめます。番組が延長になったり、1つのチャンネルで複数の番組を流すマルチ編成に切り替わったりすると、それに合わせて表の中身を更新します。

テレビやレコーダーは、電源を入れて選局するたびにPSIを読んで、選んだチャンネルの映像と音声のパケットを探します。SIからはチャンネル名や番組名、現在時刻を取り出し、EPGの番組表や録画予約に使います。

放送の監視や検証の現場では、TSDuckのようなTS解析ツールでPSI/SIを1表ずつ表示し、表が決められた周期で届いているか、中身が意図どおりかを確かめます。欧州由来の測定指針ETSI TR 101 290でも、PATやPMTが一定時間届かないことをエラーとして監視する項目があります。録画したTSを編集、切り出し、変換するソフトも、PSIを書き換えながら処理しています。

PSI/SIの仕組み

PSIはMPEG-2 Systems(ISO/IEC 13818-1)で決められた、TSの中身の案内図です。

  • PAT:TSの中にあるチャンネル(番組)の一覧と、それぞれのPMTの場所を示す。PIDは0x0000
  • PMT:チャンネルを構成する映像、音声、字幕、データのパケットのPIDと、時刻の基準(PCR)の場所を示す
  • CAT:スクランブルの限定受信に使うEMMの場所などを示す。PIDは0x0001
  • NIT:ネットワークの物理的な構成を示す。場所はMPEG-2 Systemsで決まり、中身の形は各国の規格が決める

SIは視聴者向けの案内です。日本ではARIB STD-B10が、欧州のDVB-SIを基本に表の形を決めています。チャンネル名や事業者名はSDT、番組ごとの情報はEIT、現在の日付と時刻はTDTとTOTが運びます。PSIのPAT、CAT、PMTが自分のTSの中身だけを示すのに対し、SIは別のTSや別のネットワークの番組の情報も運べます。

どの表も、セクションという単位に分けてTSパケットに載せて繰り返し送ります。ARIB STD-B10は、PATとPMTを100ミリ秒に1回以上、自ストリームのSDTを2秒に1回以上といったように、表ごとの送出周期を決めています。

PSI/SIの扱いで間違えやすい点

TSを切り出したり結合したりすると、PATやPMTが途中で途切れたり、切り出した先頭にPATとPMTが来るまで時間がかかったりします。再生ソフトによっては、先頭でPMTを見つけられないと映像や音声の種類を判別できず、再生が始まらなかったり、始まるまでに時間がかかったりします。

文字化けは、SIの文字列の符号化が原因のことがほとんどです。日本のSIの番組名や説明文は、ARIB STD-B24の8単位符号で書かれていて、Shift_JISやUTF-8として読んでも正しい文字になりません。

地上デジタル放送のEITは、1つのPIDにまとまっていません。0x0012に加えて0x0026と0x0027も使われ、どのPIDに何を載せるかは地上波の運用規定ARIB TR-B14で決まっています。TR-B14では、0x0012にH-EIT、0x0026にM-EIT、0x0027にL-EITと、EITの種類ごとにPIDを分けています。PIDを手がかりに表を集める処理を書くときは、この3つをまとめて扱います。

新4K8K衛星放送はTSではなくMMT・TLVで送られるため、PSI/SIの代わりにTLV-SIとMMT-SIが使われます。TS用の解析ツールやパーサーはそのままでは使えません。

よくある質問

PSIとSIの違いは何ですか

PSIは受信機がTSの中から映像や音声のパケットを見つけるための表で、MPEG-2 Systemsで決まっています。SIはチャンネル名や番組名、放送時刻といった視聴者向けの情報で、日本ではARIB STD-B10で決まっています。

TSファイルのPSI/SIを確認するにはどうすればいいですか

TSDuckのようなTS解析ツールを使うと、PATやPMT、SDT、EITを1表ずつ表示できます。ffprobeでも -show_programs でPMTに書かれたプログラムとストリームの組み合わせを確かめられます。

PMTとPATはどのくらいの間隔で送られていますか

日本のデジタル放送では、ARIB STD-B10がPATとPMTを100ミリ秒に1回以上送るよう定めています。途中から受信を始めても、すぐに選局の手がかりが得られるようにするためです。

似ている形式との違い

名前 主に使う場面 PSI/SIとの違い
EIT 番組表の元データ SIの表の1つで、番組ごとの名前、時刻、ジャンルを運ぶ。PSI/SIはそれを含む全体の呼び名
DVB-SI 欧州のデジタル放送 ETSI EN 300 468で決められた欧州のSI。日本のSIはこれを基本の方式にして、表や記述子、文字の符号化を日本向けにしている
MMT・TLV 新4K8K衛星放送 TSのPSI/SIに代わってTLV-SIとMMT-SIを使う。PMTに近い役割はMPT、番組情報はMH-EITが持つ

関連する用語

最終更新