SMPTE ST 2022-7
Seamless Protection Switching of RTP Datagrams / エスエムピーティーイー エスティー ニゼロニニ ナナ
同じ映像ストリームを2つの別経路で同時に送り、受信側でパケット単位に組み合わせて、片方の経路が止まっても映像を途切れさせないためのSMPTEの冗長化規格です。ST 2110やST 2022-6の設備で標準的に使われます。
- 策定団体
- SMPTE
- 正式な表題
- Seamless Protection Switching of RTP Datagrams(2019年版)
- 初版
- 2013年
- 対象
- RTPで運ぶストリーム(ST 2110、ST 2022-6、MPEG-TS over RTPなど)
- 仕組み
- 2経路で同じパケットを送り、受信側がシーケンス番号をもとに1本にまとめる
- 経路の遅延差の区分(受信側)
- Class A(施設内、10ms未満)、Class B(近距離の施設間、50ms未満)、Class C(さらに大きな遅延差)
- よくある構成
- 赤系・青系のように独立した2つのネットワーク
放送設備の仕様書に「2022-7対応」とあれば、それは「ネットワークが片方止まっても、映像が一瞬も乱れない」ことを意味します。障害を見つけてから予備に切り替えるのではなく、2本を常に同時に受けて、届いた方のパケットを使い続けるという考え方です。
ST 2022-7が使われる場面
ST 2110で組んだ局内の設備では、送り手も受け手もネットワークのポートを2つ持ち、それぞれを独立した2系統のネットワークにつなぐ構成が一般的です。系統は赤と青、A系とB系のように呼び分けられ、スイッチも電源も別々に用意します。片方のスイッチが故障しても、保守で止めても、放送は続きます。
局間や中継の回線でも使われます。2つの通信事業者の回線、または物理的に別ルートの回線で同じストリームを送れば、どちらかの回線で工事や障害があっても受け側の映像は途切れません。ST 2022-6で運ぶSDI信号や、RTPに入れたMPEG-TSにも同じように使えます。
ST 2022-7の仕組み
送り手は、中身もシーケンス番号も同じRTPパケットを2つの経路に同時に送ります。受け手は両方を受けながら、番号ごとに先に届いた正しいパケットを採用し、もう一方は捨てます。経路1で100番〜105番が失われても、経路2にそれがあれば、出力される映像は1パケットも欠けません。
受け手は2つの経路の到着時刻の差を吸収できるだけのバッファを持つ必要があります。この差の大きさに応じて、規格は受信機の性能をClass A、B、Cに分けています。Class Aは施設内のように遅延差とゆらぎの合計が10ms未満の経路、Class Bは近距離の施設間のように50ms未満の経路、Class Cはさらに差の大きい長距離の経路を想定しています。
ST 2022-7の設計で間違えやすい点
2022-7を入れても冗長になっていない、というケースは次のような設計から生まれます。
- 2つの経路が途中で同じスイッチ、同じ電源、同じ管路を通っていて、1か所の障害で両方が止まる
- 遠距離の2回線でルートの長さが大きく違い、受信機のClassで吸収できる遅延差を超えている
- 片方の経路が止まっても出力は正常なので、気づかないまま片肺で運用している。経路ごとの受信状況を監視しておく
- 2022-7はRTPのストリームを守る規格で、PTPの同期は対象外。PTPのグランドマスターの冗長化は別に設計する
接続管理にNMOSを使う場合、IS-05は2つの経路の送受信設定をまとめて扱えるので、つなぎ替えのたびに2系統を別々に設定する必要はありません。
よくある質問
ST 2022-7とFECの違いは何ですか
FEC(ST 2022-5など)は1つの経路に誤り訂正用のデータを足して、少しの欠けを計算で直します。2022-7は経路そのものを2つにして、片方がまるごと止まっても映像を守ります。
ST 2022-7はインターネット回線でも使えますか
2本のインターネット回線で使うこと自体はできますが、遅延差や欠けの出方が大きく、受信機のClassの範囲に収まらないことがあります。インターネット越しの伝送では、再送の仕組みを持つSRTやRISTと組み合わせて冗長化するのが一般的です。
ST 2022-7で経路が切り替わるとき映像は乱れますか
乱れません。2つの経路を常に同時に受けているので、切り替えという動作自体がなく、片方が止まっても受信側の出力は途切れずに続きます。
この用語を扱ったコラム
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | SMPTE ST 2022-7との違い |
|---|---|---|
| SMPTE ST 2022-5 | 誤り訂正(FEC) | 1つの経路の中に冗長データを足して欠けを直す。2022-7は経路そのものを二重にする |
| SRT | インターネット越しの伝送 | 欠けたパケットを再送で埋めるため、再送を待つ遅延が要る。2022-7は再送を待たずにもう一方の経路のパケットを使う |
| SMPTE ST 2110 | 局内のIP基幹 | 冗長化の対象になる伝送の規格。2022-7は2110の映像・音声のストリームそれぞれに適用する |
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