信号・規格 送出配信

ARIB STD-B10

デジタル放送に使用する番組配列情報 / アライブエスティーディービージュウ

日本のデジタル放送で、チャンネルの構成や番組名、放送時刻、ジャンルなどを受信機に伝える番組配列情報(SI)のデータ構造を定めたARIBの標準規格です。EPGや選局、録画予約の元データはこの規格の形で送られています。

正式名称
デジタル放送に使用する番組配列情報
策定団体
電波産業会(ARIB)
1.0版(1997年6月)策定。5.14版(2025年3月)が最新
構成
第1部 構成と識別子の運用基準、第2部 基本情報のデータ構造と定義、第3部 拡張情報(番組インデックス)、付属 運用方法のガイドライン
定める主な表
NIT、SDT、BAT、EIT、TDT、TOT、RST、BIT、NBIT、LDT
基本にした方式
欧州DVBの番組配列情報(DVB-SI)
文字の符号化
ARIB STD-B24の8単位符号
英語版
5.13-E1(2019年12月)をARIBが無料公開

受信機やレコーダー、番組表サービスの開発で「SIはARIB STD-B10に準拠」と渡されたら、放送波から番組名や放送時刻を取り出す処理は、この規格の表の構造どおりに組むことになります。どのPIDにどの表が流れ、番組名が何バイト目から始まるかまで、B10が決めています。

ARIB STD-B10が使われる場面

放送局の側では、編成システムに登録した番組名や放送時刻、番組の説明を、SI送出装置がB10の形式の表に組み立て、送出マスターの多重化装置で映像や音声と一緒にTSへ入れます。番組の延長や差し替えがあれば、表を更新して送り直します。

受信機の側では、テレビやレコーダーがこれを読んで番組表を作り、チャンネル名を表示し、録画予約を番組の変更に追従させます。受信装置の望ましい仕様を定めたARIB STD-B21にも、EPGの仕様を扱う章があります。

開発や検証では、TSDuckのようなTS解析ツールでSIの表を1つずつ表示し、送出側が意図した値が乗っているかを確かめます。録画したTSから番組情報を抜き出して、アーカイブのメタデータに使うシステムもこの規格を読んで作ります。

ARIB STD-B10の仕組み

B10の番組配列情報は、MPEG-2 Systemsの制御信号(PSI)を補う情報として設計されています。PSIが「このTSの中のどのパケットが映像か」を知らせるのに対し、SIはチャンネルの名前や番組の中身を知らせます。欧州のDVB-SIを基本の方式に選び、日本の放送に合わせて表や記述子を足した構成です。

主な表と役割は次の通りです。

  • NIT:ネットワークの物理的な構成(PID 0x0010)
  • SDT:チャンネル(サービス)の名前や種類(PID 0x0011)
  • EIT:番組名、開始時刻、長さ、ジャンルなど番組ごとの情報(PID 0x0012)
  • TDT、TOT:現在の日付と時刻(PID 0x0014)
  • BIT:放送事業者の単位とSIの送出パラメータ(PID 0x0024)

表の中身は記述子で広げていく作りで、番組名と短い説明は短形式イベント記述子、ジャンルはコンテント記述子、コピー制御はデジタルコピー制御記述子が運びます。表ごとの送出周期も決まっていて、自ストリームの現在と次の番組のEITは2秒に1回以上、SDTも2秒に1回以上送ることになっています。

ARIB STD-B10を実装するときに間違えやすい点

文字列の符号化が最初の関門です。番組名や説明文はARIB STD-B24の8単位符号で書かれているので、Shift_JISやUTF-8として読むと文字化けします。

時刻は協定世界時ではなく日本標準時で、日付は修正ユリウス日(MJD)の下位16ビット、時分秒は4ビットずつのBCDで入っています。16ビットのMJDで表せるのは2038年4月22日までです。BSと110度CSの運用規定TR-B15は8.0版で、限定受信の処理がこの日付を越えても続けられるよう、基準日の考え方を補いました。

地上デジタル放送では、EITが0x0012に加えて0x0026と0x0027のPIDでも送られます。階層ごとにPIDを割り当てる運用に合わせたもので、TR-B14では固定受信機向け(H-EIT)、携帯受信機向け(M-EIT)、ワンセグ向け(L-EIT)のEITを使い分けます。0x0012だけを見ていると取りこぼします。

もう1つ、B10だけ読んでも送出の実際は決まりません。どの表を必須にし、どの記述子をどう使うかは、地上デジタル放送ならARIB TR-B14、BSと110度CSならTR-B15の「PSI/SI運用規定」の編で決まっています。

ARIB STD-B10と4K8K放送の番組情報の違い

B10はTSで送る放送を前提にした規格です。新4K8K衛星放送はTSではなくMMT・TLVで送られるため、番組情報の表もARIB STD-B60が定めるMH-EITやMH-SDTなどに置き換わっています。名前と役割は似ていても、同じパーサーでは読めません。

よくある質問

ARIB STD-B10は無料で読めますか

英語版(5.13-E1)はARIBのサイトから誰でも無料でダウンロードできます。日本語の最新版(5.14版)は、会員以外はARIB Web Storeでの購入になります。

ARIB STD-B10とEPGはどう関係していますか

EPGは受信機が画面に出す番組表で、その元データがB10の定めるEITやSDTです。局がEITを更新すると、受信機の番組表と録画予約もそれに合わせて変わります。

ARIB STD-B10のジャンルコードはどこに書かれていますか

コンテント記述子の値として、付録に大分類と中分類の一覧があります。大分類はニュース・報道、スポーツ、ドラマ、アニメ・特撮など12種類とその他で、それぞれの下に中分類が並びます。

似ている形式との違い

名前 主に使う場面 ARIB STD-B10との違い
PSI/SI TSの制御情報の総称 MPEG-2 SystemsのPSIと番組配列情報をまとめた呼び名。B10はそのうち日本のSIの中身を決めた規格
ARIB TR-B14 地上デジタル放送の運用 B10が表と記述子の形を決め、TR-B14の第四編が地上デジタル放送でどの表や記述子をどう使うかを決める
DVB-SI(ETSI EN 300 468) 欧州のデジタル放送 B10が基本に選んだ方式。日本向けにBITやLDTなどの表、独自の記述子、文字の符号化が加わっている

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