配信・伝送収録配信送出

RIST

Reliable Internet Stream Transport / リスト

インターネット回線で放送品質のライブ映像を送るために、Video Services Forum(VSF)が策定した伝送プロトコルです。RTPとRTCPを土台に欠けたパケットの再送を行い、メーカーの違う機器同士でもつながるように作られています。

正式名称
Reliable Internet Stream Transport
策定団体
VSF(Video Services Forum)のRIST Activity Group
仕様書
VSF TR-06 シリーズ
プロファイル
Simple(TR-06-1、2018年)、Main(TR-06-2、2020年)、Advanced(TR-06-3、2021年)
土台
RTPとRTCP(UDPの上で動く)
損失への対処
RTCPのNACKによる再送要求(ARQ)
Main Profileで加わる主な機能
GREトンネルによる多重化、DTLSまたは事前共有鍵による暗号化
ポートの決まり(Simple)
映像を偶数番のポートP、RTCPをP+1で受ける
オープンソース実装
libRIST

SRTと並んで「インターネットで放送素材を送るプロトコル」として名前が挙がるのがRISTです。目的はほぼ同じですが、RISTは放送機器のメーカーや放送事業者が集まり、仕様書を先に作ってから各社が実装した点が違います。この出自が、選ばれる理由にも、選ばれにくい理由にもなっています。

RISTが使われる場面

スポーツや番組の映像を、衛星回線や専用線の代わりにインターネットで局や配信事業者へ届ける用途で使われます。放送機器メーカーのエンコーダーやデコーダーには、SRTと並んでRISTに対応した機種が多く、送り手と受け手のメーカーが違っても仕様書どおりに実装されていればつながります。

クラウドでは、AWS Elemental MediaConnectがRISTでの送受信に対応しており、現場のエンコーダーからRISTでクラウドに上げ、そこから配信の処理に回す構成が組めます。ソフトウェアでは、オープンソースのlibRISTがFFmpegやGStreamerから使えます。複数の会社の機器を組み合わせる入札案件などで、仕様が公開された規格であることを理由にRISTが指定される場合もあります。

RISTの仕組み

RISTの基本は、RTPで映像を送り、受け手がRTCPで再送を求めるという、放送の伝送で昔から使われてきた部品の組み合わせです。受け手はシーケンス番号の抜けを見つけると、NACKというメッセージで送り手に欠けた番号を知らせ、送り手は手元に残しておいたパケットを送り直します。受け手は再送を待つための時間をバッファとして確保し、一定の遅延で映像を出力します。中身は多くの場合、MPEG-TSに入れた映像と音声です。

Simple Profileはこの再送だけを定めた最小限の仕様で、映像を偶数番のポートP、RTCPをその次のP+1で受けます。Main Profileでは、複数のストリームを1本のUDPのトンネル(GRE)にまとめてファイアウォールを通しやすくし、DTLSや事前共有鍵による暗号化を加えています。Advanced Profileはさらに機能を足した上位の仕様です。

RISTの設定で間違えやすい点

RISTでつながらない原因は、次のような食い違いであることが多いです。

  • 送り手と受け手のプロファイルが違う。片方がSimple、片方がMainのままでは通じない
  • Simple Profileで、映像用のポートだけを開けてRTCP用のP+1を閉じている。再送要求が届かず、欠けが直らない
  • 映像用のポートに奇数番を指定している
  • 暗号化を使いたいのにSimple Profileを選んでいる。暗号化はMain Profile以上の機能

RISTとSRTの違い

どちらもUDPの上で再送を行い、遅延と引き換えに欠けのない映像を届けるという点は同じです。違うのは成り立ちで、SRTはHaivisionの実装が事実上の仕様となって広まり、OBS StudioやvMixのような配信ソフトの対応も早く進みました。RISTはRTPを土台にしているので、WiresharkのようなRTPの解析ツールでパケットの抜けや再送を確かめやすい面があります。クラウド側での扱いはAWS Media Servicesとは?MediaLiveなど放送・配信基盤の構成要素を解説でも触れています。

よくある質問

RISTとSRTはどちらを選べばよいですか

送り手と受け手の機器がどちらに対応しているかで決まることがほとんどです。配信ソフトやPCで組むならSRTの対応が広く、放送機器どうしで仕様の公開された規格を求められるならRISTが選ばれやすくなります。

RISTはOBSで使えますか

使えます。配信の設定でカスタムのサーバーを選び、rist:// で始まるURLを入力して送ります。

RISTは何と読みますか

「リスト」と読まれるのが一般的です。Reliable Internet Stream Transportの頭文字を取った名前です。

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似ている形式との違い

名前主に使う場面RISTとの違い
SRT中継・局間の素材伝送Haivisionのオープンソース実装がそのまま広まった方式。対応する配信ソフトはSRTのほうが多い
Zixi有償の伝送サービスZixi社の独自プロトコルと管理製品の組み合わせ。仕様は公開されていない
RTMP配信サービスへの打ち上げTCPで送る配信向けの方式。局間の素材伝送で求められる遅延の安定性はない

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