ビット深度
ビットシンド
映像の1画素の明るさや色を、何段階の数値で表すかを示す値です。8bitは各成分256段階、10bitは1,024段階で、ビット数が多いほど滑らかな階調を記録でき、Log撮影やHDRでは10bit以上が前提になります。
- 8bit
- 各成分256段階。SDRのWeb動画や一般的なH.264の配信
- 10bit
- 各成分1,024段階。放送の制作、HDR、Log撮影
- 12bit
- 各成分4,096段階。シネマカメラの収録、Dolby Visionのマスター
- リミテッドレンジの輝度の範囲
- 8bitは16〜235、10bitは64〜940
- 10bitを扱える主な形式
- HEVC Main10、ProRes 422系、DNxHR HQX、XAVC、AVC-Intra
- 音声の場合
- 16bitや24bitで表す。放送やMAでは24bitが一般的
空のグラデーションや暗い室内の壁に、うっすらと縞模様が出ることがあります。バンディングと呼ばれるこの症状は、多くの場合ビット深度が足りないことが原因です。8bitと10bitの差は撮って出しでは見分けにくく、色を大きく動かしたときに表に出ます。
10bit動画が使われる場面
放送の制作では10bitが標準です。SDIの信号は10bitで流れ、AVC-IntraやXAVCのIntraも10bitで記録します。ただし局への納品形式には、XDCAM HD422のように8bitのものも残っています。
HDRでは10bitが条件です。HDRの放送や配信、UHD Blu-rayは、いずれも10bit以上で符号化されます。Log撮影も、広い明暗を記録するぶん段階が足りなくなりやすいため、10bitでの記録が基本です。
ミラーレスカメラでは、ソニーのα7 IVやFX3、パナソニックのLUMIX GH5以降のように、10bitで記録できる機種が一般的になりました。前の世代のα7 IIIのように、動画は8bitしか記録できない機種もまだ現役で使われています。iPhoneのHDR動画も10bitです。
ビット深度の仕組み
ビット深度がnのとき、1つの値を2のn乗の段階で表します。8bitなら256段階、10bitなら1,024段階、12bitなら4,096段階です。赤・緑・青の3成分それぞれがこの段階を持つので、8bitでは約1,677万色、10bitでは約10億7,000万色を表現できます。
映像の場合、この段階すべてを黒から白に使うわけではありません。放送の映像で使うリミテッドレンジでは、8bitの輝度は16〜235、10bitは64〜940の範囲に収めます。8bitで実際に使える輝度の段階は220段しか無く、ゆるやかなグラデーションでは1段ごとの境目が縞として見えてしまいます。
ビット深度は、クロマサブサンプリングやビットレートとは独立した指標です。「4:2:2 10bit 100Mbps」のように並べて書かれることが多いのは、色の間引き、階調の細かさ、圧縮の強さという3つの別々の条件を指定しているためです。
編集ソフトの内部では、DaVinci Resolveのように32bitの浮動小数点で計算するものが多く、書き出す時点で再び10bitや8bitに丸められます。
8bitと10bitで間違えやすい点
8bitと10bitの扱いで起きやすい失敗は次の通りです。
- 10bitで撮っても、H.264の8bitで書き出せば8bitの映像になる。10bitのまま渡すなら、HEVCのMain10やProResを使う
- 8bitの素材を10bitに変換しても、失われた段階は戻らない。縞は変換前の時点で決まっている
- 表示するモニターが8bitだと、10bitのファイルでも縞が見えることがある。ファイルの問題かモニターの問題かを切り分ける
- 10bitのH.264は再生できる環境が少ない。多くのハードウェアデコーダーは8bitのH.264を前提にしており、再生ソフトで止まったりカクついたりする
仕上げで縞が消えないときは、グレインを薄く加えて境目をぼかす方法もよく使われます。信号の範囲の取り違えはフルレンジ / リミテッドレンジの項目で扱っています。
よくある質問
8bitと10bitの違いは見て分かりますか
撮って出しの映像ではほとんど分かりません。空や壁のようなゆるやかなグラデーションを含む映像を、グレーディングで大きく明るくしたり色を変えたりしたときに、8bitでは縞が現れます。
YouTubeに10bitの動画をアップロードする意味はありますか
HDRの動画なら10bitが必要です。SDRの場合も、10bitの素材から書き出すと再圧縮のときの縞が出にくくなります。Log撮影の素材は、10bitで仕上げてから書き出すのが確実です。
10bitのH.264が再生できないのはなぜですか
10bitのH.264は、パソコンやスマートフォンのハードウェアデコーダーが対応していないことが多いためです。配信や受け渡しで10bitが必要なら、HEVCのMain10かProResを選ぶのが無難です。
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | ビット深度との違い |
|---|---|---|
| クロマサブサンプリング | 色差の間引き | 色の情報をどれだけ間引くかの指標。ビット深度は1つの値を何段階で刻むか |
| ビットレート | 1秒あたりのデータ量 | 圧縮後のデータ量。10bitでもビットレートが低ければブロック状の崩れが出る |
| フルレンジ / リミテッドレンジ | 信号の範囲 | 刻んだ段階のうち、黒から白にどこまでを使うかの決まり |
関連する用語
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