AES67
High-performance streaming audio-over-IP interoperability / エーイーエスロクジュウナナ
メーカーや方式の違うIP音声の機器どうしが、非圧縮の音声をやり取りできるように決めた共通の送り方の規格です。AESが2013年に発行し、Dante、RAVENNA、LivewireなどがAES67に対応しています。
- 策定団体
- AES(Audio Engineering Society)
- 初版
- 2013年9月(2015年、2018年、2023年に改訂)
- 同期
- PTPv2(IEEE 1588-2008)
- 伝送
- RTP / UDP / IP(マルチキャスト・ユニキャスト)
- 音声形式
- 非圧縮のリニアPCM(16bit・24bit)
- 必須のサンプリング周波数
- 48kHz
- 必須のパケット時間
- 1ms
- ストリームの記述
- SDP
- 関連規格
- SMPTE ST 2110-30(AES67をもとにした放送用の音声規格)
Danteの機器とRAVENNAの機器を同じネットワークにつないでも、そのままでは音はやり取りできません。AES67は、そうした別々の方式の間に共通の送り方を決めた規格です。どちらの機器もAES67モードにすれば音声が通りますが、機器探索の方法までは決めていないので、設定には手作業が残ります。
AES67が使われる場面
多いのは、放送局の音声設備で、異なるメーカーの機器をIPでつなぐ場面です。Lawoの音声卓(RAVENNA)、Danteのステージボックス、Telos AxiaのLivewire機器、Wheatstoneの機器が同じ局の中に混在していても、AES67を共通語にすれば音声を受け渡せます。ラジオ局では、スタジオ間や送出系の音声をAES67で束ねる構成が広がっています。
テレビ局の映像IP化でも出てきます。SMPTE ST 2110の音声の部分であるST 2110-30は、AES67をもとに作られた規格です。そのため、ST 2110の設備にAES67対応の音声機器を条件付きでつなぎ込めます。
ライブ音響では、Danteの機器が大多数の現場に、1台だけ別方式の機器が入るときの橋渡しとして使われることがあります。
AES67の仕組み
AES67が決めているのは、音声をどの形でネットワークに流すかという部分です。音声は非圧縮のリニアPCMで、RTPというリアルタイム伝送の仕組みに載せてUDPで送ります。全機器はPTPのバージョン2で時刻を合わせ、その時刻をもとに送り手と受け手のタイミングをそろえます。
どの機器も最低限、48kHzの音声を1msごとのパケットで送受信できなければなりません。これより短いパケット時間や96kHzは任意です。ストリームの中身(アドレス、チャンネル数、形式)は、SDPという文字の記述で相手に伝えます。
一方で、ネットワーク上の機器を見つける方法や、経路をつなぐ操作の手順は規格に含まれていません。Danteは音声のストリームを知らせるのにSAPという仕組みを使い、RAVENNAは別の仕組みを使うなど、ここは方式ごとに違います。放送局の設備では、この部分をNMOSで補うことが増えています。
AES67の設定で間違えやすい点
つまずきやすいのはPTPです。PTPには「プロファイル」と「ドメイン番号」という設定があり、機器ごとの既定値が違います。AES67のメディアプロファイル、ST 2110で使うSMPTE ST 2059-2のプロファイル、Danteの既定のPTPv1が同じネットワークに混在すると、時刻のリーダーが意図しない機器になり、音が途切れたりロックしなかったりします。全機器のドメイン番号とリーダーになる機器を先に決めておきます。
パケット時間の食い違いもよくあります。送り手が125µsで出しているのに、受け手が1msしか受け付けないと音は届きません。迷ったら全員が必ず対応している48kHz・1msにそろえるのが確実です。
マルチキャストで流すため、スイッチ側でIGMPスヌーピングを設定しておかないと、音声のパケットが全ポートにあふれます。
よくある質問
AES67とDanteの違いは何ですか
AES67は規格団体が決めた共通の送り方で、Danteは1社が開発した製品の技術です。Danteの機器はAES67モードに切り替えると、AES67の機器と音声をやり取りできます。ただしAES67モードでは使える機能に制限があるので、Danteどうしの接続は通常のDanteのままにするのが一般的です。
AES67とST 2110-30は同じものですか
ほぼ同じ送り方ですが、同じではありません。ST 2110-30はAES67をもとに、放送設備で映像と同じ時刻基準で動かすための条件などを加えています。多くの機器はどちらにも対応していますが、つなぐ前に双方の仕様書で対応するパケット時間とチャンネル数を確かめます。
AES67の読み方は何ですか
「エーイーエス ろくじゅうなな」や「エーイーエス ろくなな」と読まれます。AESはAudio Engineering Society(オーディオ技術協会)の略で、67は規格の番号です。
この用語を扱ったコラム
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | AES67との違い |
|---|---|---|
| Dante | ライブ音響・放送の音声ネットワーク | Audinateの製品技術で、機器探索やルーティング画面まで一式そろう。AES67モードでAES67の機器とつながる |
| SMPTE ST 2110-30 | 放送局の映像・音声IP化 | AES67をもとに、映像と同じ時刻基準で動かすための条件を加えた放送用の規格 |
| MADI | 同軸・光での多チャンネル伝送 | ネットワークを使わない1対1の片方向伝送。AES67はIPネットワーク上で多数の機器とやり取りする |
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