文字スーパー
superimpose / モジスーパー
番組の内容と関係なく、放送波に乗せて視聴者の画面に文字を出す仕組みです。緊急地震速報や気象警報、選挙速報、時刻表示がこれで表示され、ARIB STD-B24では字幕と同じ符号化・伝送の方式で扱われます。
- 規定
- ARIB STD-B24 第一編 第3部「字幕・文字スーパーの符号化」
- 字幕との区別
- 映像の内容に関係するものが字幕、それ以外が文字スーパー。符号化と伝送では両者を区別しない
- 代表的な用途
- 緊急地震速報、気象警報、選挙速報、時刻表示、番組に関するお知らせ
- 放送波での運び方
- 映像・音声とは別の独立PES(規格が推奨する方式)
- PMTでの識別
- データ符号化方式識別(data_component_id)0x0008
- 表示タイミングの区分
- 非同期、番組同期、時刻同期の3種類
- 速報音
- 受信機に内蔵された音を、文字符号の中の制御符号で鳴らす
- 4K・8K放送での規定
- ARIB STD-B62(ARIB-TTML)
テレビを見ていると、番組の内容と関係なく画面の上に地震や台風の文字が出てきます。字幕ボタンを押していないのに出るので、字幕とは別の仕組みです。これが文字スーパーで、放送波に乗ってくるデータを受信機が描いています。
文字スーパーが使われる場面
もっとも目にするのが緊急の知らせです。緊急地震速報、津波警報、気象警報、火山の噴火の情報が、番組の映像の上に文字として出ます。選挙の日の当選確実の速報や、スポーツの結果速報も同じ仕組みで送られます。
規格の定義では、テレビの映像に文字を重ねるサービスのうち、映像の内容に関係するものを字幕、それ以外を文字スーパーと呼びます。規格が例として挙げているのは、ニュースの速報、番組に関するお知らせ、時刻表示です。時計を画面の隅に出す運用も文字スーパーの一種です。
放送局では、報道のフロアからマスターの文字スーパー送出装置へ原稿を送り、当直の担当者が内容を確かめて出します。緊急地震速報のように機械が自動で出すものと、選挙速報のように人が文面を作って出すものが混在します。系列のネットワークでは、キー局が出した速報を系列局がそのまま流すか、自局の地域向けに文面を作り直すかという運用の分かれ目もあります。
文字スーパーと字幕・テロップの違い
3つは、文字が画面に出るまでの経路が違います。テロップは編集や送出の段階で映像そのものに焼き込むので、録画してもDVDに落としても消えません。字幕放送と文字スーパーは、文字のデータを映像とは別に送り、受信機が描きます。
字幕と文字スーパーの差は、番組との関係と、視聴者が選べるかどうかです。字幕は番組の音声に同期し、字幕ボタンで表示を切り替えられます。文字スーパーは番組に同期せず、視聴者が何も操作しなくても表示されます。この違いは送信側の指定で決まり、表示モードと表示タイミング(非同期、番組同期、時刻同期)が伝送データの中に書かれています。文字スーパーは非同期で、自動表示の指定で送られます。
文字スーパーの仕組み
符号化の方式そのものは字幕と共通で、ARIB STD-B24の第一編第3部が定めています。規格の書き方では、伝送と符号化では字幕と文字スーパーを分類せず、まとめて字幕と呼びます。文字は8単位符号で書き、色や位置、文字の大きさは本文の中の制御符号で指定します。
放送波では、映像や音声とは別の独立したPESとして送るのが規格の推奨する方式です。PMTのデータ符号化方式識別は0x0008で、字幕と文字スーパーで共通です。あらかじめ予定が決まっていない速報の文字スーパーでは、EITにデータ内容記述子を入れない運用も認められています。
速報のときに鳴る音は、映像や音声の信号に入っているのではなく、受信機に内蔵された音です。文字データの中の制御符号が受信機の音を鳴らします。だから受信機のメーカーによって速報音の鳴り方が違います。
よくある質問
文字スーパーは消せますか
緊急地震速報や気象警報の文字スーパーは、視聴者側で消す手段が用意されていません。自動表示の指定で送られるため、字幕ボタンとは連動しません。録画した番組を再生したときに出ないのは、録画時の表示指定が別に送られているためです。
録画したテレビ番組に文字スーパーは残りますか
TSのまま録画していれば、文字スーパーのデータもストリームの中に残ります。再生ソフトが文字スーパーに対応していれば表示され、対応していなければ出ません。一方、映像を再エンコードして書き出すと、データとしての文字スーパーは失われます。
文字スーパーと字幕は同じストリームで送られますか
符号化の方式は共通ですが、放送では字幕用と文字スーパー用に別のESを立てる運用が一般的です。受信機やビューアの設定で、どちらを受け取るかを選ぶ形になります。
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