DRCS外字
Dynamically Redefinable Character Set / ディーアールシーエスガイジ
放送の字幕で、標準の文字集合に無い文字を図形データとして送り、受信機に描かせる仕組みのことです。人名の異体字のように、フォントに入っていない文字を字幕に出すために使います。
- 正式名称
- Dynamically Redefinable Character Set(放送中に定義し直せる文字集合)
- 規定している規格
- ARIB STD-B24 第一編 第3部(字幕・文字スーパーの符号化)
- データの中身
- 文字の形を表すビットマップ。縦横のドット数と階調を持つ
- 送られ方
- 字幕のデータと一緒に送り、受信機が受け取った図形をそのまま描く
- ファイルでの持ち方
- ARIB STD-B36の字幕ファイルに、外字の図形データごと入れる
- Unicodeとの対応
- 対応するコードポイントを持たない。テキストに変換しても元の文字には戻らない
- 混同しやすいもの
- ARIB外字(規格で決まった追加記号。多くはUnicode 5.2で収録済み)
録画した番組の字幕をテキストに書き出したら、人名の一部だけが空白や四角になっていた。原因の多くはDRCSです。その文字はコードで送られておらず、文字の絵として送られているので、テキストには写せません。
DRCS外字が使われる場面
出番がいちばん多いのは人名です。放送の字幕はARIB STD-B24の8単位符号で書かれ、使える漢字の範囲は規格で決まっています。出演者や取材相手の名前にその範囲外の異体字が含まれていると、コードでは表せません。そこで字幕制作の段階で文字の形をドットで作り、字幕データに添えて送ります。
同じことは地名や社名でも起きます。旧字体の入った社名、常用の字形と違う書き方をする地名など、正しい表記でなければ問題になる語ほどDRCSが要ります。番組で使う記号やマークを字幕に出したいときにも使われます。
制作の側では、放送字幕の制作ソフトに外字を作る機能があり、作った図形がARIB STD-B36のファイルに図形データごと収められます。局に納めた字幕は、そのまま送出設備から放送波に乗ります。
DRCS外字の仕組み
DRCSは、文字コードではなく文字の絵を送る仕組みです。データの中身は文字の形を表すビットマップで、縦横のドット数と階調を持ちます。字幕の本文の中には、その図形を指す符号が置かれ、受信機は指定された位置に受け取った図形を描きます。
受信機にそのフォントが入っていなくても表示できるのが、この仕組みの狙いです。日本中の受信機のフォントを揃えることはできないので、必要な文字だけをその都度送ってしまう、という設計になっています。
一方で、図形のサイズは送った時点で決まっています。字幕の文字サイズを変えたり、画面の解像度が違ったりすると、周りの文字となじまないことがあります。ロールアップ表示や携帯端末向けの字幕のように文字の組み方が変わる場面では、出方を確かめておきます。
DRCS外字が表示できない・文字化けするとき
多いのは、受信機や再生ソフトがDRCSに対応していない場合です。放送そのものには図形が乗っていても、それを描く処理を持たないソフトでは文字が抜け落ちます。TSファイルから字幕を取り出すツールでも、DRCSの扱いはライブラリごとに差があります。
もう1つは、テキストに変換した場合です。DRCSの文字はUnicodeのコードポイントを持たないため、SRTのようなテキスト形式に書き出すと空白や代替の記号に置き換わります。字幕デコーダの中には、よく出る形の図形をあらかじめ調べて対応するUnicodeの文字に置き換える表を持つものがあり、これを使うと一部は読める文字になります。ただし表に無い図形は置き換わりません。
アーカイブの検索用に字幕からテキストを起こす作業では、この抜け落ちが人名の検索漏れにつながります。DRCSがどれだけ使われている番組かを先に見ておくと、後の手戻りが減ります。
よくある質問
DRCSとARIB外字は同じものですか
別のものです。ARIB外字は規格で決まった追加の記号の集合で、多くは2009年のUnicode 5.2に収録され、対応フォントがあればテキストとして扱えます。DRCSは番組ごとに図形そのものを送る仕組みで、決まった文字集合ではありません。
DRCSの字幕をSRTに変換できますか
字幕の大部分はテキストとして変換できますが、DRCSの文字は空白や代替の記号になります。人名を含む字幕を扱うときは、変換後に抜けた箇所を目で拾って直すのが前提になります。
DRCSはどうやって作りますか
放送字幕の制作ソフトの外字作成機能でドット絵として作ります。作った外字は字幕ファイルの中に入って局へ渡ります。制作ソフトの選び方はSemdec・NeONとはで紹介しています。
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