音声形式収録編集MA・音声納品アーカイブ

BWF.wav.bwf

Broadcast Wave Format / ビーダブリューエフ

WAVに、録音の開始位置(タイムコードの基になる値)や説明文、作成者などの情報を加えた放送向けの音声ファイル形式です。EBUが1997年に規格化し、撮影現場の録音機から編集、MAまで、映像と音を合わせる工程の土台になっています。

拡張子
.wav(.bwfとする場合もある)
規格
EBU Tech 3285
策定団体
EBU(欧州放送連合)
追加される部分
bextチャンク(説明文、作成者、作成日時、開始位置、UMID、ラウドネス値)
開始位置の持ち方
午前0時からのサンプル数(TimeReference)
よく一緒に入る情報
iXMLチャンク(シーン、テイク、トラック名など)
中身の音声
リニアPCMが基本

撮影現場の録音機から受け取ったファイルは拡張子が .wav なのに、編集ソフトに入れると撮影時のタイムコードが付いている。その正体がBWFです。見た目は普通のWAVで、どのソフトでも音として再生できますが、中に「この録音は何時何分何秒から始まったか」という情報を持っているので、映像と音をタイムコードで自動的に合わせられます。

BWFが使われる場面

いちばん身近なのは、ドラマや映画、CMのように映像と音を別の機材で収録する撮影です。Sound DevicesやZOOMのFシリーズといった録音機は、カメラと共通のタイムコードを受けながらBWFで記録します。編集ではPremiere Proの同期機能(基準にタイムコードを選ぶ)やDaVinci Resolveのタイムコードによる自動同期、Avid Media ComposerのAutoSyncで、カメラの映像とBWFの音をまとめて合わせます。

MAの工程でも同じ情報が使われます。Pro Toolsに素材を読み込むとき、BWFなら録音時の位置にそのまま並べられるので、編集から受け取ったAAFと組み合わせて元の音に戻る作業が確実になります。

放送局のアーカイブでは、説明文や作成日時を記録できる点が評価され、音声を長く保存する形式としてBWFが広く採用されています。

BWFの仕組み

BWFは、WAVの構造にbextという部分を1つ足したものです。bextには、説明文、作成した機器や組織、作成日時、そして録音開始位置を示すTimeReferenceが入ります。TimeReferenceは時刻そのものではなく「午前0時から何サンプル目か」という数で記録されるため、48kHzなら1秒で48,000進みます。編集ソフトはこの値を映像のフレームレートで割り直してタイムコードとして表示します。

2011年のversion 2では、番組のラウドネス値をbextに書き込む欄が加わりました。撮影現場向けには、EBUの規格外ですが、シーン番号、テイク、トラック名などを記録するiXMLという部分も一緒に書き込まれるのが一般的です。

録音機の設定には、全チャンネルを1つのファイルにまとめるポリ(Poly)と、チャンネルごとに別ファイルにするモノ(Mono)があります。編集ソフトにはポリで渡し、MAで個別のマイクを扱うときはトラック名が分かれていると作業しやすくなります。

BWFで同期がずれる・タイムコードが出ないとき

同期がずれる原因で多いのは、録音機とカメラのフレームレート設定の食い違いです。TimeReferenceはサンプル数で記録されるので、ずれるのはファイルではなく、ソフトがタイムコードに換算するときの前提です。29.97fpsと30fps、ドロップフレームの有無をそろえてください。詳しい仕組みは29.97fpsとドロップフレームで解説しています。

音声を別のソフトで書き出し直すと、bextやiXMLが消えて普通のWAVになることがあります。一度消えた開始位置は復元できないので、元の録音ファイルは加工せずに保管しておくのが原則です。

よくある質問

BWFとWAVの違いは何ですか

音声データは同じで、BWFは録音開始位置や説明文などの情報を足したWAVです。拡張子も同じ.wavなので、普通のWAVとして再生できます。

BWFファイルのタイムコードはどうやって確認できますか

編集ソフトに読み込んでクリップの開始タイムコードを見るか、MediaInfoなどのツールでbextの項目を確認します。値がすべて0なら、録音時にタイムコードが入っていなかった可能性があります。

BWFはどのソフトで開けますか

普通のWAVとして扱えるので、ほとんどの編集ソフトやオーディオソフトで開けます。タイムコードの情報まで使えるのは、Premiere Pro、DaVinci Resolve、Avid Media Composer、Pro Toolsなどの業務向けのソフトです。

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似ている形式との違い

名前主に使う場面BWFとの違い
WAV音声の受け渡し全般BWFの元になった形式。開始位置の情報を持たないので、映像との同期は波形頼みになる
ADM BWFDolby Atmosなど立体音響の納品BWFにオブジェクトベース音響の配置情報を足したもの。ITU-Rで規格化されている
AIFFMac・音楽制作Apple系の非圧縮形式。放送用のタイムコード情報を持たせる仕組みは一般的でない

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