S-Log3
エスログスリー
ソニーのカメラが使うLogガンマで、映画用フィルムのスキャンで使われてきたCineonに近い特性で広い明暗を記録します。色域のS-Gamut3かS-Gamut3.Cineと組み合わせて使い、LUTやグレーディングで仕上げます。
- 開発
- ソニー
- 種類
- Logガンマ(撮影用の明るさのカーブ)
- 組み合わせる色域
- S-Gamut3、S-Gamut3.Cine
- 18%グレーの信号レベル
- 41%
- 90%白の信号レベル
- 61%
- 主な搭載機種
- VENICE、FX9、FX6、FX3、FX30、α7S III など
- 前の世代
- S-Log2
S-Log3で撮った素材は、グレーディングに回す前提の、いわばネガのような素材です。露出の基準値と、カメラの色域設定に合ったLUTの組み合わせを押さえておけば、仕上がりのばらつきはかなり減ります。
S-Log3が使われる場面
ソニーのシネマカメラであるVENICE、FX9、FX6は、ドラマやCM、映画の撮影でS-Log3による記録が基本の運用です。小型のFX3やFX30、α7S IIIもS-Log3を搭載しており、ミュージックビデオ、ドキュメンタリー、企業映像まで使われる範囲は広がっています。
複数のソニー製カメラを並べる撮影では、全台をS-Log3とS-Gamut3.Cineにそろえておき、編集で同じLUTを当てて色を統一する進め方が一般的です。DaVinci Resolveでは、色空間変換の入力に「Sony S-Gamut3.Cine / S-Log3」を選べば、ほかの色空間に正しく変換できます。ACESのワークフローでも、ソニーのカメラ用の入力変換が用意されています。
S-Log3の露出の決め方
S-Log3では、18%グレーのチャートを信号の41%、90%の白いカードを61%に置く露出が、ソニーの示す基準です。10bitのコード値でいえば、18%グレーはおよそ420にあたります。カメラのゼブラやウェーブフォームモニターでこの値を見ながら合わせます。
実際の現場では、基準より1段ほど明るく撮る人も少なくありません。S-Log3は暗部にノイズが乗りやすく、少し明るめに記録して編集で下げたほうが、きれいな暗部が残るためです。FX6やFX9のCine EIモードでは、記録の感度は固定したまま、モニター上の明るさの基準(EI)を下げることで、この明るめの露出を作れます。
S-Log3に切り替えると、使える最低ISOが上がる機種がほとんどです。α7S IIIでは、S-Log3のときの基準のISOが640と12800の2つです。晴れた屋外では絞りだけで露出を合わせきれないので、NDフィルターを用意しておきます。
S-Log3のLUTと色域の選び方
組み合わせる色域は2つあります。S-Gamut3はカメラのセンサーが捉えられる色をほぼすべて収める広い色域で、S-Gamut3.Cineはそれよりやや狭く、映画のDCI-P3より少し広い範囲に収めた色域です。グレーディングのしやすさから、S-Gamut3.Cineを選ぶ現場が多くあります。
ソニーは、S-Log3の素材をRec.709の見た目に変換するLUTを配布しています。LC-709やLC-709TypeAのように仕上がりの傾向が違う数種類があり、ファイル名に色域が入っているので、カメラの設定と同じ色域のものを選びます。S-Gamut3で撮った素材にS-Gamut3.Cine用のLUTを当てると、彩度がずれます。
記録形式にも注意が要ります。XAVCの10bitで記録できる機種ならS-Log3の階調を活かせますが、8bitしか選べない機種で撮ると、グレーディングで空や壁に縞が出やすくなります。
よくある質問
S-Log3とS-Log2はどちらを使えばよいですか
新しい機種ではS-Log3が主流です。S-Log3は18%グレーの位置が高く、暗部の階調が残りやすいうえ、映画の後処理で使われてきたCineonに近い特性なので、グレーディングの流れに乗せやすくなっています。
S-Log3の素材にどのLUTを当てればよいですか
まずはソニーが配布している、カメラの色域設定と同じ名前のLUTを使います。そのうえで作品の見た目を作りたいなら、Log撮影の基本をLog撮影で押さえてからグレーディングで調整します。
S-Log3で撮るとノイズが多いのはなぜですか
露出が基準より暗いと、暗部を持ち上げたときにノイズが目立ちます。18%グレーが41%に届いているかを確かめ、余裕があれば1段ほど明るめに撮ると改善します。
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | S-Log3との違い |
|---|---|---|
| V-Log | パナソニックのカメラ | パナソニックのLog。18%グレーを42%に置き、色域はV-Gamut |
| S-Log2 | ソニーの旧世代のLog | 18%グレーの位置が低く、暗部の階調の残し方が違う。S-Log3のほうが後処理のワークフローに乗せやすい |
| S-Cinetone | 撮って出しの作品づくり | ソニーのシネマ向けの見た目をそのまま記録する設定。グレーディングを前提にしない |
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