字幕形式字幕制作納品

イニシャルタイム

Initial Time / イニシャルタイム

ARIB STD-B36の字幕ファイルが持つ番組管理情報の項目のひとつで、その字幕データの時刻をどこから数えるかを決める基準の値です。番組素材のプログラム開始点のタイムコード、または時刻を入れます。

どこにある値か
ARIB STD-B36 表2-1「番組管理情報の項目」のNo.16
入れる値
番組素材のプログラム開始点のタイムコード、または時刻
書式
時・分・秒に各2バイト。時刻単位指定ならHHMMSSXX0、フレーム単位指定ならHHMMSSXXF
時刻単位のとき
末尾の3バイトは10ミリ秒単位
組で使う項目
RTタイミング種別(No.14)、タイミング単位指定(No.15)
番組交換メタデータ
民放連技術規準T034「ファイルによるテレビ番組交換のメタデータ」の項番163に同名の項目がある
4K・8K放送の字幕
ARIB STD-B69では2.3.11でhh:mm:ss.fff形式として規定

字幕制作の仕様書に「イニシャルタイム 10000000」と書かれていて、何を入れる欄なのか分からない。これは字幕ファイルの中に登録する番組管理情報のひとつで、その字幕データの時刻をどこから数えるかを決める値です。10000000は10時00分00秒、つまり番組の頭を10:00:00:00と見なすという指定になります。

イニシャルタイムが使われる場面

出てくるのは、放送用の字幕をARIB STD-B36の形式で作り、放送局や発注元へ納める場面です。放送字幕の制作ソフトには、字幕1枚ごとの送出時刻と消去時刻を打つ画面とは別に、ファイル全体に付く番組管理情報を入力する画面があります。制作局名、番組コード、番組名、言語コードなどと並んで、イニシャルタイムの欄がそこにあります。

発注側の納品仕様書が、この欄の値まで書いて渡すことは珍しくありません。放送大学学園が公開しているテレビ授業科目の字幕制作仕様書は、納入する.1HDファイルの管理情報として「素材種別 0:番組素材」「登録モード N:新規登録」「言語コード jpn」「RTタイミング種別 LT:ラップタイム」などを一覧で指定しており、その中に「イニシャルタイム 10000000」が入っています。同じ仕様書に付いている字幕テキストの例では、冒頭のテーマ音楽の音出しが10:00:02:00、番組の終わりが10:45:00:00と書かれています。45分の授業番組の頭を10:00:00:00に置いた数え方だと読み取れます。

局の側から見ると、この値は受け取った字幕ファイルを本編の映像と突き合わせるための手がかりになります。字幕の時刻だけを見ても、それが素材のどの位置なのかは決まりません。

イニシャルタイムの書式と数え方

値は時、分、秒にそれぞれ2バイトを割り当てて並べます。時刻で指定する場合は末尾に10ミリ秒単位で3バイトを足してHHMMSSXX0の形、フレームで指定する場合は上位2バイトでフレームを表し、下位1バイトをFで埋めてHHMMSSXXFの形になります。この定義は民放連技術規準T034「ファイルによるテレビ番組交換のメタデータ」に、ARIB STD-B36 表2-1のNo.16を引く形で書かれています。

時刻で持つかフレームで持つかは、隣の「タイミング単位指定」で決まります。Tなら時刻単位、Fならフレーム単位です。

RTタイミング種別との違いと組み合わせ

イニシャルタイムだけでは、その値がタイムコードなのか実時刻なのかが決まりません。それを決めるのが「RTタイミング種別」で、値は次の4つです。

  • TC(連続タイムコード)は、番組のタイムコードが全編つながっている場合
  • TU(不連続タイムコード)は、途中にタイムコードの飛びがある場合
  • LT(ラップタイム)は、番組の開始を任意の時刻に置き、そこからの経過で数える場合
  • JS(JST)は、送出する実時刻で記入する場合

放送大学学園の仕様書がLTとイニシャルタイム10000000を組にしているのは、10時00分00秒を番組の頭に置き、そこからのラップタイムで字幕の時刻を数えるという意味になります。

イニシャルタイムがずれているときに起きること

素材の頭が00:00:00:00や01:00:00:00で始まるのに、イニシャルタイムだけ10000000のまま納めると、字幕全体が素材に対してそのぶん平行にずれます。個々の字幕の時刻をいくら直しても合わないので、まず管理情報を疑うほうが早いです。

素材のタイムコードが途中で飛んでいるのに連続タイムコードとして登録している場合も、飛びより後ろの字幕が一斉にずれます。この場合はイニシャルタイムではなくRTタイミング種別の側の問題です。

よくある質問

イニシャルタイムの10000000とはどういう意味ですか

10時00分00秒を起点にするという指定です。放送の現場では、番組の本編の頭を10:00:00:00に置いたタイムコードで素材を作ることがあり、字幕の時刻もその番地に合わせます。詳しい背景はARIB STD-B36とは?地上デジタル放送の字幕制作を支える規格をエンジニア向けに解説で触れています。

イニシャルタイムは素材の頭のタイムコードに合わせるのですか

規格上は番組素材のプログラム開始点のタイムコード、または時刻を入れる項目なので、素材の頭に合わせるのが基本です。ただし発注元が値を指定してくる案件では、素材のタイムコードのほうがその値に合わせて作られているので、仕様書の値をそのまま入れます。

イニシャルタイムはSRTやWebVTTにもありますか

ありません。SRTやWebVTTは先頭を00:00:00.000とした経過時間で時刻を持つ形式で、起点を宣言する項目を持ちません。放送用の字幕から変換するときは、起点のぶんを引いて書き出す必要があります。

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