MP3.mp3
MPEG-1 Audio Layer III / エムピースリー
人の耳に聞こえにくい成分を削って音声を小さくする、非可逆圧縮の音声形式です。1990年代にMPEGで規格化され、音楽ファイルの代名詞になりました。映像制作では仮当ての音楽や打ち合わせの録音として届くことが多く、仕上げの素材には使いません。
- 拡張子
- .mp3
- 規格
- ISO/IEC 11172-3(MPEG-1)、ISO/IEC 13818-3(MPEG-2で低いサンプリング周波数を追加)
- 開発の中心
- ドイツのフラウンホーファー研究機構など
- MIMEタイプ
- audio/mpeg
- ビットレート
- 最大320kbps。固定(CBR)と可変(VBR)がある
- サンプリング周波数
- 32kHz、44.1kHz、48kHz(MPEG-2の拡張で16〜24kHzも)
- 曲名などの情報
- ID3タグ
- 特許
- 主要な特許のライセンスは2017年に終了
MP3は、音楽を持ち歩く形式として普及した音声ファイルで、今でも最も多くの機器で再生できる音声形式の1つです。映像制作の現場では、仮当てのBGMや、打ち合わせやインタビューの録音、ナレーションの参考音声としてMP3が届くことがよくあります。手軽な反面、音を削って小さくしている形式なので、放送や納品の仕上げに使う音にはWAVを求めるのが原則です。
MP3が使われる場面
音楽の分野では、試聴用の音源やポッドキャストの配信にMP3が今も使われています。ほとんどのスマートフォン、パソコン、カーオーディオで再生でき、相手の環境を気にせず渡せるのが最大の理由です。
映像制作では、次のような場面で出会います。
- 編集の段階で仮に当てるBGMとして、作曲家や音楽ライブラリから試聴用のMP3が届く
- インタビューや会議の録音がMP3で届き、文字起こしや音声認識にかける
- ナレーションの読み方を確認するための参考音声として共有される
いずれも本番の音ではなく、確認や下準備のための音です。仕上げの段階では、同じ曲や録音のWAV版に差し替えるのが一般的な流れです。
MP3の仕組みとビットレート
MP3は、音を細かい周波数の成分に分け、大きな音にまぎれて聞こえにくい成分を削ることで容量を減らします。削った成分は元に戻らないため、MP3をWAVに変換しても音質は回復しません。
音質はビットレートでほぼ決まります。128kbpsで、CDと同じ44.1kHz・16bitのステレオのおよそ11分の1の容量になり、上限の320kbpsでも4分の1ほどです。ビットレートを一定に保つ固定方式と、音の複雑さに応じて変える可変方式(CBRとVBR)があり、VBRは同じ容量でも音質を上げやすい一方、機器によっては再生時間の表示がずれることがあります。
曲名やアーティスト名は、ID3タグという部分に記録されます。主要な特許のライセンスは2017年に終了しており、現在はエンコーダーやデコーダーを自由に作れます。
MP3を映像編集で使うときの注意
MP3を編集ソフトに読み込むと、映像との同期がわずかにずれることがあります。MP3は仕組み上、ファイルの先頭にごく短い無音が入り、エンコーダーによって長さが違うためです。VBRのMP3では、編集ソフトによって再生位置の計算がずれることもあります。口の動きと合わせる音や、長いクリップで使う音は、読み込む前に48kHzのWAVに変換しておくと安全です。
仮当てのMP3のまま完成させてしまう事故も起きがちです。書き出しの前に、タイムラインにMP3が残っていないかを確かめてください。
よくある質問
MP3とAACはどちらが音質が良いですか
同じビットレートなら、AACのほうが音質で有利とされています。映像に付ける音声はAACが標準で、MP3は音楽ファイルとして単独で渡すときに使われることが多い形式です。
MP3をWAVに変換すると音質は良くなりますか
良くなりません。MP3で削られた成分は戻らないため、容量が増えるだけです。ただし編集ソフトでの同期のずれを避ける目的では、WAVに変換する意味があります。
MP3のビットレートはどれくらいがいいですか
音楽を聞く用途なら192〜320kbps、話し声の録音なら128kbpsでも内容の確認には足ります。音声認識にかける録音は、低すぎるビットレートを避けると認識の精度が落ちにくくなります。
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