MADI
Multichannel Audio Digital Interface / マディ
1本の同軸ケーブルや光ファイバーで、48kHzの非圧縮デジタル音声を最大64チャンネルまとめて送る規格です。AES10として規格化され、中継車やスタジオでミキサーと周辺機器をつなぐのに使われます。
- 規格
- AES10
- 初版
- 1991年(その後2003年、2008年に改訂)
- チャンネル数(48kHz)
- 56または64チャンネル
- チャンネル数(96kHz)
- 48kHz時の半分
- 量子化ビット数
- 最大24bit
- 伝送速度
- データ100Mbit/s(4B5B符号で125Mbit/sの信号)
- ケーブルと端子
- 75Ω同軸ケーブル(BNC)、または光ファイバー(SC端子など)
- 伝送方向
- 片方向。送受信には2本使う
ミキサーのオプションカードや録音機の仕様に「MADI」と書かれていて、Danteと何が違うのかと迷う人は多いはずです。MADIは、ネットワークではなく1本のケーブルで最大64チャンネルを片方向に流す、音声専用の太いパイプです。仕組みが単純なぶん、設定が少なく、つないですぐ音が出ます。
MADIが使われる場面
代表的なのは、中継車や大きなスタジオでの多チャンネル伝送です。ステージ側に置いたステージボックスでマイクの音声をデジタルに変換し、MADIの同軸ケーブルや光ファイバーで中継車のミキサーまで送ります。アナログのマルチケーブルなら何十芯も必要な信号が、行きと帰りの2本で済みます。マルチモードの光ファイバーでも2km程度まで届くので、スタジアムやホールの中継で重宝されてきました。
録音の現場でも使われます。デジタルミキサーのMADI出力から、RMEのMADIインターフェースや、Pro ToolsのHD MADIのような機材を経由して、全チャンネルを別々にマルチトラック録音する構成です。ライブの収録を後からMAでミックスし直すときの定番の取り方です。
放送局の設備では、音声のルーターやSDIのエンベッダー・ディエンベッダーにMADI端子を持つものがあり、SDIに埋め込まれた音声をまとめてMADIに出し入れする使い方もあります。
MADIの仕組み
MADIは、AES3と同じ形式の音声データを1本の信号に多数並べて送ります。データの速度は100Mbit/sで、4B5Bという符号に変換して125Mbit/sの信号として流します。
チャンネル数には56チャンネルと64チャンネルの2つのモードがあります。初版の規格は56チャンネルで、2003年の改訂で64チャンネルのモードが加わりました。96kHzで使うとチャンネル数は半分になります。
MADIは片方向の規格で、1本のケーブルは送り手から受け手への一方通行です。ミキサーとステージボックスのように行きも帰りも必要なら、送信用と受信用の2本をつなぎます。ネットワークのように途中で分岐させたり、複数の宛先へ同時に送ったりはできず、分けたいときは専用のスプリッターを使います。
MADIの接続で間違えやすい点
多いのは、56チャンネルモードと64チャンネルモードの食い違いです。送り側が64チャンネルで出しているのに受け側が56チャンネルを前提にしていると、一部のチャンネルが届かなかったり、機器によってはロックしなかったりします。古い機器とつなぐときはまずこの設定をそろえます。
同期も確かめます。MADIの信号にはクロックが含まれていますが、設備の中に複数のデジタル機器がある場合は、ワードクロックなどの基準で全体のサンプリング周波数をそろえておかないと、定期的なノイズや音切れの原因になります。
同軸でつなぐなら、映像用と同じ75ΩのBNCケーブルを使えます。距離の目安は同軸で100m程度、それより遠くは光ファイバーに切り替えます。
よくある質問
MADIとDanteはどちらを選べばいいですか
既存の機材がどちらに対応しているかで決めるのが現実的です。MADIはつなぐだけで動き、ネットワークの知識がいらない一方、1対1の片方向です。Danteはスイッチで自由に配信先を変えられますが、ネットワークの設計と管理が必要です。両方をつなぐ変換機も広く出回っています。
MADIの読み方は何ですか
「マディ」と読むのが一般的です。Multichannel Audio Digital Interfaceの頭文字で、規格の番号はAES10です。
MADIは映像も送れますか
送れません。MADIは音声専用の規格です。映像と音声を一緒に送るならSDIのエンベデッド音声、映像と音声をネットワークで扱うならST 2110のようなIPの規格を使います。
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | MADIとの違い |
|---|---|---|
| AES3 | 2チャンネル単位の接続 | 1本2チャンネル。MADIはAES3のデータを多数束ねた形に近く、配線本数を大きく減らせる |
| Dante | ネットワークでの音声配信 | Ethernetのスイッチを使い、1本のケーブルで送受信と多数の宛先への配信ができる。MADIは1対1の片方向 |
| SDIエンベデッド音声 | 映像と一緒に音声を運ぶ | HD-SDIでは最大16チャンネル。映像を伴わない多チャンネル音声ならMADIのほうが多く送れる |
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