HLG
Hybrid Log-Gamma / エイチエルジー
NHKとBBCが共同で開発したHDRの方式です。明るさを相対値で扱うためメタデータが要らず、SDRのテレビでもある程度そのまま映せる互換性があり、日本の4K8K衛星放送で採用されています。
- 正式名称
- Hybrid Log-Gamma
- 開発
- NHK、BBC
- 規格
- ARIB STD-B67(2015年)、ITU-R BT.2100
- メタデータ
- 不要
- 色域・ビット深度
- BT.2020、10bit
- 基準白の信号レベル
- 75%(ITU-R BT.2408)
- 主な採用例
- 新4K8K衛星放送、iPhoneのHDR動画、YouTube
HLGは、HDRで撮った映像をそのまま放送に出せることを優先して作られた方式です。後からメタデータを作る工程が無いので、スポーツや音楽の生中継でもHDRのまま送り出せます。
HLGが使われる場面
いちばん大きな採用例は、日本の新4K8K衛星放送です。NHKのBS4KとBS8KのHDR番組はHLGで制作されており、中継車、スイッチャー、送出設備までHLGを通しています。HDRとSDRの番組を同時に作る中継では、HLGで映像を作り、そこからSDR用に変換した信号を分けて出す構成が組まれます。
カメラ側の対応も広がっています。ソニーのα(アルファ)シリーズやFXシリーズにはHLGのピクチャープロファイルがあり、パナソニックのLUMIXにもHLGのフォトスタイルがあります。撮って出しのHDR映像が得られるので、グレーディングの時間を取れない現場で使われます。
身近な例では、iPhone 12以降で撮ったHDR動画がHLGです。Appleはこれを「Dolby Vision HDR」と表示しますが、映像そのものは10bitのHLGで、そこにDolby Visionのメタデータが添えられています。YouTubeもHLGの動画を受け付けます。
HLGの仕組み
HLGという名前は、2種類のカーブを組み合わせていることから来ています。信号の下半分、0〜50%の範囲には従来のSDRに近いガンマのカーブを使い、上半分には対数(ログ)のカーブを使って、明るいハイライトを圧縮して詰め込みます。
信号の値は、表示するテレビの最大輝度に対する相対値です。ピーク輝度1,000cd/m²のテレビでも600cd/m²のテレビでも、同じ信号をそれぞれの性能に合わせて表示するため、作品ごとのメタデータを必要としません。この点が、絶対的な明るさを指定するPQとの大きな違いです。
下半分がSDRに近いカーブなので、HLGの映像をBT.2020に対応したSDRのテレビにそのまま映しても、破綻の少ない絵になります。これが後方互換と呼ばれる性質です。ただしBT.709のSDRテレビでは色域が合わず、色が薄く見えるので、BT.2020からの色域変換が必要です。
HLGの設定・運用で間違えやすい点
HLGで制作するときの注意点は次の通りです。
- 編集ソフトの設定をそろえる。Premiere ProやDaVinci Resolveで、タイムラインの色空間をRec.2100 HLGにしないと、SDRとして扱われて明るさが変わる
- 基準白の位置を守る。ITU-R BT.2408は、白い紙やテロップの白にあたる基準白を信号の75%に置くよう示している。主要な被写体をこれより大きく上げるとSDR変換で白く飛ぶ
- SDR表示でも確認する。後方互換があるとはいえ、ハイライトの色が薄く見えることがあるので、SDRのモニターで一度見ておく
- Log素材と混ぜない。HLGとLogは用途の違うカーブなので、同じタイムラインで使うときはどちらかに変換してからそろえる
よくある質問
HLGとPQの違いは何ですか
HLGは明るさを相対値で扱い、メタデータが不要でSDRとの互換性があります。PQは絶対的な明るさを指定する方式で、配信やUHD Blu-rayで使われます。放送と生中継ではHLG、映画や配信ドラマではPQが選ばれるのが一般的です。
HLGの動画は普通のテレビで見られますか
BT.2020に対応したSDRのテレビなら、ある程度自然に映ります。古いHDテレビでは色が薄く見えることがあり、きちんと見せるならSDRに変換した版を用意します。
iPhoneのHDR動画はHLGですか
はい。iPhone 12以降のHDR動画は10bitのHLGで記録され、Dolby Visionのメタデータが添えられています。仕組みはDolby Visionの項目で扱っています。
似ている形式との違い
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