信号・規格収録送出

ゲンロック

Generator Lock / ゲンロック

カメラやスイッチャー、送出機器などの映像のタイミングを、共通の基準信号にそろえる同期のことです。フレームの頭と走査の位置が全機器で一致するので、スイッチャーで切り替えても映像が乱れません。

正式名称
Generator Lock(ジェネレーター・ロック)
目的
複数の映像機器のフレームと走査のタイミングを一致させる
基準信号(SDI系)
ブラックバースト(BB)、3値シンク
基準信号(IP系)
PTP(SMPTE ST 2059-2 プロファイル)
基準信号を作る機器
同期信号発生器(SPG)
機器側の端子表記
REF IN、GENLOCK IN、SYNC IN など

カメラを3台つないだスイッチャーで、切り替えた瞬間だけ画面が一瞬跳ねる。その原因のほとんどは、機器どうしのタイミングがそろっていないことです。ゲンロックは、全機器に同じ基準信号を配ってフレームの頭をそろえる仕組みで、マルチカメラの現場ではまずここを確かめます。

ゲンロックが使われる場面

いちばん身近なのは、テレビ局のサブ(副調整室)です。スタジオのシステムカメラ、VTRやサーバー、CG送出機、スイッチャーがすべて同じ基準信号でロックされていて、どの入力を選んでも同じタイミングで切り替わります。中継車の中も同じ構成です。

基準信号を作るのは同期信号発生器(SPG)で、Telestream(旧Tektronix)のSPG8000Aやリーダー電子のLT4670のような機器がラックに入っています。ここからブラックバーストや3値シンクを分配し、各機器のREF INにつなぎます。

撮影の現場でも使います。LEDウォールを背景に撮るバーチャルプロダクションでは、LEDの表示タイミングとカメラのシャッターがずれると画面に帯状のちらつきが出るため、LEDプロセッサーとカメラを同じ基準信号でロックします。複数のシネマカメラで同じ被写体を撮り、後でフレーム単位で合わせたいときにも、カメラ同士をゲンロックすることがあります。

ゲンロックの仕組み

基準信号には、映像そのものは入っていません。入っているのは「ここが1本の走査線の頭」「ここがフレームの頭」という同期パルスだけです。機器はこのパルスに自分の内部クロックを合わせ、出力する映像のタイミングを基準に一致させます。

ただ、基準に合わせただけではスイッチャーの入力でぴったり重なるとは限りません。ケーブルの長さや機器内部の処理で遅れが出るので、各機器の位相調整(H位相、V位相)で数ライン、数十ナノ秒単位のずれを追い込みます。SDの時代は色副搬送波の位相(SC-H位相)まで合わせる必要がありましたが、SDIのデジタル伝送ではその調整はいりません。

IP化した設備では、同期パルスの代わりにネットワーク経由の時刻を使います。SMPTE ST 2110の機器はPTPで時刻を受け取り、SMPTE ST 2059でその時刻と映像のフレーム位置を対応づけます。同期パルスを配る同軸ケーブルが、ネットワークの時刻配信に置き換わった形です。

ゲンロックの設定で間違えやすい点

多いのは、基準信号のフォーマットと映像のフォーマットの食い違いです。50Hz系の基準信号では59.94Hz系の機器はロックしませんし、その逆も同じです。3値シンクはフォーマットごとに信号が違うので、SPGの出力設定を運用する映像フォーマットに合わせておく必要があります。HDの機器でもブラックバーストでロックできるものは多いので、どちらの基準を受け付けるかは機器のマニュアルで確かめます。

もう1つは、ロックしたつもりでロックしていないケースです。REF INにケーブルが刺さっていても、機器の設定が内部同期(INT)のままならロックしません。多くの機器はフロントパネルやメニューに「REF LOCK」「GENLOCK」などの表示があるので、本番前にそこを見ます。

中継回線や他局から来る映像は、送り元が局の基準にロックしていません。こうした入力はフレームシンクロナイザーに通して局の基準に合わせ直してからスイッチャーに入れます。

よくある質問

ゲンロックとタイムコード同期の違いは何ですか

タイムコード同期は、各機器が記録する時刻の番号をそろえるものです。ゲンロックは映像信号そのものの出力タイミングをそろえます。ライブで切り替えるならゲンロック、別々に収録した素材を編集で合わせるならタイムコードが主役で、放送の現場では両方を同時に使うのが普通です。

ゲンロックしないとどうなりますか

スイッチャーの種類によって症状が変わります。フレームシンクロナイザーを内蔵していない機種では、切り替えの瞬間に画面が乱れたり黒が挟まったりします。内蔵している機種では見た目は切り替わりますが、入力ごとに最大1フレーム程度の遅れが加わり、音とのずれにつながります。

家庭用やミラーレスのカメラはゲンロックできますか

多くのミラーレスカメラやハンディカムにはREF INやGENLOCKの端子がなく、ゲンロックはできません。業務用のシステムカメラや一部のシネマカメラ、放送用カムコーダーにはこの端子があります。

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似ている形式との違い

名前主に使う場面ゲンロックとの違い
タイムコード同期収録素材の後合わせ時刻の番号をそろえるだけで、映像の走査タイミングまではそろわない
フレームシンクロナイザー中継回線など外部から来る映像同期していない映像をメモリーで受けて遅延させ、局の基準に合わせ直す。ゲンロックできない送り元に使う
PTPST 2110 などIP伝送ネットワーク上で時刻を配って同期する方式。IP化した設備でゲンロックの役割を担う

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