ARIB TR-B32
デジタルテレビ放送番組におけるラウドネス運用規定 / アライブ ティーアール ビーサンジュウニ
日本のデジタルテレビ放送で、番組とCMの音量感を揃えるためにARIBが定めたラウドネスの運用規定です。平均ラウドネス値の目標を-24 LKFS、許容範囲を±1 dB、トゥルーピークの上限を-1 dBTPとしています。
- 正式名称
- デジタルテレビ放送番組におけるラウドネス運用規定
- 策定団体
- 一般社団法人 電波産業会(ARIB)
- 初版
- 1.0版(2011年3月)
- ターゲットラウドネス値
- -24 LKFS
- 運用上の許容範囲
- ターゲットラウドネス値±1 dB
- トゥルーピークの最大許容値
- -1 dBTP
- 測定方法
- ITU-R BS.1770に準拠。5.1chではLFEを除く5チャンネルで測る
- 適用範囲
- 制作・搬入・交換・送出するすべての完成番組の音声。CMも含む
テレビ局の納品仕様書に「音声はARIB TR-B32に準拠」とあれば、番組の平均ラウドネス値を-24 LKFSに合わせて仕上げ、その値を書類に書いて渡す必要があります。TR-B32は、番組ごと、局ごとにばらついていた音量感を揃えるための日本の共通ルールです。
ARIB TR-B32が使われる場面
日本のテレビ番組の音声を仕上げるMAでは、TR-B32が前提になっています。2011年3月にARIBが策定し、同年5月には民放連がこれに準拠した技術規準T032を定めました。民放連加盟局は2012年10月1日から、NHKは2013年4月から、この規定に沿った運用をしています。
納品の実務では、T032の定めが効いてきます。T032は次のようなことを求めています。
- ARIB TR-B32に準拠したメーターで番組の平均ラウドネス値を測る
- 測った値を小数点以下1位まで、納品物の添付書類に記入する
- 平均ラウドネス値が-28.0 LKFSを下回るときは、その理由を書類に書く
- 受け入れ側の検査で許容範囲の上限を超えていれば、納品者の責任で直す
CMも対象です。TR-B32の適用範囲は一般番組とCMの両方で、テレビCM素材搬入基準もT032に準拠する形に改訂されました。CMだけ音が大きいという状態をなくすのが、この規定の出発点でした。
ARIB TR-B32の仕組みと規定の中身
平均ラウドネス値はITU-R BS.1770に基づいて測ります。5.1chの番組ではL、R、C、LS、RSの5チャンネルを使い、LFEは含めません。測定の範囲は、調整用の信号やリーダーを除いた本編の頭から終わりまでです。
目標値は-24 LKFSで、運用上の許容範囲は±1 dBです。「創造的な制作要求」が最優先される番組では、目標値より小さい値を狙って制作することも認められています。
ピークの上限はトゥルーピークで-1 dBTPです。トゥルーピークを表示できない従来のサンプルピークメーターで運用する場合は、-3 dBFSを上限とするよう定めています。
策定後も改訂が続いており、ARIBの公表している概要によれば、5.1chを超えるサラウンドや、オブジェクトベースの音声の測定方法が追加されています。
ARIB TR-B32の運用で間違えやすい点
±1 dBを目標の幅と受け取るのは誤りです。T032は、許容範囲を見込んだ制作をしてはならないと明記しています。-24.0 LKFSを狙い、結果として±1 dBの中に収まっている状態が求められます。
5.1chの番組の扱いも、古い資料と今とで違います。家庭の受信機がステレオにダウンミックスすると音が小さくなることを考え、T032はかつて暫定措置として目標値+2 dBまでを最大許容値としていましたが、この暫定措置は2020年6月の改正で撤廃されました。古い社内マニュアルの値をそのまま使わないよう注意してください。
海外の規定と取り違えるのもよくある失敗です。欧州向けに作られた-23 LUFSの素材をそのまま日本の局に納めると、1 dB大きい状態になります。EBU R 128との違いを確認し、測り直してから納品してください。
よくある質問
ARIB TR-B32の基準値はいくつですか
平均ラウドネス値の目標は-24 LKFS、運用上の許容範囲は±1 dB、トゥルーピークの上限は-1 dBTPです。値の単位や測り方はLKFS / LUFSで説明しています。
ARIB TR-B32はCMにも適用されますか
適用されます。TR-B32は一般番組とCMを区別せず、同じ規定で扱います。CMの搬入基準もT032に準拠しているので、CMの音声も-24 LKFSを目標に仕上げます。
ARIB TR-B32はどこで入手できますか
ARIBのWebストアで入手できます。概要はARIBのサイトで公開されています。
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | ARIB TR-B32との違い |
|---|---|---|
| EBU R 128 | 欧州の放送 | 欧州のラウドネス規定。目標値は-23 LUFSで、日本より1 dB大きい |
| ATSC A/85 | 米国の放送 | 米国の推奨実施基準。目標値は日本と同じ-24 LKFS |
| 民放連技術規準 T032 | 民放局の運用ルール | TR-B32に準拠して民放連が定めた運用規準。納品時の記入方法や検査の扱いまで決めている |
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