HbbTV
Hybrid Broadcast Broadband TV / エイチビービーティービー
放送とインターネットを組み合わせ、放送中の番組に重ねてHTMLで作った画面や見逃し配信をテレビに表示する欧州の規格です。ETSI TS 102 796として標準化され、日本のハイブリッドキャストと同じ目的を別の仕様で実現しています。
- 規格
- ETSI TS 102 796 Hybrid Broadcast Broadband TV
- 策定団体
- HbbTV Association
- 版の対応
- HbbTV 2.0.4 = TS 102 796 V1.7.1(2023年3月)、HbbTV 2.0.3 = V1.6.1(2020年10月)、HbbTV 1.0 = V1.1.1(2010年6月)
- アプリの記述
- HTML5、CSS、JavaScript
- アプリの起動
- 放送のAIT(Application Information Table)で通知され、赤ボタンなどで呼び出す
- 配信の形式
- MPEG-DASH
- 対象の伝送路
- DVB系の地上波・衛星・ケーブル放送
欧州のテレビを見ていると、番組の右下に赤いボタンのアイコンが出ることがあります。押すと見逃し配信や番組に連動した画面が開きます。これを支えているのがHbbTVで、放送波で「アプリがここにある」と知らせ、中身はインターネットから取ってくる仕組みです。日本のハイブリッドキャストと目的は同じですが、仕様は別の系統です。
HbbTVが使われる場面
視聴者から見える場面は、放送局のキャッチアップサービスへの入口、番組連動の投票やクイズ、拡張された番組表、ニュースや天気の詳細画面などです。欧州では放送局のアプリを開く手段として定着していて、テレビの仕様欄に対応の有無が書かれます。
放送局や制作会社の側では、番組に合わせたアプリをHTML5で作り、自社のサーバーから配信します。放送波には、どのアプリをどこから取ってくるかを書いたAIT(Application Information Table)だけを載せます。つまり放送波が運ぶのは案内で、画面の中身はネット経由です。
広告の分野でも使われます。放送のCM枠に重ねて、ネット経由の追加情報やターゲティングされた別の広告を出す運用が欧州では行われています。放送のCM枠をSCTE-35などの合図で検出し、HbbTVのアプリが画面を差し替える構成が取られます。
HbbTVの仕組みと版の違い
HbbTVはETSI TS 102 796として標準化されていて、HbbTVの版番号とETSIの版番号が別に付きます。対応表の主なところは次の通りです。
- HbbTV 1.0 は TS 102 796 V1.1.1(2010年6月)
- HbbTV 1.5 は V1.2.1(2012年11月)
- HbbTV 2.0 は V1.3.1(2015年10月)
- HbbTV 2.0.1 は V1.4.1(2016年7月)
- HbbTV 2.0.2 は V1.5.1(2018年9月)
- HbbTV 2.0.3 は V1.6.1(2020年10月)
- HbbTV 2.0.4 は V1.7.1(2023年3月)
アプリの実行環境はHTML5、CSS、JavaScriptで、W3Cの仕様に放送との連携機能を足した形になっています。放送中のチャンネルの情報を取る、放送の映像をアプリの画面の一部に縮小して表示する、MPEG-DASHで配信を再生する、といった操作がAPIとして用意されています。2.0以降ではコンパニオン端末との連携やストリームイベントの扱いが加わりました。
日本のハイブリッドキャストと比べると、土台にHTML5を使う点、放送波で起動の案内だけを送る点は共通しています。違うのは仕様を定める団体と運用規定で、HbbTVはHbbTV AssociationとETSI、ハイブリッドキャストはIPTVフォーラムのIPTVFJ規格です。放送の多重化もDVB系とARIB系で違うため、アプリをそのまま持ち込むことはできません。
HbbTVで間違えやすい点
- 対応テレビでもインターネットにつないでいなければアプリは動きません。放送波は案内しか運びません
- 版番号が2つあるため、製品の対応を確認するときはHbbTVの版とETSIの版のどちらを指しているかを見る必要があります
- 同じHbbTV 2.0.x対応でも、メーカーや機種で実装の範囲が違います。パソコンのブラウザで動いてもテレビで動くとは限らないため、実機での確認が欠かせません
- 日本のハイブリッドキャストとはアプリの互換がありません。共通化できるのはHTML5の一般的な部分だけで、放送連携のAPIは書き分けが要ります
よくある質問
HbbTVとハイブリッドキャストの違いは何ですか
目的はどちらも放送とネットの連携ですが、仕様を定める団体が違います。HbbTVは欧州のHbbTV AssociationがETSI TS 102 796として、ハイブリッドキャストは日本のIPTVフォーラムがIPTVFJ規格として定めています。放送の多重化方式も実行環境の細部も異なるため、アプリは相互に動きません。
HbbTVは日本のテレビで使えますか
日本国内向けのテレビはARIBの規格に沿って作られているため、HbbTVには対応していないのが通例です。海外向けモデルとは仕様が分かれます。
HbbTVのアプリはどうやって作りますか
HTML5、CSS、JavaScriptで作り、自社のサーバーから配信します。放送側にはAITでアプリの所在を載せてもらいます。開発ではHbbTV Associationが公開している仕様書と、対応テレビの実機またはテスト用の受信環境が必要になります。
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | HbbTVとの違い |
|---|---|---|
| ハイブリッドキャスト | 日本の放送通信連携 | IPTVフォーラムが仕様を定める日本の規格。目的は同じだがアプリの実行環境も運用規定も別で、アプリの互換はない |
| データ放送 | dボタンで出る情報画面 | 画面の部品まで放送波で送る。ネット接続がなくても表示でき、送れる量は小さい |
| DVB-I | チャンネルの発見 | 放送とネットのチャンネルを1つの一覧にまとめる層。HbbTVは番組に重ねるアプリの層で、組み合わせて使われる |
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