ARIB TR-B39
高度広帯域衛星デジタル放送運用規定 / アライブ ティーアール ビーサンジュウキュウ
新4K8K衛星放送(高度広帯域衛星デジタル放送)について、放送局での運用と受信機の機能仕様を定めたARIBの技術資料です。MMTによる多重化、ARIB-TTMLの字幕、HTML5のマルチメディアサービスの使い方がここで決まります。
- 正式名称
- 高度広帯域衛星デジタル放送運用規定
- 文書の種類
- ARIB技術資料(TR)
- 策定団体
- 電波産業会(ARIB)。原案は放送サービス高度化推進協会(A-PAB)が作成
- 版
- 1.0版(2016年7月)策定。2.11版(2025年10月)が最新
- 構成
- 第一部 高度BSデジタル放送運用規定、第二部 高度広帯域CSデジタル放送運用規定
- 各部の編
- ダウンロード、受信機機能仕様書、マルチメディアサービス、SI、限定受信方式、通信機能、送出、コンテンツ保護
- 分冊
- 5分冊
- 前提にする主な標準規格
- ARIB STD-B32、B44、B60、B61、B62、B63
4Kテレビや4Kチューナー、4K対応レコーダーの開発で、受信機の動作を最後に決めるのがARIB TR-B39です。MMTや字幕、データ放送の方式は標準規格で決まっていても、どの機能を必須にし、どの値で送出し、受信機が何をどう表示するかは、この運用規定を見ないと決まりません。
ARIB TR-B39が使われる場面
2018年12月に始まった新4K8K衛星放送の受信機を作るメーカーが、第一部と第二部の受信機機能仕様書を設計の基準にします。4K放送のHDRの映像や22.2chの音声を扱う機器、4K放送を録画してディスクやネットワークに出す機器では、コンテンツ保護規定の編も欠かせません。
コンテンツ保護の決まりは、2018年以降の改定で段階的に加わってきました。2018年の1.9版でリムーバブル記憶媒体向けのAACS2が、2019年の2.3版で家庭内ネットワークなどのIPインタフェース向けのDTCP2が、それぞれA-PABの認定した方式として追加されています。
放送局の側では、送出運用規定とSI運用規定の編に沿って番組と番組情報を送出し、マルチメディアサービス運用規定の編に沿ってHTML5のデータ放送を制作します。字幕を送る局は、ARIB STD-B62のARIB-TTMLをTR-B39の運用に合わせて作ります。
2025年の2.11版では、放送番組のクラウド録画や視聴に対応した受信機の導入に向けた規定も加わりました。
ARIB TR-B39の構成
第一部が高度BSデジタル放送、第二部が高度広帯域CSデジタル放送の運用規定で、それぞれ同じ八つの編で構成されています。第一部が第一〜第四分冊、第二部が第五分冊です。
- ダウンロード運用規定
- 受信機機能仕様書
- マルチメディアサービス運用規定
- SI運用規定
- 限定受信方式運用規定及び受信機仕様
- 通信機能運用規定
- 送出運用規定
- コンテンツ保護規定
2K放送のTR-B15と比べると、「データ放送」が「マルチメディアサービス」に、「PSI/SI」が「SI」に、「双方向通信」が「通信機能」に名前を変えています。TSではなくMMT・TLVで送り、データ放送をHTML5で記述する4K8K放送の方式の違いが、編の名前にも表れています。
ARIB TR-B39で間違えやすい点
字幕の表示は、B62を読むだけでは実装が固まりません。字幕の文字囲み、字幕の初期化の動作、字幕・文字スーパーの解像度、ARIB-TTMLのアニメーションの運用は、2019年から2020年にかけてのTR-B39の改定で順に明確化されました。字幕の表示部を作るときは、最新版の規定と照らし合わせます。
運用しなくなった機能にも注意が要ります。2023年の2.8版では、CaPPVと視聴ライセンスの運用に関する規定が削除されました。改定履歴には、高度BSや高度広帯域CSの事業者の放送終了、中継器の移動に伴う一覧の更新も続いていて、チャンネルの一覧を受信機に固定値で持たせる設計は避けたほうが安全です。
限定受信の方式も2K放送とは別です。4K8K衛星放送はSTD-B61の第2世代の方式を使い、その運用と受信機の仕様は限定受信方式の編で決められています。受信機に内蔵するチップで処理するこの仕組みは、ACASと呼ばれています。
よくある質問
ARIB TR-B39は無料で読めますか
英語版(2.5-E1、5分冊)はARIBのサイトから誰でも無料でダウンロードできます。日本語の最新版(2.11版)は、会員以外はARIB Web Storeでの購入です。
ARIB TR-B39とTR-B15の違いは何ですか
TR-B15はBSと110度CSの2K放送、TR-B39は同じ衛星を使う4K8K放送の運用規定です。4K8K放送はMMTで多重化し、字幕はARIB-TTML、データ放送はHTML5なので、編の名前も中身も別になっています。
ARIB TR-B39は誰が作ったのですか
ARIBの技術資料ですが、原案は一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)が作成しました。ARIBの公表している概要にもそのように記されています。
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | ARIB TR-B39との違い |
|---|---|---|
| ARIB TR-B15 | BS・110度CSの2K放送の運用 | 同じ衛星の帯域でTSを使う2K放送の運用規定。多重化、字幕、データ放送の方式がTR-B39とは違う |
| ARIB STD-B60 | MMTによるメディアの運び方 | MMTの制御情報の形を決める標準規格。TR-B39のSI運用規定の編が、そのうち実際に送る表や値を決める |
| ARIB STD-B63 | 4K8K衛星放送の受信装置 | 受信装置の望ましい仕様を決める標準規格。TR-B39の受信機機能仕様書とセットで読む |
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