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色空間

Color Space / イロクウカン

映像の数値がどの色を指すかを決める約束事です。三原色の位置(色域)、白の基準(白色点)、明るさの変換(伝達特性)の組み合わせで決まり、BT.709、BT.2020、DCI-P3、sRGBなどがあります。

英語表記
Color Space
決める要素
原色の色度(色域)、白色点、伝達特性(ガンマやPQ・HLG)
HD放送
ITU-R BT.709
4K・8K放送、HDR
ITU-R BT.2020の色域(HDRの伝達特性はBT.2100)
デジタルシネマ
DCI-P3
PC・Web
sRGB(原色と白色点はBT.709と同じ)
カメラ固有の例
S-Gamut3(ソニー)、V-Gamut(パナソニック)、ARRI Wide Gamut
色空間を確かめる道具
MediaInfo、ffprobe、編集ソフトのクリップ属性

編集ソフトでは正しい色に見えていたのに、書き出した動画をブラウザやスマホで見ると色が薄い、あるいは濃い。その原因の多くは、映像の数値と「その数値がどの色を指すか」の約束がどこかで食い違っていることです。この約束が色空間で、映像ファイルの中にはその約束を示す印(タグ)も入っています。

色空間が使われる場面

撮影では、Log撮影のときに色空間を選びます。ソニーのカメラならS-Gamut3やS-Gamut3.Cine、パナソニックならV-Gamutのように、カメラ固有の広い色空間で記録し、後から編集で放送や配信用の色空間に変換します。

編集とグレーディングでは、DaVinci Resolveのカラーマネジメントや、Premiere Proの色管理の設定で、タイムラインをどの色空間で扱い、どの色空間で書き出すかを決めます。素材の色空間をソフトが正しく読み取れていないと、ここで最初のずれが生まれます。

納品の段階では、納品仕様書に色空間が明記されます。日本のHD放送ならBT.709、4KやHDRの番組ならBT.2020の色域にHLGやPQの伝達特性、劇場用のDCPならDCI-P3を基準にするのが一般的です。Web配信用の素材は、BT.709で書き出してそのまま使うことが多いです。

色空間の仕組み

色空間は3つの要素で決まります。1つめは赤・緑・青の原色がどの色かを示す位置で、これが色域です。BT.2020の原色はBT.709より外側にあり、より鮮やかな色を表せます。2つめは白色点で、映像ではD65という昼光に近い白がほとんどです。3つめは伝達特性で、数値と明るさの関係を決めます。SDRのガンマ、HDRのPQやHLG、カメラのLogはここが違います。

同じ「赤100%」という数値でも、BT.709の赤とBT.2020の赤は違う色です。色空間を知らずに数値だけを受け渡すと、色がくすんだり、逆に派手になったりします。

動画ファイルには、どの色空間で作ったかを示すタグ(原色、伝達特性、変換行列の3つ)が入れられます。MediaInfoで開くと「Color primaries: BT.709」「Transfer characteristics: BT.709」のように表示されるのがこのタグです。再生ソフトやブラウザはこのタグを見て色を表示します。

色空間の設定で間違えやすい点

多いのは、タグと中身の食い違いです。BT.709で作った映像に、タグが付いていない、あるいは別の値が付いていると、再生環境ごとに違う解釈で表示されます。macOSのQuickTime Playerと編集ソフトの画面で明るさや色の濃さが違って見えることもあり、そのときはファイルのタグの値と、再生側の色管理の設定を順に確かめて切り分けます。

もう1つは、Logの素材を変換せずに書き出してしまうケースです。S-Log3で撮った素材はそのままだと灰色がかった眠い映像なので、LUTやカラーマネジメントでBT.709などに変換してから書き出します。

sRGBとBT.709は原色と白色点が同じなので混同されがちですが、伝達特性が違います。静止画の素材を動画に取り込むとき、ソフトによっては明るさがわずかに変わるのはこのためです。

よくある質問

色空間と色域の違いは何ですか

色域は、原色の位置で決まる表現できる色の範囲のことです。色空間は色域に加えて、白色点と明るさの変換の仕方まで含めた約束全体を指します。BT.709とsRGBは色域が同じでも、色空間としては別物です。

動画の色空間はどうやって確認できますか

MediaInfoでファイルを開き、映像の欄の「Color primaries」「Transfer characteristics」「Matrix coefficients」を見ます。コマンドならffprobeでも同じ情報を表示できます。項目が空欄なら、タグが付いていないということです。

YouTubeにアップする動画の色空間は何にすればいいですか

SDRの動画ならBT.709で書き出すのが基本です。HDRで公開したい場合は、BT.2020の色域とPQまたはHLGで書き出し、HDRのメタデータを付けます。

似ている形式との違い

名前主に使う場面色空間との違い
色域表現できる色の範囲色空間の要素のうち原色の位置だけを指す。色空間は白色点と伝達特性まで含む
YCbCr映像の記録・伝送RGBを明るさと色差に分けて持つ形式。色空間ではなく、同じ色空間の中での値の持ち方の違い
LUT色空間の変換・ルック付け色空間を変換するための対応表。LUT自体は色空間ではない

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