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ARIB STD-B25

デジタル放送におけるアクセス制御方式 / アライブエスティーディービーニジュウゴ

日本のデジタル放送で、番組にスクランブルをかけ、契約や権利に応じて受信機に解かせる仕組み(アクセス制御)を定めたARIBの標準規格です。B-CASカードなどが担う限定受信方式の中身は、この規格で決まっています。

正式名称
デジタル放送におけるアクセス制御方式
策定団体
電波産業会(ARIB)
1.0版(1999年10月)策定。7.0版(2024年10月)が最新
構成
第1部 限定受信方式、第2部 限定再生方式、第3部 コンテンツ保護方式、第4部 セグメント連結伝送方式による地上マルチメディア放送
スクランブル方式
MULTI2(省令告示で定められた方式)
関連情報
ECM(番組ごとの共通情報とスクランブル鍵)、EMM(受信者ごとの契約情報とワーク鍵)
鍵を処理する部品
ICカード。7.0版で2K受信機に内蔵するCASチップを追加
4K8K衛星放送の方式
ARIB STD-B61(第2世代のアクセス制御方式)

録画したTSを解析すると、映像のパケットが暗号化されたままで中身を読めないことがあります。日本のデジタル放送は、有料放送だけでなく無料の番組にもスクランブルをかけて送る運用があり、その方式を決めているのがARIB STD-B25です。受信機、レコーダー、送出側のスクランブラを作る人が読む規格です。

ARIB STD-B25が使われる場面

受信機の側では、テレビやレコーダーが番組の視聴時にICカードとやりとりしてスクランブルを解きます。B25は、受信機が選局の際にPSI/SIから番組を選び、スクランブルの制御情報とECMをICカードで参照して、スクランブルされていない無料番組、スクランブルされた無料番組、月極めや階層の契約が要る有料番組、ペイ・パー・ビュー(PPV)の番組を見分けて表示できることを求めています。

放送局や有料放送の事業者の側では、送出系のスクランブラで番組にスクランブルをかけ、鍵を運ぶECMと、契約者ごとの情報を運ぶEMMを放送波に多重します。視聴契約の変更が受信機に届くのは、このEMMを通じてです。画面に出る自動表示メッセージや、受信機に届くメールの仕組みもB25の範囲に入っています。

受信機の部品の形も変わりつつあります。2024年10月の7.0版で、4K放送の受信機で使われていた内蔵型のCASチップを、BS、110度CS、地上波の2K専用受信機でも使えるよう規定が加わりました。これに合わせて、2026年4月には運用規定のARIB TR-B15とTR-B14も改定されています。

ARIB STD-B25の仕組み

B25の第1部が定める限定受信方式(CAS-R)は、3段の鍵で成り立っています。

  • 番組の映像や音声のパケットは、スクランブル鍵を使ってMULTI2という方式で暗号化される
  • スクランブル鍵は、番組ごとの共通情報であるECMに入れて送る。ECM自体はワーク鍵で暗号化されている
  • ワーク鍵や契約情報は、ICカードごとの個別情報であるEMMで届き、ICカードの中で処理される

TSの中では、ECMのPIDはPMTで、EMMのPIDはCATで示されます。解析ツールでPMTを開くと、スクランブルされた番組にはCA記述子(Conditional Access Descriptor)が付いていて、そこからECMのパケットの場所をたどれます。

第2部の限定再生方式はサーバー型放送のように受信機に蓄積したコンテンツの再生を、第3部のコンテンツ保護方式は受信時の保護を、第4部はセグメント連結伝送方式による地上マルチメディア放送のアクセス制御を扱います。

ARIB STD-B25で間違えやすい点

「無料放送だからスクランブルはかかっていない」とは限りません。B25は、スクランブルされた無料番組を受信機が表示する場合を明示的に想定しています。スクランブルのない番組はICカードなしでも見られますが、スクランブルされた番組はICカードの処理を経ないと映像になりません。

4K8K衛星放送はB25の対象ではありません。新4K8K衛星放送のアクセス制御は、第2世代の方式とCASプログラムのダウンロードを定めたARIB STD-B61が受け持ち、ACASと呼ばれる仕組みで運用されています。2K用のICカードの処理をそのまま4K受信機に流用することはできません。

受信機の処理能力の規定も見落としやすい点です。受信機が同時に処理できるスクランブル鍵の数やPIDの数は2018年の6.6版で表記が見直され、受信装置の規格ARIB STD-B21もそれに合わせて改定されました。複数番組の同時録画を設計するときは、この上限から逆算します。

よくある質問

ARIB STD-B25とB-CASはどう違いますか

B25はアクセス制御の方式を定めた規格の名前で、B-CASはその方式にもとづいて2K放送で使われているICカードと運用の呼び名です。カードの中でどの情報をどう処理するかは、B25の第1部に書かれています。

ARIB STD-B25は無料で読めますか

英語版(6.7-E1)はARIBのサイトから誰でも無料でダウンロードできます。日本語の最新版(7.0版)は、会員以外はARIB Web Storeでの購入です。

地上デジタル放送もスクランブルされていますか

スクランブルされた無料番組という形がB25で想定されていて、実際の送出の運用は地上デジタル放送の運用規定TR-B14の限定受信方式の編で決まっています。受信機がICカードやCASチップを備えているのはこのためです。

似ている形式との違い

名前 主に使う場面 ARIB STD-B25との違い
B-CAS 2K放送の受信カード B25の限定受信方式を実装したICカードとその運用の呼び名。B25は方式、B-CASはそれを使った実際の仕組み
ACAS 新4K8K衛星放送 新4K8K衛星放送の限定受信の仕組み。この放送のアクセス制御は第2世代の方式(ARIB STD-B61)で定められ、受信機に内蔵したチップで処理する
マルチDRM 動画配信の著作権保護 配信サービスが端末ごとに使い分ける暗号と鍵配布の仕組み。放送波のスクランブルとは別系統

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