ラウドネス
Loudness / ラウドネス
人が耳で感じる音の大きさを数値にしたものです。放送では番組やCMの平均ラウドネスを一定の目標値に揃える運用が行われており、日本のテレビは-24 LKFSが基準です。
- 測定方法
- ITU-R BS.1770(K特性フィルタとゲーティング)
- 単位
- LKFS、LUFS(同じ値)。差はLU(1 LU = 1 dB)
- 日本のテレビの目標値
- -24 LKFS(ARIB TR-B32)
- 欧州の目標値
- -23 LUFS(EBU R 128)
- 米国の目標値
- -24 LKFS(ATSC A/85)
- ピークの上限
- 日本・欧州とも-1 dBTP(トゥルーピーク)
「番組からCMに切り替わると急に音が大きくなる」という苦情に応えるために生まれたのが、ラウドネスによる音量管理です。波形の最大値ではなく、人が感じる音の大きさの平均を測って揃えるので、ピークを同じにしても音量感が揃わなかった問題を解消できます。
ラウドネスが使われる場面
いちばん関わりが深いのはMAの工程です。テレビ番組の音声を仕上げるとき、ミキサーはラウドネスメーターを見ながら、番組全体の平均が目標値に収まるように調整します。日本のテレビでは、ARIB TR-B32に基づき-24 LKFSが目標値で、運用上の許容範囲は±1 dBです。
納品のときは、測った値を書類に記入して渡します。民放連の技術規準T032は、番組の平均ラウドネス値を小数点以下1位まで納品物の添付書類に書くことを求めており、受け入れ側の検査で上限を超えていれば作り直しになります。CMも同じ扱いで、テレビCM素材搬入基準がT032に準拠する形に改訂されています。民放連加盟局は2012年10月1日にこの運用を始めました。
配信の世界でも、ラウドネスの考え方は広がっています。配信サービスの多くは再生時に音量を自動で揃える機能を持ち、動画配信サービスの納品仕様では独自の目標値やピークの上限が決められています。
ラウドネスの仕組みと測り方
ラウドネスの測定方法はITU-R BS.1770で国際的に決まっています。まず、人の耳が低い音に鈍いことを模したK特性フィルタを通し、音の強さを計算します。そのうえで、無音に近い部分や、全体より大幅に小さい部分を計算から外すゲーティングを行い、番組全体の平均を1つの値にまとめます。この値を平均ラウドネス値と呼び、単位はLKFSまたはLUFSです。
ピークの管理も併せて行います。デジタル音声は、サンプルとサンプルのあいだで実際の波形がサンプル値より高くなることがあり、これを見込んだトゥルーピークで上限を管理します。日本のTR-B32も欧州のEBU R 128も、上限を-1 dBTPとしています。
ラウドネスの運用で間違えやすい点
許容範囲を目標のように扱うのはよくある誤りです。T032は、±1 dBの許容範囲を見込んだ制作をしてはならないと明記しています。-23.5 LKFSで納めればよいという発想ではなく、-24 LKFSを狙って仕上げます。
国によって目標値が違う点にも注意が必要です。日本と米国は-24、欧州は-23なので、海外に番組を販売するときや海外の素材を受け入れるときは、先方の仕様で測り直します。
ピークが上限に収まっていることと、ラウドネスが目標値に合っていることは別の条件です。リミッターで-1 dBTP以下に抑えた素材でも、平均が-20 LKFSなら規定を超えています。書き出したあとに全体の音量を上げて帳尻を合わせると、ピークが上限を超えてリミッターをかけ直すことになります。MAの段階から平均値を見ながら仕上げるほうが、手戻りは少なく済みます。
よくある質問
ラウドネスの基準値はいくつですか
日本のテレビ放送は-24 LKFSで、許容範囲は±1 dBです。欧州のEBU R 128は-23 LUFS、米国のATSC A/85は-24 LKFSが目標値です。配信サービスは各社が独自の値を定めています。
ラウドネスはどのソフトで測れますか
Premiere Pro、DaVinci ResolveのFairlight、Pro Toolsなどの編集・MAソフトに、ラウドネスメーターの機能やプラグインがあります。FFmpegのebur128フィルタでも、ファイル全体の平均ラウドネス値を測れます。
ラウドネス規制はいつから始まったのですか
日本では2011年3月にARIB TR-B32が策定され、民放連加盟局が2012年10月1日から運用を始めました。NHKも2013年4月から同じ規定に沿った運用を始めています。
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | ラウドネスとの違い |
|---|---|---|
| LKFS / LUFS | ラウドネスの単位 | ラウドネスを表す数値の単位と、メーターの見方の話 |
| ピークレベル | 音声の最大振幅 | 波形のいちばん高い点の大きさ。短い音はピークが高くても小さく聞こえることがある |
| VUメーター | アナログ時代の音量管理 | 瞬間の平均的な振れを見る針のメーター。番組全体の音量感を1つの値で表す仕組みはない |
関連する用語
最終更新