データカルーセル
Data Carousel(DSM-CCデータカルーセル) / データカルーセル
データ放送のファイルなどを放送波で届けるために、同じデータを一定の周期で繰り返し送り続ける伝送の方式です。MPEG-2のDSM-CCで定められた仕組みで、日本のデジタル放送ではBMLの文書や画像をこの方式でTSに多重して送っています。
- もとになる規格
- ISO/IEC 13818-6(MPEG-2 DSM-CC)
- 日本の放送での規定
- ARIB STD-B24 第三編(データ伝送方式)
- 運ばれる主なもの
- BML文書、画像、スクリプト、バイナリーテーブルなどデータ放送のファイル
- データの単位
- コンポーネント(TSの中のストリーム)の下にモジュールが並び、1つのモジュールに複数のファイルをまとめられる
- 主なメッセージ
- DII(DownloadInfoIndication)でモジュールの一覧を、DDB(DownloadDataBlock)でデータ本体を送る
- 送り方
- 同じ内容を周期的に繰り返し送る。受信機は途中から受け始めても一周待てばそろう
チャンネルを変えてdボタンを押しても、データ放送の画面が出るまで少し待たされる。その待ち時間の正体がデータカルーセルです。放送は受信機からの要求を受け取れないので、必要なファイルを回転木馬(カルーセル)のように何度も繰り返し流し、受信機は自分に必要な部分が回ってくるのを待って拾います。
データカルーセルが使われる場面
いちばん身近なのは、地上デジタル、BS、110度CSのテレビで出るデータ放送です。ニュースや天気の画面を作るBMLの文書、画像、スクリプト、データの表は、データカルーセルでまとめられ、映像や音声と一緒にTSに多重されて送られています。
放送局の中でデータカルーセルを扱うのは、データ放送の送出設備を運用する担当や、その設備を作るメーカーです。制作されたBMLのコンテンツを、どのモジュールに入れ、どのくらいの周期で回すかを決めて送り出します。受信機を作る側では、TSからカルーセルを組み立て直してファイルを取り出す処理が、BMLブラウザの前段として必要になります。
録画したTSからデータ放送の中身を調べる解析の場面でも、まずカルーセルを解くところから始めます。オープンソースのweb-bmlも、映像を変換せずデータカルーセルだけを解いて表示するモードを持っています。
データカルーセルの仕組み
データカルーセルはMPEG-2の拡張規格であるDSM-CC(ISO/IEC 13818-6)で定められ、日本の放送での使い方はARIB STD-B24の第三編で決まっています。構造は次のように階層になっています。
- TSの中の1本のストリームが1つの「コンポーネント」で、PMTの記述子でデータ放送のストリームであることが示される
- コンポーネントの中に「モジュール」が並ぶ。モジュールには番号と版番号、大きさがあり、1つのモジュールに複数のファイルをまとめて入れられる
- DIIというメッセージで、そのコンポーネントにどのモジュールがあるかを知らせる
- DDBというメッセージで、モジュールの中身を小さなブロックに分けて送る
受信機はDIIでモジュールの一覧を知り、DDBのブロックを集めてモジュールを組み立てます。最初に表示する文書を含むモジュールがそろうと、画面が出ます。内容を差し替えるときは、送出側がモジュールの版番号を上げて送り、受信機はそれを見て新しいモジュールを取り直します。
データカルーセルで間違えやすい点
設計や解析で気をつけたいのは次の点です。
- 1周に含めるデータを増やすほど周期が長くなり、表示までの待ち時間が延びる
- 版番号を上げ忘れると、受信機は中身が変わったことに気づかず、古い画面を出し続ける
- 録画したTSの長さがカルーセルの1周より短いと、ファイルがそろわず、解析しても画面を再現できない
- データ放送だけのサービスでは映像のストリームがなく、映像があることを前提にしたツールでは扱えないことがある
よくある質問
データカルーセルとは何ですか
放送波で同じデータを周期的に繰り返し送る伝送方式のことです。受信機がいつチャンネルを合わせても、一周待てば全部のデータがそろうように作られています。
DSM-CCとデータカルーセルの関係は
DSM-CCはMPEG-2の第6部で、デジタル映像の制御やデータの伝送の仕組みをまとめた規格です。データカルーセルはその中で定められた伝送方式の1つで、日本のデータ放送はこれを使っています。
データ放送が出るまで時間がかかるのはなぜですか
データカルーセルが1周して、最初に表示する文書と必要なファイルがそろうまで待つ必要があるからです。1周に入れるデータが多い局や画面ほど、待ち時間は長くなります。
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | データカルーセルとの違い |
|---|---|---|
| オブジェクトカルーセル | 欧州のデータ放送など | データカルーセルを拡張し、ファイルやディレクトリをオブジェクトとして扱えるようにしたもの。日本のBMLはデータカルーセルで運ぶ |
| ARIB STD-B24の字幕 | 放送の字幕 | 字幕は表示の時刻を持った独立PESとして送る。ファイルを周期的に回すカルーセルとは運び方が違う |
| HLS | ネット配信 | 受信側が必要なファイルを取りに行く方式。カルーセルは送る側が一方的に流し続け、受信側は待って拾う |
関連する用語
最終更新