DVB-I

Service Discovery and Programme Metadata for DVB-I / ディーブイビーアイ

放送のチャンネルとインターネット配信のチャンネルを、1つの番組表と1つのチャンネル一覧の中に並べて選べるようにする欧州の規格です。DVBがETSI TS 103 770として仕様化し、チャンネルの所在をサービスリストというXMLで配ります。

規格
ETSI TS 103 770 Service Discovery and Programme Metadata for DVB-I
策定団体
DVB Project(欧州のデジタル放送規格団体)
公開されている版
V1.2.1(2024年9月)。V1.3.1の草案がDVBのBlueBook A177として公開されている
チャンネル一覧の形
サービスリスト(XMLの文書をHTTPで配る)
一覧の見つけ方
サービスリストレジストリに問い合わせて、国や事業者ごとのリストの場所を得る
対象にできる伝送路
地上波・衛星・ケーブルの放送と、光回線や5Gなどのブロードバンド
配信側の形式
DVB-DASH(MPEG-DASH)
導入が進んでいる国の例
ドイツ、イタリア、スペイン、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド

テレビのチャンネルが、アンテナで受かるものとネット配信でしか見られないものに分かれていくと、視聴者は入口を使い分けることになります。DVB-Iは、この両方を同じチャンネル一覧と同じ番組表の中に並べ、視聴者にはどちらで届いているかを意識させないための規格です。伝送路ではなく、チャンネルの見つけ方を決めている点が特徴です。

DVB-Iが使われる場面

欧州では、地上波の周波数が縮小していく一方で、同じ放送局のチャンネルがネット配信でも出ています。DVB-Iを使うと、テレビは放送で受かるチャンネルとネット配信のチャンネルを1つのリストとして読み込み、番号順に並べて提示できます。受信できない地域のチャンネルは、自動的にネット経由の所在に切り替わります。

事業者から見ると、チャンネル一覧をサーバー側で差し替えられることが大きな違いです。従来のSTBやテレビのチャンネルスキャンでは、編成が変わるたびに視聴者に再スキャンを促す必要がありました。サービスリストを更新する方式なら、局の追加や番号の入れ替えをネットワーク側の作業で済ませられます。

スマートフォンやタブレット向けのアプリでも同じサービスリストを読めるため、放送局が持つチャンネルを端末を問わず同じ並びで出す使い方があります。DVBはドイツ、イタリア、スペイン、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなどでの導入事例を挙げています。

DVB-Iの仕組み

規格の中身は、大きく2つの文書の形で決まっています。1つはサービスリストで、チャンネルの名前、番号、ロゴ、そしてそのチャンネルをどこから取れるかという所在をXMLで書いた文書です。所在には放送側の指定(周波数やサービスID)と、配信側の指定(MPEG-DASHのMPDのURL)を並べて書けます。

もう1つはサービスリストレジストリで、「この国、この事業者のサービスリストはここにある」という索引の役割を持ちます。端末は最初にレジストリへ問い合わせて、使うべきリストの場所を受け取ります。国ごとのレジストリを誰が運用するかは、市場ごとに規制当局や放送事業者の団体が決める形になっています。

番組情報も同じ枠組みで配られます。サービスリストとは別に、番組の時刻や内容を記述したメタデータをHTTPで取得する仕組みが定義されていて、端末はそれを組み合わせて番組表を作ります。日本のハイブリッドキャストが放送中の番組に重ねる画面を扱うのに対し、DVB-Iはその手前の「どのチャンネルがどこにあるか」を扱っていると考えると位置関係が分かりやすいです。

DVB-Iで間違えやすい点

  • DVB-Iは映像の符号化方式や伝送方式の規格ではありません。中身の配信はDVB-DASHで運ばれ、放送側は地上波や衛星の既存の方式のままです
  • 対応テレビであっても、サービスリストを配る事業者がいない市場では何も増えません。端末の対応と市場の運用は別に必要です
  • サービスリストの更新はネットワーク側の作業になるため、リストを配るサーバーが止まるとチャンネル一覧の更新が届きません
  • 端末ごとにDVB-Iクライアントの実装が違うため、リストに書いた属性の解釈がそろわないことがあります。ニュージーランドの事例では、メーカーが独自にクライアントを実装している段階でレジストリを立ち上げる難しさが報告されています

よくある質問

DVB-IとDVB-Tの違いは何ですか

DVB-Tは地上波で電波を送るための伝送方式の規格で、DVB-Iはチャンネルをどう見つけて選ぶかという発見の層の規格です。層が違うので置き換えの関係にはなく、DVB-Iのサービスリストの中に地上波のチャンネルを登録する形で共存します。

DVB-Iは日本でも使えますか

日本の地上デジタル放送はISDB-Tで、チャンネル選択の仕組みもARIBの規格で定められています。DVB-Iは欧州のDVB規格の枠組みなので、そのままの形では使われていません。放送とネットを組み合わせる考え方としてはハイブリッドキャストが近い位置にあります。

DVB-Iを見るには何が必要ですか

DVB-Iに対応したテレビやセットトップボックス、またはアプリと、インターネット接続が必要です。加えて、その国や地域でサービスリストを配る事業者が運用を始めていることが前提になります。

似ている形式との違い

名前主に使う場面DVB-Iとの違い
HbbTV放送連動のアプリ放送中の番組に重ねるアプリの規格。DVB-Iはチャンネルをどう見つけるかという入口の層で、両者は組み合わせて使われる
EPG番組表番組の時刻と内容の情報。DVB-Iはその番組表とチャンネルの所在をまとめてネット経由で配る枠組み
DVB-MABRIPマルチキャストでの配信大人数へ同じ映像を効率よく届ける配信の規格。DVB-Iはどのチャンネルがどこにあるかを伝える側

関連する用語

最終更新