Log撮影
ログサツエイ
被写体の明るさを対数(ログ)のカーブで記録し、白飛びや黒つぶれを抑えて広い明暗を残す撮影方法です。撮ったままでは眠い灰色がかった絵になり、編集でLUTやカラーグレーディングをかけて仕上げます。
- 記録の考え方
- 明るさが1段上がるごとに、ほぼ同じ幅の信号を割り当てる
- 主なLog
- S-Log3(ソニー)、V-Log(パナソニック)、Canon Log(キヤノン)、LogC3・LogC4(ARRI)、N-Log(ニコン)、F-Log(富士フイルム)、Apple Log(Apple)
- 組み合わせる色域
- S-Gamut3、V-Gamut、ARRI Wide Gamut など各社独自
- 仕上げ
- LUTの適用、カラーグレーディング
- 推奨されるビット深度
- 10bit以上
Logで撮った映像を再生すると、コントラストも色も薄い、灰色がかった絵が出てきます。これは失敗ではなく、明るい窓の外と暗い室内を同時に残すための記録方法で、仕上げの工程で色を戻す前提の素材です。
Log撮影が使われる場面
CM、ミュージックビデオ、ドラマ、映画のように、撮影後にカラーグレーディングの時間を取る制作では、Log撮影が標準的な方法です。ソニーのVENICEやFX6、ARRIのALEXAシリーズ、キヤノンのCINEMA EOSといったシネマカメラは、Logでの記録を前提に設計されています。
ミラーレスカメラでも、ソニーのα7S IIIやFX3、パナソニックのLUMIX Sシリーズなどが各社のLogを搭載しており、ドキュメンタリーや企業映像、YouTubeの制作にも広がっています。iPhone 15 ProではApple Logでの記録ができるようになりました。
逆に、ニュースや生中継のように撮ったまますぐ使う現場では、Logは使いません。放送用のBT.709やHLGで撮り、その場で完成した絵にします。
撮影現場では、Logのままでは明るさや色を判断しにくいため、カメラや外部モニターでLUTを当てて通常の見た目に変換した映像を見ながら撮るのが一般的です。
Log撮影の仕組み
通常のRec.709の映像は、中間の明るさにコントラストを多く割り当て、明るい部分は早めに白に張り付かせます。見た目は良いのですが、空や照明のように明るい部分の階調は失われます。
Logのカーブは、明るさが1段(2倍)上がるごとに、ほぼ同じ幅の信号を割り当てます。暗部から明部まで均等に階調を残せるので、記録できる明暗の幅が広がります。その代わり、中間の明るさのコントラストが低くなり、画面全体が眠く見えます。
Logのカーブと色域はメーカーごとに違います。18%グレーを置く信号レベルも、S-Log3は41%、V-Logは42%というように少しずつ異なるため、LUTや変換はカメラと同じ種類のLogに合わせる必要があります。
Log撮影で失敗しやすい点
Log撮影でよくある失敗は次の通りです。
- 露出を暗めにしすぎる。Logは画面が眠く見えるので暗く撮りがちだが、アンダーの素材は仕上げで持ち上げたときにノイズが目立つ
- カメラ内の設定とLUTの種類が合っていない。同じメーカーでも色域の設定が違えば別のLUTが必要になる
- 8bitで記録する。広い明暗を少ない段階で記録するため、グレーディングで色を動かすと空や壁に縞が出る。Logは10bit以上で撮るのが基本で、理由はビット深度の項目で扱っている
- Logに切り替えると最低ISOが上がる機種が多く、晴れた屋外ではNDフィルターが無いと露出を合わせられない
編集では、LUTを1つ当てれば終わりというわけではありません。カットごとの露出の差を整える作業はカラーグレーディングの工程で行います。
よくある質問
Log撮影は初心者でも使うべきですか
グレーディングに時間を割けないなら、撮って出しの設定のほうが仕上がりが安定します。まずは露出の合わせ方とLUTの当て方を覚えてから、少しずつLogに移るのが安全です。
Logで撮った映像が白っぽく眠いのはなぜですか
明暗の幅を広く残すため、中間の明るさのコントラストを下げて記録しているからです。カメラと同じ種類のLogに合ったLUTを当てると、通常の見た目に戻ります。
LogとRAWの違いは何ですか
RAWはセンサーのデータを映像にする前の状態で記録し、ホワイトバランスやISOを後から変えられます。Logは映像にしたうえで明るさのカーブをかけたもので、データ量はRAWより小さく済みます。
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