E-AC-3.ec3.eac3
Enhanced AC-3(Dolby Digital Plus) / イーエーシースリー
ドルビーデジタルプラスの名で知られる、AC-3を拡張した音声圧縮方式です。AC-3より低いビットレートでサラウンドを運べ、動画配信サービスのDolby Atmos音声の多くはこの方式にメタデータを載せて届けられています。
- 拡張子
- .ec3、.eac3(単体の音声ファイルの場合)
- 開発
- ドルビーラボラトリーズ(2004年発表)
- 規格
- ATSC A/52 の Annex E、ETSI TS 102 366
- MIMEタイプ
- audio/eac3
- サンプリング周波数
- 32kHz、44.1kHz、48kHz
- ビットレート
- 仕様上は32kbps〜6.144Mbps
- ブルーレイでの扱い
- AC-3のコアに拡張を足す形で、合計1.7Mbpsまで
動画配信サービスの仕様書や、ダウンロードした動画のMediaInfoで「E-AC-3」「Dolby Digital Plus」「JOC」という表記を見かけることがあります。これはAC-3を拡張したドルビーの圧縮方式で、配信で5.1チャンネルやDolby Atmosを届けるときの標準的な器になっています。
E-AC-3が使われる場面
いま最も多いのは、動画配信サービスのサラウンド音声です。Netflix、Amazon Prime Video、Disney+などが5.1チャンネルやAtmosの作品を配信するとき、プレイヤーに届く音声の多くはE-AC-3です。テレビやストリーミング端末の仕様表に「Dolby Digital Plus対応」とあるのは、この音声を内部でデコードできるという意味です。
Dolby Atmosを配信するときは、E-AC-3のストリームにJOC(Joint Object Coding)という仕組みで音の位置の情報を載せます。Atmos非対応の機器では普通の5.1チャンネルとして鳴り、対応機器では高さ方向の音まで再現されます。1本の音声で両方の視聴環境に対応できるのが、配信で選ばれる理由です。
放送では欧州のDVB方式や、米国のATSC方式の一部で使われます。日本の地上デジタル放送はAACなので、国内の制作者がE-AC-3を書き出すのは配信事業者向けの納品や、ブルーレイのオーサリングのときが中心です。
E-AC-3の仕組みとAC-3との違い
E-AC-3はAC-3の符号化方式を土台に、効率と拡張性を高めた方式です。同じ5.1チャンネルなら、AC-3より低いビットレートで同程度の音質を出せます。仕様上は7.1チャンネルを超える構成や、1本のストリームに複数の音声プログラムを入れる使い方もできます。
AC-3と同じく、ダイアログノーマライゼーション(dialnorm)やダウンミックスの係数をメタデータとして持ちます。配信サービスはこの値で番組ごとの音量差をならすので、ラウドネスの測定値とdialnormがずれていると、再生時に会話だけ小さく聞こえる原因になります。
E-AC-3の再生方法と開けないとき
配信用の音声はMP4や、HLS・MPEG-DASHのセグメントの中に入っているのが普通です。単体の .ec3 ファイルや、MKVに入ったものはVLCで再生できることが多いです。
編集ソフトや一部のパソコン環境ではE-AC-3をデコードできず、音が出ないことがあります。編集に使うなら、FFmpegなどでWAVに変換してから読み込みます。ただし、JOCで運ばれていたAtmosの位置情報は、この変換で失われます。Atmosの素材が必要なら、配信用のE-AC-3からではなく、ADM BWFなどのマスターファイルから作り直します。
よくある質問
E-AC-3とDolby Digital Plusは同じですか
同じものです。E-AC-3が規格上の名前、Dolby Digital Plus(DD+)が製品としての名前です。仕様はATSC A/52の付属書(Annex E)とETSI TS 102 366にまとまっています。
E-AC-3はAC-3対応のアンプで再生できますか
E-AC-3のままではAC-3専用の機器ではデコードできません。ブルーレイでは互換のためにAC-3のコアを残す形が取られ、配信端末ではAC-3に変換して出力する機器もあります。
E-AC-3のAtmosはヘッドホンで聞けますか
対応端末では、Atmosの情報を使ってヘッドホン向けに立体的に鳴らせます。対応していない端末では、通常の5.1チャンネルかステレオとして再生されます。
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | E-AC-3との違い |
|---|---|---|
| AC-3 | DVD・ブルーレイ・米国の放送 | E-AC-3の元になった方式。5.1チャンネル・640kbpsまでで、Atmosのメタデータは運べない |
| AAC | 日本の放送・Web動画 | MPEG系の方式。スマホやブラウザの対応が広く、ステレオの配信ではこちらが一般的 |
| Dolby Atmos | 立体音響の制作・配信 | 音の置き方を表す仕組みの名前。配信ではE-AC-3を器にしてAtmosの情報を運ぶ |
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