VITC
Vertical Interval Timecode / ブイアイティーシー
映像信号の垂直帰線区間にある走査線に、タイムコードを書き込む形式です。SMPTE ST 12-1で規定され、静止やスロー再生でも読めるのが特徴です。デジタルのSDIでは、アンシラリデータの中にVITCとして同じ情報が引き継がれています。
- 正式名称
- Vertical Interval Timecode
- 規格
- SMPTE ST 12-1
- 記録する場所
- 映像信号の垂直帰線区間(画面の外)にある走査線
- 1ラインのデータ量
- 90ビット(うち8ビットは誤り検出のCRC)
- 読める状況
- 静止やスロー再生でも読める。音声トラックを使わない
- デジタルでの引き継ぎ
- SDIのアンシラリデータに入るタイムコード(SMPTE ST 12-2)のVITC
キャプチャーソフトのタイムコードの設定で「VITC1」「VITC2」「LTC」と並んでいて、どれを選べばよいか迷うことがあります。VITCは映像信号そのものに書き込まれたタイムコードで、アナログのテープ時代に、静止画でも番地を読めるように作られた仕組みです。
VITCが使われる場面
もともとの舞台はビデオテープでした。LTCは音声のような信号なので、テープを止めたりゆっくり送ったりすると読めません。編集点をコマ単位で探すときに、止めた画面のタイムコードが読めないのは不便です。そこで映像信号の、画面に映らない垂直帰線区間の走査線にタイムコードを書き込んだのがVITCで、BetacamやD2などの業務用VTRで広く使われました。
いま出会うのは、主に次の場面です。
- 昔のテープ素材をデジタル化するアーカイブの作業で、テープのVITCとLTCのどちらを取り込むかを選ぶとき
- SDIの信号を収録するキャプチャーボードや収録機で、タイムコードの取り込み元を指定するとき
- テレビCMの素材搬入基準のように、VITCを記録する場合はLTCと同じ値にするよう求める納品の決まりを確かめるとき
VITCの仕組み
VITCは1本の走査線に90ビットのデータを書き込みます。時・分・秒・フレームの数字とユーザービットに加え、区切りを示すビットと、誤りを見つけるための8ビットのCRCが入っています。映像の一部として記録されるので、テープが止まっていても、1コマずつ送っていても、映像さえ出ていれば読み取れます。逆に早送りのように映像が乱れる速さでは読めなくなり、この点はLTCと得意・不得意が反対です。
HDやデジタルの時代になると、アナログの走査線に書き込む方法はそのままでは使えなくなりました。SDIでは、帰線区間にあたる領域にデータを載せるアンシラリデータの仕組みを使い、SMPTE ST 12-2の形でタイムコードを埋め込みます。この中に、LTCに相当するものとVITCに相当するものを分けて入れられるため、キャプチャーソフトでは「VITC」「LTC」の選択肢が残っています。インターレースの映像ではフィールドごとに値を持つため、VITC1とVITC2の2つが並ぶことがあります。この領域についてはVANCの項目でも扱っています。
VITCで間違えやすい点・トラブル
取り込みや納品で起きやすいのは次のような問題です。
- キャプチャーソフトでVITCを選んだのに、送り側の機器がVITCを出しておらず、タイムコードが00:00:00:00のまま記録される
- 編集やダビングを重ねるうちに、テープのVITCとLTCの値がずれ、どちらを正とするかで話が食い違う
- アナログ素材を取り込むときに画面の上端を切り落とす設定にしていて、VITCの書かれた走査線ごと失われる
アーカイブの作業では、VITCとLTCの両方を読んで一致しているかを確かめ、合わない素材を記録しておくと、後で素材の頭出しに困りません。タイムコードの数え方そのものについては、29.97fpsとドロップフレームのコラムで整理しています。
よくある質問
VITCとLTCはどちらを使えばよいですか
納品や取り込みの指定があればそれに従います。指定がなければ、主たるタイムコードはLTCとし、VITCはLTCと同じ値で記録するのが一般的な考え方です。
VITCはファイルベースの素材でも使われていますか
使われています。テレビCMの素材搬入基準がXDCAMのファイルについてVITCの扱いを定めているように、ファイルの中にLTCとは別にVITCの値を持つ形式があります。ただし多くの編集ソフトは、ファイルのタイムコードを1つの値として表示します。
VITCが読めないときはどうすればよいですか
まず送り側の機器がVITCを出す設定になっているかを確かめます。出ていないなら、取り込み元をLTCに切り替えるか、取り込んだあとに編集ソフトで開始タイムコードを入れ直します。
この用語を扱ったコラム
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | VITCとの違い |
|---|---|---|
| LTC | 同期・主たるタイムコード | 音声帯域の信号で運ぶ方式。早送りでも読めるが、静止やごく遅いスローでは読めない |
| ファイル内のタイムコードトラック | MXF・MOVの素材 | ファイルの中にタイムコードの開始値を持つ方式。走査線や音声の信号としては存在しない |
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