SMPTE ST 2022-6
Transport of High Bit Rate Media Signals over IP Networks (HBRMT) / エスエムピーティーイー エスティー ニゼロニニ ロク
SDIの信号を、ブランキングや埋め込み音声も含めて丸ごとIPパケットに詰めて運ぶSMPTEの規格です。2012年に公開され、SDIの設備をそのままIPネットワークで延長・中継する用途で使われてきました。
- 策定団体
- SMPTE
- 正式な表題
- Transport of High Bit Rate Media Signals over IP Networks (HBRMT)
- 公開
- 2012年
- 運ぶ信号
- 270Mbps(SD-SDI)以上の非圧縮のSDI信号
- 伝送の方式
- RTP over UDP
- ペイロードの大きさ
- 1データグラムあたり1376バイト
- 誤り訂正
- SMPTE ST 2022-5(FEC)
- 冗長化
- SMPTE ST 2022-7
ST 2110の資料を読むと、比較の相手として必ずST 2022-6が出てきます。どちらも非圧縮の映像をIPで運ぶ規格ですが、2022-6は「SDIのケーブルをネットワークに置き換える」発想で作られており、信号の中身には手を付けません。この割り切りが、2110が広まった今でも2022-6が残っている理由です。
ST 2022-6が使われる場面
よく使われてきたのは、拠点間でSDI信号を非圧縮のまま延長する用途です。スタジオと局舎、局舎と中継拠点を光回線でつなぎ、SDIの入出力を持つゲートウェイ機器が両端でSDIとIPを変換します。受け取った側から見れば、長いSDIケーブルが1本延びたのと同じ扱いです。
ST 2110が固まる前にIP化した設備でも、局内の伝送に2022-6が採用されました。現在出回っているIPゲートウェイやIPルーターには、2022-6と2110の両方を扱える機種が多く、古い2022-6の系統と新しい2110の系統をつなぐ役を担っています。
ST 2022-6の仕組み
2022-6は、SDIのビット列をブランキング期間ごとそのまま切り分け、1376バイトずつのペイロードにしてRTPのパケットに詰めます。SDIの中にあった埋め込み音声も、VANCの字幕データやタイムコードも、SDIの中にあった位置のまま一緒に運ばれます。受け手は届いたパケットを並べ直せば、元のSDI信号を復元できます。
中身に手を付けないぶん、帯域はSDIの伝送速度とほぼ同じになります。HD-SDIなら1本で約1.5Gbps、3G-SDIなら約3Gbpsなので、3G-SDIを運ぶには10GbEのポートが必要です。回線でパケットが欠けたときの備えとして、XORを使った誤り訂正のST 2022-5を組み合わせられます。
ST 2022-6の信号をST 2110の設備で扱うときの時刻の関係は、別の規格であるST 2022-8で定められています。
ST 2022-6で間違えやすい点
ST 2022-6を扱うときに誤解されやすい点は次の通りです。
- 音声だけ、字幕だけが欲しいときも、SDI全体のストリームを受けてから取り出す必要がある。音声卓で音声だけを受けたいなら2110のほうが向いている
- ブランキング期間も運ぶので、実際の映像に使われない分まで帯域を使う
- 2022-5(誤り訂正)とST 2022-7(2経路の冗長化)は別物で、片方を入れても他方の役目は果たさない
- 2022-6と2110は直接は通じない。混在させるには両方に対応したゲートウェイで変換する
放送IP化の流れの中での位置づけはMedia over IPとは?SMPTE ST 2110とNMOSで進む放送IP化を解説で扱っています。
よくある質問
ST 2022-6とST 2110はどちらを選べばよいですか
新しく局内の設備を組むなら、映像と音声を個別に扱えるST 2110が主流です。既存のSDI設備を拠点間で延長するだけなら、中身に手を付けない2022-6のほうが扱いやすい場合もあります。
ST 2022-6に必要な帯域はどれくらいですか
運ぶSDI信号の伝送速度とほぼ同じです。HD-SDIなら約1.5Gbps、3G-SDIなら約3Gbpsに、パケットのヘッダーの分が少し上乗せされます。
SMPTE 2022の-1や-7とはどう違いますか
2022シリーズは番号ごとに役割が違います。-1と-2は圧縮したMPEG-TSの誤り訂正と伝送、-5と-6は非圧縮のSDIの誤り訂正と伝送、-7は2つの経路を使った冗長化です。
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似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | SMPTE ST 2022-6との違い |
|---|---|---|
| SMPTE ST 2110 | 局内のIP基幹 | 映像・音声・付随データを別々のストリームに分け、ブランキングは運ばない。2022-6は分けずに丸ごと運ぶ |
| SMPTE ST 2022-1/2 | 圧縮映像(MPEG-TS)の伝送 | 同じ2022シリーズで、圧縮済みのMPEG-TSを運ぶ部分(-2が伝送、-1が誤り訂正)。2022-6は非圧縮のSDIを運ぶ |
| SDI | 同軸ケーブルでの伝送 | 元になる信号そのもの。2022-6はSDIのビット列をそのままネットワークに写したもの |
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