LTC
Linear Timecode(Longitudinal Timecode) / エルティーシー
タイムコードを音声帯域のパルス信号にして、ケーブルや音声トラックで運ぶ形式です。SMPTE ST 12-1で規定され、カメラと録音機の同期、ライブ演出の機器の連動、テープやファイルの主たるタイムコードの記録に使われます。
- 正式名称
- Linear Timecode(Longitudinal Timecodeとも呼ぶ)
- 規格
- SMPTE ST 12-1
- 信号の形
- 音声帯域のパルス信号(バイフェーズマーク符号)
- 1フレームのデータ量
- 80ビット(うち16ビットは同期用の固定パターン)
- 主な端子
- BNC、XLR、3.5mmミニジャックなど
- 読めない状況
- 静止やごく遅いスロー再生
ケーブルの先から「ジー」「ピーガガ」という機械的な音が聞こえたら、それはLTCかもしれません。LTCはタイムコードを音の信号に変えたもので、音声用のケーブルやマイク入力でそのまま運べるのが強みです。そのぶん、音声として扱われてしまう事故も起きます。
LTCが使われる場面
いちばん多いのは撮影での同期です。録音部のレコーダーやタイムコード発生器からLTCを出し、各カメラのTC IN端子に入れて、全台のタイムコードをそろえます。Tentacle SyncやAmbientのLockitのような小型のタイムコード発生器をカメラごとに付け、最初に一度合わせてから撮影中は各自で走らせる方法も広く使われています。
タイムコードの入力端子がないミラーレスカメラなどでは、LTCを音声の片方のチャンネルに録っておき、編集のときにその音からタイムコードを読み取ります。専用のアプリや、DaVinci Resolveのように音声トラックのLTCからタイムコードを更新できる編集ソフトがあります。
ライブやイベントでは、音源と一緒にLTCを再生し、照明卓や映像サーバー、特効の機器をそのLTCに追従させて、曲の決まった位置で演出を切り替えます。放送局では、VTRや送出機器、MAのスタジオで機器どうしを同期させる基準として長く使われてきました。テレビCMの素材搬入基準でも、主たるタイムコードのトラックはLTCとされています。
LTCの仕組み
LTCは、1フレームぶんのタイムコードを80ビットで表し、バイフェーズマーク符号というパルスの形で送ります。80ビットのうち、時・分・秒・フレームの数字と、ドロップフレームかどうかを示すフラグ、自由に使えるユーザービットが入り、最後の16ビットは区切りを見つけるための固定パターンです。
この符号は信号の向きが反転しても読めるので、ケーブルの極性を気にせずに済みます。再生速度が変わっても読める範囲が広く、早送りや巻き戻しの間もタイムコードを追えます。その反面、静止しているときやごく遅いスロー再生では信号の変化がなくなり、読めません。この弱点を補うのが、映像の中に書き込むVITCです。
LTCで間違えやすい点・トラブル
現場で起きやすいのは次のようなトラブルです。
- LTCを録った音声チャンネルが編集でそのまま残り、書き出した映像から機械音が聞こえる
- LTCの信号が隣の音声チャンネルに漏れ、会話の録音にノイズが乗る。LTCはレベルを下げ、会話と離れたチャンネルに録るのが基本
- 発生器とカメラでフレームレートの設定が違い、タイムコードは入っているのに少しずつずれる
- 最初に合わせたきり長時間撮り続け、機器ごとの時計の誤差でずれが広がる
フレームレートとドロップフレームの設定は、発生器、カメラ、録音機のすべてで同じにそろえる必要があります。数え方の違いで起きるずれは、29.97fpsとドロップフレームのコラムで詳しく解説しています。
よくある質問
LTCとVITCの違いは何ですか
LTCはタイムコードを音声のような信号で運び、VITCは映像信号の走査線に書き込みます。LTCは早送りでも読めますが静止では読めず、VITCは静止やスローでも読めますが映像がないと運べません。
LTCをカメラの音声チャンネルに録っても問題ありませんか
同期には使えますが、そのチャンネルは会話の録音に使えなくなります。レベルを下げて録り、編集でタイムコードを読み取ったら、そのチャンネルは書き出しから外します。
LTCの信号をスピーカーから出してしまうとどうなりますか
甲高い機械音がそのまま聞こえます。ライブの現場では、LTCの出力が客席のスピーカーにつながらないよう、系統を分けて配線します。
この用語を扱ったコラム
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | LTCとの違い |
|---|---|---|
| VITC | テープ時代の映像内タイムコード | 映像信号の走査線に書き込む方式。静止やスロー再生でも読めるが、映像がないと運べない |
| ATC | SDI信号の中のタイムコード | SDIのアンシラリデータにタイムコードを埋め込む方式(SMPTE ST 12-2)。別のケーブルを引かずに映像と一緒に届く |
| MIDIタイムコード | DAWや演出機器の同期 | タイムコードをMIDIのメッセージで送る形式。音声の信号ではないので音声トラックには録れない |
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