信号・規格収録編集納品配信

フルレンジ / リミテッドレンジ

Full Range / Limited Range / フルレンジリミテッドレンジ

映像の数値のうち、どこからどこまでを黒から白に割り当てるかの違いです。8bitなら16〜235を使うのがリミテッドレンジ、0〜255をすべて使うのがフルレンジで、解釈を取り違えると黒が浮いたり潰れたりします。

リミテッドレンジ(8bit)
黒16、白235(色差は16〜240)
リミテッドレンジ(10bit)
黒64、白940(色差は64〜960)
フルレンジ(8bit)
黒0、白255
別名
リミテッド=ビデオレベル・TVレンジ、フル=データレベル・PCレンジ
放送・動画コーデックの基本
リミテッドレンジ
PC・画像ファイルの基本
フルレンジのRGB
ffmpegでの指定
-color_range tv(リミテッド)、pc(フル)

書き出した動画を再生すると、編集ソフトで見ていたときより黒が灰色っぽく浮いている。あるいは逆に、暗いところが真っ黒に潰れている。どちらも、映像の数値のどこを黒と白にするかという約束、つまりレンジの解釈がどこかで食い違ったときの典型的な症状です。

フルレンジとリミテッドレンジが使われる場面

放送や業務用の映像は、基本的にリミテッドレンジです。YCbCrの8bitなら16が黒、235が白で、その外側は信号の余裕として残しています。SDIで流れる信号も、XDCAMやProResのような業務用コーデックも、H.264やH.265の配信用の動画も、ほとんどがこの範囲で作られています。

一方、パソコンの画面やJPEG、PNGのような画像ファイルは、0〜255をすべて使うフルレンジのRGBが基本です。映像の世界とパソコンの世界が接する場所、たとえば画面を録画して動画にするとき、静止画を動画に取り込むとき、パソコンからHDMIでモニターに映すときに、レンジの食い違いが起きやすくなります。

ゲーム配信の現場ではOBS Studioの設定に「色範囲」の項目があり、リミテッドとフルを選べます。パソコンのグラフィックスの設定にも出力のダイナミックレンジを選ぶ項目があり、モニター側の設定と合っていないと黒が浮いたり潰れたりします。

レンジの取り違えで起きる症状と仕組み

症状は2つの方向があります。リミテッドレンジの映像をフルレンジとして表示すると、本来は黒の16が暗い灰色として、本来は白の235が少しくすんだ白として表示されます。黒が浮いて全体に眠い、コントラストの低い映像になります。

逆に、フルレンジの映像をリミテッドレンジとして扱うと、16より下の値はすべて黒に、235より上の値はすべて白に切り捨てられます。暗部が潰れ、ハイライトが飛んだ、コントラストの強すぎる映像になり、切り捨てた階調はあとから戻せません。

厄介なのは、変換を2回重ねると症状が消えたように見えることです。どこかで余計な変換が入り、別の場所でもう一度逆向きに変換されると、画面上は正しく見えても、途中で階調が失われて、ビット深度が足りないときと同じようにグラデーションに段差が出ることがあります。

フルレンジとリミテッドレンジの設定で確かめる場所

DaVinci Resolveでは、メディアプールのクリップごとに、素材をビデオレベルとフルレベルのどちらとして解釈するかを設定できます。素材の解釈がおかしいときはここを確かめます。書き出しの設定にも同じ種類の項目があり、放送や配信用ならリミテッドのままにします。

ffmpegで変換するときは、-color_range tv でリミテッド、pc でフルを指定します。H.264やH.265のファイルには、どちらのレンジかを示すフラグを入れられます。MediaInfoでは「Color range: Limited」のように表示されます。フラグがないファイルは、どちらのレンジとして読むかが再生側に任されるので、書き出し時に入れておくと安全です。

書き出した映像は、頭に入れたカラーバーなどを波形モニターやスコープに映し、黒と白の位置を見ると確実です。10bitのリミテッドレンジなら、黒が64、白が940付近に来ていれば正常です。

よくある質問

動画はフルレンジとリミテッドレンジのどちらで書き出せばいいですか

放送の納品やYouTubeなどへの配信なら、リミテッドレンジで書き出すのが基本です。フルレンジで書き出しても、再生側がリミテッドとして扱うと暗部とハイライトが切り捨てられます。フルレンジを指定するのは、納品先から明示されたときや、VFXの中間素材などに限るのが無難です。

書き出した動画の黒が浮いて見えるのはなぜですか

多くは、リミテッドレンジの映像を再生ソフトやモニターがフルレンジとして表示していることが原因です。まずMediaInfoでファイルのレンジのフラグを確かめ、次に再生環境やモニターのレンジ設定を見ます。ファイル自体が正しければ、再生側の設定を合わせれば直ります。

16〜235と0〜255の違いは何ですか

16〜235は8bitのリミテッドレンジで黒と白に当てる範囲、0〜255はフルレンジで使う範囲です。同じ8bitでも、リミテッドは黒と白の間を220段階、フルは256段階で表します。

似ている形式との違い

名前主に使う場面フルレンジ / リミテッドレンジとの違い
色空間数値がどの色を指すかの約束原色や明るさの変換を決めるもの。レンジは数値のどこを黒と白にするかだけの違いで、色空間とは別に設定する
ビット深度階調の細かさ数値を何段階で持つか。レンジはその段階のうちどこまでを使うかの違い
スーパーホワイト白の上の余裕リミテッドレンジで235より上に入った値のこと。撮影時のハイライトが入るが、放送では規定を超えないよう抑える

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