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ISDB-S

Integrated Services Digital Broadcasting - Satellite / アイエスディービーエス

日本のBSデジタル放送と110度CSデジタル放送で使われている、衛星向けのデジタル放送の伝送方式です。ARIBが策定し、1つの中継器を時間で区切って複数の放送局で分け合います。4K・8K放送には後継のISDB-S3が使われています。

正式名称
Integrated Services Digital Broadcasting - Satellite
策定団体
ARIB(電波産業会)
伝送方式の規格
ARIB STD-B20(衛星デジタル放送の伝送方式)
使われている放送
BSデジタル放送(2000年12月開始)、110度CSデジタル放送(2002年開始)
変調
TC8PSK、QPSK、BPSK
中継器の使い方
1つの搬送波を時間で区切って(TDM)、複数の番組で分け合う
多重化
MPEG-2 TS
4K・8K放送
後継のISDB-S3(ARIB STD-B44)。多重化はMMT・TLV
限定受信
B-CAS(ARIB STD-B25)

衛星放送の機材の仕様書やチューナーの規格表で「ISDB-S」とあれば、BSデジタル放送と110度CSデジタル放送の電波の送り方を指しています。ファイルや画質の規格ではなく、放送衛星から家庭のパラボラアンテナまでの区間の決まりです。4K・8K放送は同じ系統の新しい方式で送られており、名前も「ISDB-S3」と区別されます。

ISDB-Sが使われる場面

日本では2000年12月にBSデジタル放送が、2002年に110度CSデジタル放送が始まり、どちらもISDB-Sで送られています。NHKのBS、民放系のBS各局、WOWOW、スカパー!の110度CS放送などがこの方式です。

放送の仕事でISDB-Sを直接扱うのは、衛星への送信(アップリンク)の設備、衛星の中継器の割り当て、受信機やチューナーの開発、ケーブルテレビでの再送信、電波の監視といった分野です。制作や編集の工程で意識することはほとんどありませんが、BSの番組を録画したTSを検証に使う場面では、中身がISDB-Sで運ばれたTSであることが前提になります。

2018年12月に始まった新4K8K衛星放送では、後継のISDB-S3(ARIB STD-B44)が使われ、映像はHEVC、多重化はMMT・TLVに変わりました。

ISDB-Sの仕組み

ISDB-Sは、1つの中継器の電波を1つの搬送波で送り、それを時間で細かく区切って複数の番組に割り当てる方式です。どの区切りをどの番組に使い、どの変調で送るかという情報も一緒に送られ、受信機はそれを読んで自分に必要な部分を取り出します。

変調は、多くのデータを運べるTC8PSKと、雑音に強いQPSKやBPSKを使い分けられます。強い雨で電波が弱まる「降雨減衰」に備え、1つの番組の中でTC8PSKと弱い電波でも受かる変調を組み合わせる階層変調の仕組みも用意されています。受信状態が悪くなると、弱い電波でも受かる側の階層で送った映像や音声に切り替わる、いわゆる降雨対応放送です。

電波に載っているのはTSで、地上デジタル放送のISDB-Tと同じくMPEG-2 TSで番組を多重しています。有料放送のスクランブルとコピー制御にはB-CASが使われ、データ放送もBMLで作られています。

ISDB-Sの受信や運用で間違えやすい点

受信や設備の現場では、次の点で行き違いが起きやすくなります。

  • 強い雨や雪で受信が止まるのは、多くの場合アンテナの故障ではなく降雨減衰によるもの
  • 2Kのチューナーは、同じBSの4K・8K放送(ISDB-S3)を受けられない。4K・8Kには対応チューナーとACASが要る
  • 4K・8K放送の一部は左旋円偏波という別の偏波で送られており、対応したアンテナや配線の機器がないと映らない
  • 録画したTSを解析するソフトは、ISDB-SのTSなら扱えても、4K放送のMMT・TLVは読めないことが多い

よくある質問

ISDB-Sとは何の略ですか

Integrated Services Digital Broadcasting - Satelliteの略で、「統合デジタル放送サービスの衛星版」という意味です。地上波版がISDB-T、4K・8Kの衛星放送向けがISDB-S3です。

BSデジタルと110度CSデジタルは同じ方式ですか

どちらもISDB-Sで送られており、同じ東経110度の方向にある衛星を使うので、1つのアンテナと受信機で両方を受けられる構成が一般的です。

ISDB-SとISDB-S3の違いは何ですか

ISDB-Sは2Kの放送向けで、多重化にMPEG-2 TSを使います。ISDB-S3は4K・8K放送向けに作られた方式で、より多くのデータを運べる変調を加え、多重化にMMT・TLVを使います。

似ている形式との違い

名前 主に使う場面 ISDB-Sとの違い
ISDB-T 地上デジタル放送 同じARIB系統の地上向けの方式。帯域を周波数で13のセグメントに分け、OFDMで送る
DVB-S2 欧州などの衛星放送 欧州で策定された衛星の伝送方式。日本のBS・110度CSの受信機とは互換がない
MMT・TLV 新4K8K衛星放送の多重化 伝送方式ではなく番組を束ねる方式。ISDB-S3の上で使われている

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