信号・規格収録編集アーカイブ

オールイントラ

All-Intra / オールイントラ

動画のすべてのフレームを、前後のフレームを参照せず1枚ずつ独立して圧縮する方式です。データ量は大きくなりますが、どのフレームでも単独で復元できるため、編集ソフトでの動作が軽く、切り出しも正確です。

方式
フレーム内圧縮。全フレームがIフレーム
主な業務用フォーマット
AVC-Intra、XAVC Intra、DVCPRO HD
編集用の中間コーデック
ProRes、DNxHD、DNxHR、CineForm
映画の上映用
DCPの映像はJPEG 2000で1フレームずつ圧縮される
カメラでの表記
LUMIXのALL-Intra、キヤノンのALL-I、ソニーのXAVC S-I
対になる方式
Long GOP(フレーム間の差分を使う)

オールイントラで撮るとカードがすぐ埋まる、それでも編集者からは「オールイントラでください」と頼まれる。この食い違いは、データ量と編集の軽さを交換しているところから生まれます。オールイントラは前後のフレームを一切参照しないので、どこで切っても、どこから再生しても、そのフレームだけで絵が出ます。

オールイントラが使われる場面

いちばん多いのは編集の工程です。ProResやDNxHDは、編集ソフトで扱いやすいようにオールイントラで設計された中間コーデックで、Final Cut Pro、Premiere Pro、DaVinci Resolve、Avid Media Composerで広く使われています。カメラの記録形式がLong GOPでも、取り込みの段階でこれらに変換してから編集に入る現場は珍しくありません。

収録でも、業務用フォーマットにオールイントラの系統があります。パナソニックのAVC-IntraはH.264をフレーム内圧縮だけで使う形式で、AVC-Intra 100は100Mbpsで記録します。ソニーのXAVC Intraも同じ考え方です。ミラーレスカメラでは、LUMIXの「ALL-Intra」やキヤノンの「ALL-I」のように、Long GOPと並ぶ記録方式として選べる機種が増えています。

仕上げと上映の工程にもあります。映画館で上映するDCPの映像はJPEG 2000で1フレームずつ圧縮されており、これもオールイントラです。VFXや合成では、DPXやOpenEXRの連番画像でフレームを完全に独立させて扱います。

オールイントラの仕組みとファイルサイズ

オールイントラでは、1フレームの中だけで圧縮を完結させます。JPEGで写真を圧縮するのに近い処理を、全フレームに繰り返すイメージです。前後のフレームとの差分を使わないので、動きの激しい映像でもフレームごとの画質が安定します。

その分、データ量は増えます。同じ画質を狙うなら、Long GOPに比べて数倍のビットレートが必要です。ProRes 422 HQは1080p・29.97fpsで約220Mbpsで、1時間で100GB近くになります。カードの容量、コピーの時間、サーバーの容量のすべてに響くので、収録時間の長い現場ほど慎重に選びます。

オールイントラを選ぶときの判断

オールイントラが向いているのは次のような場面です。

  • カラーグレーディングや合成で強い加工をかける素材
  • 細かいカット割りやスロー再生を多用する編集
  • 何度も書き出しと読み込みを繰り返す、工程の長いワークフロー
  • フレーム単位で正確に切り出したいアーカイブ素材

反対に、会見や講演のように長時間回し続ける収録、配信やWeb用の最終書き出しでは、Long GOPのほうが合理的です。配信用のH.264やHEVCをオールイントラで書き出す必要はほとんどありません。

よくある質問

オールイントラとIPBの違いは何ですか

IPBはIフレームのあいだにPフレームとBフレームを挟むLong GOP方式のことで、キヤノンなどのカメラでこの表記が使われます。オールイントラはIフレームだけで構成されます。IPBはファイルが小さく、オールイントラは編集が軽いという違いです。

オールイントラは画質が良いのですか

1フレームごとの画質は安定しますが、同じビットレートならLong GOPのほうが効率は上です。オールイントラの利点は、画質そのものより、編集の軽さや加工への強さ、再エンコードを重ねたときの劣化の少なさにあります。

オールイントラの素材はどのソフトで編集できますか

AVC-Intra、XAVC Intra、ProRes、DNxHDは、Premiere Pro、DaVinci Resolve、Avid Media Composer、EDIUSといった主要な編集ソフトが読み込めます。ProResはFinal Cut Proでも標準で扱えます。

似ている形式との違い

名前主に使う場面オールイントラとの違い
Long GOP長時間収録・配信前後のフレームとの差分で記録する。データ量は小さいが編集は重くなりやすい
Motion JPEG監視カメラ・旧来の編集機JPEG画像を連ねる古いオールイントラ方式。圧縮効率は低い
連番画像VFX・合成1フレームを1ファイルに分けて保存する。フレームごとに独立している点は同じ

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