DVB字幕
DVB Subtitling systems(DVB-SUB) / ディーブイビージマク
欧州のDVB方式のデジタル放送で使われる、字幕を画像として送る方式です。ETSI EN 300 743で規定され、送り手が作った字幕の画像を受信機がそのまま映像に重ねるため、文字の種類を問わず表示できます。
- 規格
- ETSI EN 300 743(Digital Video Broadcasting; Subtitling systems)
- 字幕の持ち方
- ビットマップ画像(色は表で指定するインデックスカラー)
- 色数
- 領域ごとに2ビット(4色)、4ビット(16色)、8ビット(256色)
- 画面の組み立て
- ページの中に領域を置き、領域の中に字幕の画像を置く
- 放送波での運び方
- MPEG-2 TSのPESとして映像・音声と別に送る
- テキスト版の規格
- ETSI EN 303 560(DVB-TTML。2018年5月)
- 扱える主なソフト
- ffmpeg(dvbsubのデコーダとエンコーダ)、Subtitle Edit(OCRで文字に変換)
欧州のテレビ番組を録画したTSファイルから字幕を取り出したら、テキストではなく画像が出てきた。DVB字幕は、字幕を文字ではなく画像として送る方式だからです。文字として使いたいなら、OCRで読み取る工程が必要になります。
DVB字幕が使われる場面
欧州を中心に採用されているDVB方式のデジタル放送(地上波のDVB-T、衛星のDVB-S、ケーブルのDVB-C)で、字幕を送るときの方式の1つです。外国語の番組に付ける翻訳字幕や、聴覚に障害のある視聴者向けの字幕が、この方式で送られています。
字幕を画像にして送るので、受信機はフォントを持っている必要がありません。キリル文字やアラビア文字、中国語など、どんな文字の字幕でも、送り手が作った見た目のまま表示されます。多くの言語の番組を放送する欧州では、この点が利点になります。
制作や配信の現場で出会うのは、欧州の放送を録画したTSファイルや、その番組を再利用するときです。字幕の入った素材を配信用に作り直す、字幕をテキストにしてアーカイブの検索に使う、といった作業で、画像の字幕をどう扱うかが問題になります。
DVB字幕の仕組み
字幕の画面は、ページ、領域、オブジェクトの3段階で組み立てます。ページが字幕1回分の表示で、その中に字幕を置く四角い領域を配置し、領域の中に字幕の画像(オブジェクト)を描きます。
画像の色はインデックスカラーで、領域ごとに2ビット、4ビット、8ビットのいずれかを選び、4色、16色、256色までを使えます。どの番号がどの色と透明度になるかは、別に送るカラー表(CLUT)で決めます。字幕のデータは、映像や音声とは別のPESとしてトランスポートストリームに入ります。
画像で送る方式とは別に、DVBはTTMLをもとにした文字の字幕の方式(DVB-TTML、ETSI EN 303 560)も2018年に規格にしています。こちらはEBU-TT-Dに基づき、IMSC1のテキスト版と互換があります。
DVB字幕を取り出す・変換するとき
ffmpegを使えば、TSからDVB字幕のトラックを画像のまま取り出してMKVに入れ直せます。ffmpegはdvbsubのデコーダとエンコーダを持っているので、再生や画像のままの移し替えまでは手元で完結します。
SRTのようなテキストにしたい場合は、OCRが必要です。Subtitle EditのようなOCR機能を持つ字幕ソフトで画像を1枚ずつ文字に読み取り、読み間違いを人が直します。SD画質の番組の字幕は画像の解像度が低く、似た形の文字の読み違いが起きやすいので、確認の手間を見込んでおきます。
DVB字幕とテレテキスト字幕の違い
欧州のデジタル放送では、画像で送るDVB字幕と、文字で送るテレテキストの字幕が国や局によって使い分けられています。テレテキストは受信機が文字を描くので、データが軽く、テキストとして取り出しやすい一方、使える文字や色が限られます。DVB字幕は見た目の自由度が高い代わりに、テキストとして再利用するにはOCRが要ります。
よくある質問
DVB字幕をSRTに変換できますか
OCRで文字を読み取れば変換できます。Subtitle Editなどで字幕の画像を読み取り、読み間違いを直してからSRTで書き出します。
DVB字幕は日本のテレビで使われていますか
使われていません。日本のデジタル放送の字幕は、文字符号で送るARIB STD-B24の方式です。主な字幕形式の違いは字幕ファイル形式の早見表で比べられます。
この用語を扱ったコラム
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | DVB字幕との違い |
|---|---|---|
| テレテキスト | 欧州のアナログ時代からの字幕 | 文字コードで字幕を送る方式。DVB字幕は画像で送るので、フォントや文字の種類の制約がない |
| PGS | Blu-rayの字幕 | 同じく画像で字幕を持つ方式。放送ではなくディスク向けで、ファイルとしては.supで扱われる |
| ARIB STD-B24 | 日本のデジタル放送の字幕 | 文字符号で送り、受信機が文字を描く方式。DVB字幕とは互換がない |
関連する用語
最終更新
