解説放送
視覚障害者向け解説放送 / カイセツホウソウ
画面に映る人物の動きや場面の様子、字幕やテロップの内容をナレーションで補い、目の不自由な視聴者にも番組の内容が伝わるようにした放送です。多くは副音声で提供され、総務省の指針で普及目標が定められています。
- 英語での呼び方
- Audio Description(AD)
- 主な提供方法
- 副音声(主音声に解説ナレーションを重ねた別の音声)
- 台本を書く人
- ディスクライバー(解説原稿の書き手)
- 普及目標の根拠
- 総務省「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」(2018年策定、2023年改定)
- 普及目標の対象時間
- 7時から24時
- NHKと県域局以外の地上系民放の目標
- 2027年度までに対象番組の15%以上
ドラマを見ていて急に「男が振り返る」といった声が聞こえてきたら、音声が副音声に切り替わっています。その声が解説放送です。消したいときはリモコンの音声切替で主音声に戻せば止まります。
解説放送の現場での使われ方
解説放送は完成した番組を材料にして、後から作ります。流れは次の通りです。
- ディスクライバーが本編を繰り返し見て、台詞や効果音の隙間に入る長さで情景の描写を書く
- 放送時間に合わせて原稿を刈り込み、画面に出る字幕やテロップの読み上げも盛り込む
- ナレーターが本編の音を聞きながら隙間に合わせて読み、収録する
- MAで本編の音声と解説ナレーションをミックスし、副音声用の音声として仕上げる
仕上がった解説入りの音声は、納品仕様書で指定された音声チャンネルに収めて局へ納めます。台詞が途切れない討論番組や、主音声に隙間のない番組には付けられません。映画でも同じ考え方の音声ガイドがあり、劇場ではスマートフォンのアプリで解説音声を聞く方式が使われています。
解説放送の普及目標と対象になる番組
総務省の「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」は、解説放送の対象時間を7時から24時と定めています。対象から外れるのは、権利処理上の理由で解説を付けられない番組、二カ国語放送や副音声などで既に2つ以上の音声を使っている番組、5.1chサラウンドの番組、主音声に解説を差し込む隙間のない番組です。
2027年度までの目標は、NHKの総合放送と県域局以外の地上系民放が対象番組の15%以上、NHKの教育放送が20%以上、県域局が10%以上、NHK以外のBS放送が5%以上です。字幕放送の目標が「対象番組の全て」を掲げているのと比べると、数字は控えめです。原稿を一から書く必要があり、1本あたりの制作の手間が大きいことが背景にあります。
解説放送で間違えやすい点
「副音声」と「解説放送」は同じ意味ではありません。副音声は主音声とは別に送る2つめの音声の枠のことで、そこに載せる中身が二カ国語の原語音声のこともあれば、スポーツ中継の別実況のこともあります。解説放送はそのうちの一つの使い道です。番組表で「解」のマークが付いている番組が解説放送の対象です。
もう一つは音量の扱いです。解説ナレーションを本編の上に重ねるので、台詞やBGMとの音量のバランスを取り直す必要があります。音量の確認にはラウドネスの値を使い、主音声と副音声を切り替えたときに聞こえ方の差が大きくならないようにします。解説放送の制作工程や普及が進みにくい理由は、副音声と解説放送の仕組みでも詳しく扱っています。
よくある質問
解説放送を消すにはどうすればいいですか
リモコンの「音声切替」ボタンを押して主音声に戻します。毎回副音声で始まる場合は、テレビやレコーダーの設定で音声の初期値が副音声になっていないか確認してください。
解説放送はどの番組で聞けますか
番組表で「解」のマークが付いている番組です。ドラマ、アニメ、ドキュメンタリーなど、映像を見ないと内容が分かりにくい番組を中心に付けられています。
解説放送と音声ガイドは同じものですか
考え方は同じで、どちらも映像の情報を音声で補います。テレビでは解説放送、映画館や配信では音声ガイドや音声解説と呼ばれることが多いです。
この用語を扱ったコラム
似ている用語との違い
| 名前 | 主に使う場面 | 解説放送との違い |
|---|---|---|
| 字幕放送 | 聴覚障害者向け | 音声の情報を文字で補う。解説放送は映像の情報を音声で補う |
| 二カ国語放送 | 洋画・海外ドラマ | 同じ副音声の枠を使うが、中身は原語や吹き替えの音声 |
| ナレーション | 番組の構成 | 番組そのものの一部として全員に聞かせる声。解説は切り替えた人だけに届く |
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