字幕形式字幕制作送出

生字幕

ナマジマク

生放送の音声をその場で文字にして送り出す字幕のことです。収録番組のように作り込む時間がないため、入力方式の選択、数秒の表示遅れ、誤字が出たときの直し方が、そのまま番組の見え方を左右します。

対象
生放送、生中継、収録済み番組の生同録部分
主な入力方式
速記キーボードによる入力、一般キーボードのリレー入力、音声認識(ダイレクト方式・リスピーク方式)
日本での開始
2000年3月27日のNHKニュース7が最初
民放の開始
2001年8月27日に日本テレビ系列で実施
ハイブリッド方式
NHKが2012年3月14日から導入。番組音声の直接認識とリスピークを組み合わせる
表示遅れ
発話から表示までのずれは避けられない
番組側の断り
冒頭に誤字脱字が出る場合がある旨を表示する局がある

生放送のニュースで字幕ボタンを押すと、アナウンサーが話し終えた少し後に文字が出てきます。この遅れは設備の不具合ではなく、音を聞いてから文字を送り出すまでに必ずかかる時間です。生字幕の運用は、この遅れと誤字をどこまで抑えるかの設計でできています。

生字幕が使われている場面

代表はニュースです。日本での最初のリアルタイム字幕は2000年3月27日のNHKニュース7で、民放では2001年8月27日に日本テレビ系列が実施しました。その後、昼のニュース、情報番組、スポーツ中継、選挙特番へと広がっています。

収録番組でも、スタジオ部分が生でVTR部分が収録済みという構成であれば、VTRの字幕は事前に作り、スタジオは生字幕で流す、という組み合わせになります。台本のある部分を先に作っておき、当日は差分だけを入力する運用です。

局の側では、字幕オペレーターが副調整室とは別の部屋で番組を見ながら入力し、出来た文字を字幕放送の送出設備へ渡します。文字はARIB STD-B24の方式で符号化され、映像や音声とは別のデータとして放送波に乗ります。

生字幕の入力方式の違い

方式は大きく3系統あります。

  • 速記キーボード方式。音を聞いて入力する人と、その文字を漢字に変換する人で分担し、必ず2人単位で組みます。入力は速い一方、養成に3年ほどかかります。
  • 一般キーボードのリレー入力。複数のオペレーターが交互に入力を引き継ぐ方式で、養成の期間が短く、費用も抑えられます。
  • 音声認識。番組の音声を直接認識するダイレクト方式と、別の話者が内容を言い直した音声を認識するリスピーク方式があり、番組音声の認識の難しさに応じて使い分けます。NHKは2012年3月14日から、認識精度が出る部分は音声認識に任せ、聞き取りにくい部分は人が扱うハイブリッド方式を導入しています。

ニュースのように話題と話し方の範囲が絞れる番組は音声認識と相性がよく、報道記者の音声を直接認識して高い精度が得られると報告されています。一方、歓声や音楽が乗るスポーツ中継や、複数人が同時に話す情報番組は直接認識が難しく、リスピークを挟む形になります。

生字幕の遅延と誤字の扱い

発話から表示までの遅れは、どの方式でも残ります。音を聞き、文字にし、確認して送り出す一連の処理が順番に起きるためです。発話の終わりを待たずに認識結果を順次出していくアルゴリズムを使うと、この表示遅れを短くできます。

遅れがあると、画面の絵と字幕がずれます。短いカットが続く場面では、前のカットの発言が次のカットの上に出ることになります。そのため、遅れを詰める工夫と同時に、ハコの長さを短めに保って1枚ずつ早く出す、という運用側の調整も行われます。

誤字は完全には避けられません。字幕を出した後で直すか、そのまま流して次で言い換えるかは局の判断で、番組の冒頭に誤字脱字が出る場合がある旨を表示している局もあります。CMに入ると本編の音声が途切れるため、その間の発言は字幕にできません。

よくある質問

生字幕はなぜ遅れて表示されるのですか

音声を聞いてから文字にし、内容を確かめて送り出すまでの処理が順に必要だからです。人が入力する方式でも音声認識でも、この時間はゼロにできません。発話の途中から結果を出していく仕組みで短くする取り組みが進んでいます。

生字幕の誤字は後から直せますか

すでに画面に出た字幕を遡って直すことはできません。直すとすれば次の字幕で言い直す形になります。番組の見逃し配信用に字幕を作り直す場合は、放送後に生字幕を直して整えます。

生字幕と収録番組の字幕は同じ形式ですか

放送波に乗る段階の符号化方式は同じです。違うのは作り方で、収録番組は完成した映像を見ながらARIB STD-B36のファイルとして納品し、生字幕はその場で入力した文字を直接送出設備へ流します。

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