SMPTE 436M
MXF Mappings for VBI Lines and Ancillary Data Packets / エスエムピーティーイー ヨンサンロクエム
SDI信号のVANCやVBIに載っている補助データを、MXFファイルの中にトラックとして格納するための規格です。放送用MXFに字幕やAFDを持たせるときに使われます。
- 規格
- SMPTE ST 436:2006(旧称436M)、改訂版はSMPTE ST 436-1:2013
- 策定団体
- SMPTE
- 対象のデータ
- VBIの走査線データと、VANC・HANCの補助データパケット
- 格納先
- MXFのデータエッセンスのトラック
- 保存する情報
- 元の走査線の位置など、SDIに戻すときに必要な情報
- 規定しない範囲
- パケットの中身の意味(字幕の形式などは別の規格)
- 日本での代表的な中身
- ARIB STD-B37の字幕データ
納品仕様書に「字幕はSMPTE 436Mで格納」と書かれていても、何を作ればよいのか分からない人は多いはずです。436Mは、SDI信号のVANCに載っていた字幕などの補助データを、そのままの形でMXFの中の1本のトラックに保存するための規格です。字幕の中身の形式ではなく、入れ物の中での置き方を決めています。
SMPTE 436Mが使われる場面
いちばん多いのは、字幕付き番組のファイル納品です。日本の放送では、字幕データはARIB STD-B37の形式でSDIのVANCに載って流れます。テープの時代はテープにVANCごと記録すれば済みましたが、MXFでファイル納品するようになると、VANCのデータをファイルのどこに入れるかを決める必要が出てきました。その答えが436Mで、字幕付きMXFの中には映像、音声と並んで436のデータトラックが入っています。
送出サーバーやアーカイブでも使われます。ファイルからSDIに再生するとき、送出サーバーは436のトラックからパケットを取り出し、元のVANCの位置に戻して出力します。これで、局内の字幕の系統はテープ時代と同じように動きます。
海外では、北米のCEA-708字幕や、画面の比率を伝えるAFDを同じ仕組みでMXFに入れる運用が見られます。
SMPTE 436Mの仕組み
436Mは、2種類のデータの格納方法を定めています。1つはVBIの走査線そのものを標本化したデータで、主にSD時代のアナログ由来の情報に使われます。もう1つはVANCやHANCにあるSMPTE ST 291-1形式の補助データパケットで、HDの放送用MXFで使われるのはほとんどがこちらです。
格納するときは、パケットの中身に加えて、元の信号のどの走査線にあったかといった位置の情報も記録します。再生する側がSDIの信号を組み立て直すとき、同じ位置にデータを戻せるようにするためです。
一方で、436Mはパケットの中身の意味には立ち入りません。中に入っているのがARIB STD-B37の字幕なのか、CEA-708なのかは、パケットの識別子を見て、それぞれの規格に従って解釈する必要があります。436Mのトラックがあっても、字幕として読めるかどうかは別の話です。
SMPTE 436Mの字幕が読めない・消えるとき
一般的な変換ソフトは、MXFの映像と音声は扱えても、436のデータトラックは読み飛ばします。ffprobeで見ると、コーデック名のないデータストリームとして表示されるだけのことが多く、MP4やMOVへ変換するとトラックごと失われます。
MXFの中身をリラップする場合も注意が必要です。映像と音声だけを新しいMXFに詰め替えるツールでは、436のトラックが引き継がれません。字幕付きの素材を加工するときは、処理の前後で436のトラックが残っているかを確認してください。
字幕の中身を取り出してSRTやWebVTTにしたいなら、436のパケットを抽出し、ARIBの字幕データとして解釈する専用のツールが必要です。
よくある質問
SMPTE 436MとSMPTE ST 436-1は同じものですか
同じ規格の系統です。2006年版は「436M」の名前で広まり、SMPTEの番号の付け方が変わったあと、2013年にST 436-1として改訂されました。現場では今も436Mと呼ぶことが多いです。
MXFに436Mの字幕が入っているか確認する方法はありますか
ffprobeやMediaInfoでMXFを開き、映像と音声以外のデータトラックがあるかを見ます。トラックの中身が字幕かどうかまで確かめるには、ARIBの字幕を解釈できるビューアで開く必要があります。
436Mの字幕をSRTに変換できますか
一般的な動画変換ソフトではできません。436のトラックから字幕パケットを取り出し、ARIB STD-B37の字幕として読み解いたうえで、テキストの字幕形式に書き出す専用の処理が必要です。
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似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | SMPTE 436Mとの違い |
|---|---|---|
| VANC | SDI信号の中の補助データ | 信号の中の領域そのもの。436MはそれをMXFファイルに移すための決まり |
| MXF OP1a | 納品用MXFの構成 | ファイル全体のトラックの組み方を決める運用パターン。436のトラックはその中の1本 |
| ARIB STD-B37 | 日本のデジタル字幕の形式 | 字幕データの中身の形式。436Mはその入れ方だけを決める |
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