話速変換
ワソクヘンカン
声の高さや音質を変えずに、話す速さだけを変える技術のことです。テレビやラジオの音声をゆっくり聞こえるようにする受信機の機能として使われ、早口で聞き取りにくいという声に応えるためのものです。
- 変えるもの
- 発話の速さ。声の高さや声質は変えない
- 適応的話速変換
- フレーズの始めや声の高さが高い部分を局所的に伸ばし、息継ぎなど声のない部分を短くする
- 時間尺
- 適応的な方式では、全体の長さを延ばさずにゆっくり感じられる音声にできる
- 高速再生への応用
- 2倍速を超える再生でも、一様に短縮する場合より聞き取りやすくできる
- 組み込み先の例
- テレビ・ラジオ受信機、HDDレコーダー、録音図書の再生機、語学学習ツール
- 開発
- NHK放送技術研究所が技術を公開し、特許として公開されている
テレビの音声が早口に感じて聞き取れない、という声は昔からあります。これに応えるのが話速変換で、番組の音声を遅く再生するのではなく、声の高さや声質はそのままに、話す速さだけを変えます。テープを遅回しすると声が低くなるのとは別の処理です。
話速変換が使われている場面
いちばん身近なのは、受信機に組み込まれた機能です。テレビやラジオに話速変換の回路やソフトを入れておくと、視聴者が設定を切り替えるだけで、放送されている音声がゆっくり聞こえるようになります。高齢の視聴者から寄せられる、放送の音声が早口で聞き取りにくいという声に応えるための機能として実用されました。
再生機器の側にも入っています。HDDレコーダーの早聞き機能、録音図書やオーディオブックの再生機、語学学習の教材再生、編集機の素材確認といった場面で、速度を変えても内容が聞き取れるように使われます。長い素材を早回しで確認する作業にも同じ技術が効きます。
放送のバリアフリー機能としては、解説放送や字幕放送が送信側でサービスを足すのに対し、話速変換は受信側で音声を作り替えるという違いがあります。
話速変換の仕組み
単純に全体を一様に引き延ばすと、番組の時間尺がそのぶん延びてしまい、放送には使えません。そこで使われるのが適応的話速変換です。
各フレーズの始めや、声の高さが高くなっている部分を局所的に伸ばす一方、息継ぎなど声が出ていない部分を短くします。伸ばした分を無音の部分から取り戻すので、全体の長さを変えずに、ゆっくり話しているように感じられる音声になります。声の高さは変えないため、話し手の声質もそのまま残ります。
同じ考え方は高速再生にも使えます。一様に短縮した2倍速は語尾が潰れて聞き取りにくくなりますが、聞き取りに大事な部分へ優先的に時間を配分すると、2倍速を超えても内容を追えます。どこが大事かは、声の高さや大きさといった音の特徴や、名詞と動詞といった言語的な情報から推定します。
話速変換と間違えやすいもの
字幕の表示時間と混同されることがありますが、別のものです。字幕の表示時間は、1枚の字幕を何秒出しておくかという字幕制作側の設計で、音声には手を触れません。話速変換は音声そのものの速さを変える処理で、字幕のタイミングは動きません。話速変換をかけた状態で番組を見ると、音声と字幕の出るタイミングが合わなくなる場面が出てきます。
再生速度の変更とも別です。一般的な動画プレーヤーの倍速再生は映像と音声をまとめて伸縮するため、映像も同じだけ速く、または遅くなります。話速変換は音声の中の配分を組み替える処理で、放送のように映像の尺を動かせない場面でも使えるのが要点です。
音量を整えるラウドネス調整とも目的が違います。聞こえにくさの原因が音の大きさなのか速さなのかで、打つ手が変わります。
よくある質問
話速変換を使うと声が低くなりませんか
なりません。テープの遅回しは再生の周波数ごと変わるため声が低くなりますが、話速変換は声の高さを保ったまま、話す速さだけを変える処理です。
話速変換は放送局側で設定するものですか
受信機や再生機器の側の機能です。視聴者が自分の機器で切り替えます。対応しているかどうかは機種によるので、取扱説明書で音声の設定項目を確認してください。
話速変換と解説放送は何が違いますか
解説放送は、画面で起きていることを音声で説明する番組サービスです。話速変換は、流れている音声そのものを聞き取りやすい速さに変える機能で、番組の中身は増えません。解説放送の仕組みは副音声とはで詳しく扱っています。
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