信号・規格収録編集納品

クロマサブサンプリング

クロマサブサンプリング

映像を明るさ(輝度)と色差に分けたうえで、人の目が気づきにくい色差の情報を間引いてデータ量を減らす仕組みです。4:2:2や4:2:0のような比で表し、放送の素材は4:2:2、配信や家庭用の機器は4:2:0が一般的です。

表記
J:a:b の3つの数字(4:4:4、4:2:2、4:2:0 など)
前提となる信号
YCbCr(輝度Yと色差Cb・Cr)
4:4:4
間引きなし。CG合成、グリーンバック、マスター素材
4:2:2
色差を横方向に半分。放送の制作と納品の標準
4:2:0
色差を縦横とも半分。H.264やHEVCの配信、Blu-ray、民生のカメラ
4:1:1
色差を横方向に4分の1。NTSC圏のDV
データ量(4:4:4との比)
4:2:2は約3分の2、4:2:0は約半分

「4:2:2 10bit」という表記は、納品仕様書やカメラのカタログで頻繁に目にします。前半の4:2:2は色の情報をどれだけ間引いたかを示す値で、後半の10bitは階調の細かさを示す値です。2つは別々の指標なので、分けて考えると整理しやすくなります。

4:2:2や4:2:0が使われる場面

放送の世界では4:2:2が標準です。局への納品で使われるXDCAM HD422は、名前の通り4:2:2のMPEG-2です。AVC-Intra 100やXAVCのIntraも4:2:2で記録し、局内の配線を流れるHD-SDIの信号も4:2:2のYCbCrです。

配信や家庭用の機器は4:2:0が中心です。YouTubeやNetflixが視聴者に届ける映像、Blu-ray、iPhoneや民生のビデオカメラで撮った映像は、ほとんどが4:2:0です。

ミラーレスカメラでは、ソニーのFX3やα7 IV、パナソニックのLUMIX GH系のように、4:2:0と4:2:2を記録設定で選べる機種が増えています。4:4:4は、CGやVFXの合成、グリーンバックの切り抜き、アルファチャンネル付きのテロップ素材のように、色の境目の精度が求められる工程で使われ、ProRes 4444がその代表です。

クロマサブサンプリングの仕組み

人の目は、明るさの細かな変化には敏感ですが、色の細かな変化には鈍感です。そこで映像を輝度(Y)と2つの色差(Cb、Cr)に分け、輝度はすべての画素に残し、色差だけを間引きます。

数字は、横4画素×縦2行のブロックで考えます。最初の4はブロックの横幅、次の数字は1行目で色差を何画素ぶん持つか、最後の数字は2行目で新しく色差を何画素ぶん持つかを表します。

1920×1080の映像でいえば、Cb、Crそれぞれの画素数は次のようになります。

方式

色差1成分の画素数

データ量の目安

4:4:4

1920×1080

1

4:2:2

960×1080

約3分の2

4:2:0

960×540

約半分

4:2:0は、色の情報が4:4:4の4分の1しか無いのに、見た目の差は多くの場面でほとんど分かりません。これが配信で4:2:0が選ばれる理由です。

4:2:0と4:2:2で困りやすい点

違いが表に出るのは、色の境目をはっきり扱う場面です。

  • グリーンバックの切り抜きで、4:2:0の素材は髪の毛や輪郭がギザギザになりやすい
  • 画面収録やテロップのように、赤や青の細い文字を含む映像は、4:2:0で書き出すと文字の縁がにじむ
  • 4:2:0の素材を4:2:2に変換しても、失われた色の情報は戻らない。仕様書の数字は満たせても、中身の精細さは元の素材のまま
  • HEVCの4:2:2 10bitは、パソコンやGPUによってはハードウェアでの再生に対応しておらず、編集ソフトの動作が極端に重くなる

最後の点は、ミラーレスカメラの4:2:2 10bit素材でよく起きます。ProResなどの編集向け形式にトランスコードするか、プロキシを作ると解消します。原因の切り分けはHEVCが再生できない原因と対処で詳しく扱っています。

よくある質問

4:2:2と4:2:0の違いは見て分かりますか

普通に再生するだけなら、ほとんどの場面で見分けられません。差が出るのは、グリーンバックの合成、強いカラーグレーディング、細かい色文字を含む映像です。

4:2:2 10bitで撮る必要はありますか

Log撮影でグレーディングをする、合成をする、放送局に納品するといった予定があるなら、4:2:2 10bitで撮っておくと安心です。撮って出しでSNSに出すだけなら、4:2:0でも足ります。階調の話はビット深度の項目で扱っています。

ProRes 422の「422」は4:2:2のことですか

はい。ProRes 422系の各形式は4:2:2で、ProRes 4444系は4:4:4に加えて透明度を表すアルファチャンネルを持てます。

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