ARIB STD-B37
補助データパケット形式で伝送されるデジタル字幕データの構造と運用 / アライブエスティーディービーサンジュウナナ
スタジオで使うSDI信号の垂直補助データ領域に、映像と同期して表示する字幕データを載せて運ぶための構造と運用を定めたARIBの標準規格です。字幕付きの番組やCMを素材ごと納品するときの形式になります。
- 正式名称
- 補助データパケット形式で伝送されるデジタル字幕データの構造と運用
- 策定団体
- 電波産業会(ARIB)
- 版
- 1.0版(2002年7月)策定。2.7版(2022年4月)が最新
- 対象の信号
- 525/60のSDI、1125/60のHDTV SDI。2.6版(2017年)で高度BS向け4K信号を追加
- 字幕を載せる場所
- 映像信号の垂直補助データ領域(VANC)
- 付属の運用ガイドライン
- 重畳の方法、アナログ字幕とデジタル字幕の変換、HD・SD・携帯字幕の相互変換
- ファイルでの運び方
- ARIB TR-B31のMXF ANC字幕フォーマット(SMPTE 436Mの形でMXFに格納)
字幕付きの完パケを納めたのに、局の受け入れ検査で「字幕が入っていない」と言われる。映像を再生しても字幕は画面に出ないので、目で見ても確かめようがありません。この字幕は映像の絵ではなく、ARIB STD-B37の形式で信号の見えない領域に入っている字幕データだからです。
ARIB STD-B37が使われる場面
字幕を別ファイルで渡すのではなく、番組やCMの素材そのものに字幕を入れて納品するときの形式です。テープ納品の時代は、HDCAMなどのHDTVカセットテープに映像と一緒に字幕パケットを記録していました。ファイル納品では、ARIB TR-B31が定めるMXF ANC字幕フォーマットに従い、MXFの中に同じ字幕パケットを格納します。
民放連が2014年にまとめた字幕付きCMの取り扱いでは、HDTVカセットテープならB37の字幕補助データパケット、ファイルベースのメディアならTR-B31のMXF ANC字幕フォーマットを使うよう示しています。CMの素材搬入で字幕を扱う人は、この2つをセットで押さえておく必要があります。
局の中では、スタジオのSDI信号にB37の字幕を重ねたまま送出系へ流し、送出の段階で放送波用の字幕に載せ替えます。
ARIB STD-B37の仕組み
SDI信号には、映像の画面にあたる部分のほかに、音声や付随データを入れる補助データの領域があります。B37はその中の垂直補助データ領域(VANC)に、字幕データを補助データパケットの形で入れる方法を決めています。字幕の本文と制御の符号は、デジタル放送の字幕と同じARIB STD-B24の方式です。
1本の素材の中に、画面の種類ごとの字幕を並べて持てるのが特徴です。局間の素材では、字幕補助データ1にHD字幕、2にSD字幕、3に携帯端末向けの字幕を入れる運用がARIB TR-B23で決められています。多言語表示やスクロール表示にも対応しつつ、アナログ放送時代の字幕データとの互換も保っています。
ARIB STD-B37の運用で間違えやすい点
字幕付きCMの運用では、字幕パケットを素材の全長にわたって途切れずに入れることが求められます。画面に字幕が出ていない区間でも、管理データなどのパケットは流し続けます。途中でデータが切れると、局の設備でエラーになります。
時間のルールも細かく決まっています。CMの場合、始まりから1秒間と終わりの1秒前以降は字幕の本文を入れず、字幕のページとページの間隔は2秒以上空けます。15秒CMなら、字幕を出せるのは実質13秒ほどです。
変換にも落とし穴があります。MXFを編集ソフトで読み込んで書き出し直すと、VANCのデータが捨てられて字幕が消えることがあります。字幕を入れた後の素材は、再エンコードせずに納品するのが原則です。
ARIB STD-B37と似ている規格との違い
ARIB STD-B36は字幕を独立したファイルとして制作会社と局のあいだで渡すための規格、B37は字幕を映像信号や素材ファイルの中に入れて運ぶための規格です。字幕制作ソフトで作ったB36の字幕を、重畳装置でB37の形にして素材へ入れる、という順につながります。
北米の放送素材も同じようにVANCへ字幕を入れますが、中身はCEA-608やCEA-708の字幕で、B37とは互換がありません。
よくある質問
ARIB STD-B37の字幕が入っているかどうかはどう確認できますか
字幕を表示できる波形モニターや字幕デコーダ、MXFの字幕を読めるビューアで確認します。一般的な編集ソフトや動画プレーヤーで再生しても字幕は表示されません。
MXFから字幕だけを取り出せますか
MXFの字幕を扱える重畳・抽出用のソフトを使えば、VANCに入った字幕パケットを字幕データとして取り出せます。汎用の変換ソフトでは取り出せません。MXFの中の構造はMXFファイルとは?中身の構造と放送で使われる理由で詳しく解説しています。
この用語を扱ったコラム
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | ARIB STD-B37との違い |
|---|---|---|
| ARIB STD-B36 | 字幕のファイル納品 | 字幕だけを独立したファイルで渡す規格。B37は字幕を映像信号や素材ファイルの中に入れて渡す |
| SMPTE 436M | MXFの中のVANCデータ | VANCのデータをMXFに格納する入れ物の規格。中に入る日本の字幕パケットの中身を決めるのがB37 |
| CEA-708 | 北米の放送素材の字幕 | 北米ではSMPTE 334の字幕パケットでVANCに載せる。字幕データの形式はB37と互換がない |
関連する用語
最終更新
