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IPMX

Internet Protocol Media Experience / アイピーエムエックス

放送用のST 2110とNMOSを土台に、イベントや会議室などのProAVで必要になる機能を足した公開仕様です。VSFがTR-10シリーズとして文書を出しており、HDCPやHDMIの付随情報、USBの扱いまで含んでいます。

正式名称
Internet Protocol Media Experience
仕様書
VSF TR-10シリーズ
策定
VSF(Video Services Forum)。AIMS、AMWA、SMPTE、EBU、AESが関わる
土台になる規格
SMPTE ST 2110、AES67、AMWA NMOS
主なパート
TR-10-1(システムのタイミングと定義)、TR-10-2(非圧縮映像)、TR-10-3(PCM音声)、TR-10-5(HDCPの鍵交換)、TR-10-8(NMOSの要件)
ProAV向けに足したもの
TR-10-10(HDMIのInfoFrameの伝送)、TR-10-13(Privacy Encryption Protocol)、TR-10-14(USB)
圧縮の扱い
TR-10-7(圧縮映像)、TR-10-11(固定ビットレートの圧縮映像)、TR-10-15(JPEG XS、H.265、H.264のコーデック要件)
同期
ST 2110と同じくPTPで時刻をそろえる

放送局のST 2110をそのままイベント会場や会議室に持ち込もうとすると、足りないものが出てきます。パソコンのHDMI出力にはHDCPがかかっていますし、送り出す解像度もフレームレートも機器ごとにばらばらです。IPMXは、この差を埋めるための取り決めをST 2110とNMOSの上に足した仕様群です。

IPMXが使われる場面

想定されているのはProAV(業務用AV)の領域です。ライブイベントのLEDウォールへの配信、大学の講義室や企業の会議室での映像配線、デジタルサイネージ、e-sportsの会場といった、専用の映像ケーブルを引き回していた場所を汎用のIPネットワークに置き換える用途が中心になります。

放送との違いが出るのは信号の素性です。会場に持ち込まれるノートパソコンやメディアプレーヤーの出力はHDCPで保護されており、解像度やフレームレートも接続するたびに変わります。ipmx.ioの説明では、1ギガビットの回線で4K60の4:4:4を扱えること、JPEG XSによる圧縮に対応すること、144fpsのような高いフレームレートも想定していることが挙げられています。

制作と会場の境目にある現場、たとえば大規模なイベントで放送用の中継設備と会場の表示設備が隣り合う場所では、両方が同じST 2110とPTPの上に載るという点が導入の理由になります。

IPMXの仕組み

土台になるのはSMPTE ST 2110、AES67、AMWA NMOSの3つです。映像と音声の運び方はST 2110に、音声の相互接続はAES67に、機器の検出と接続の切り替えはNMOSに従います。そのうえでVSFがTR-10シリーズとして、ProAVで必要になる条件を部ごとに文書化しています。

シリーズの構成は、TR-10-1がシステムのタイミングと定義、TR-10-2が非圧縮映像、TR-10-3がPCM音声というように、ST 2110の各部と対応する形で並んでいます。ProAV固有のものとしては、HDCPの鍵交換を扱うTR-10-5、HDMIのInfoFrameをそのまま運ぶTR-10-10、通信を保護するPrivacy Encryption ProtocolのTR-10-13、キーボードやカメラをネットワーク越しに使うためのTR-10-14があります。NMOSについては、IPMXの機器が満たすべき要件をTR-10-8がまとめています。

圧縮の扱いも決められています。TR-10-7とTR-10-11が圧縮映像の運び方を、TR-10-15がJPEG XS、H.265、H.264それぞれのコーデック要件を定めており、非圧縮と圧縮を同じ枠組みで扱えるようになっています。

IPMXとST 2110の違いで確認する点

ST 2110は放送局の管理されたネットワークを前提にしており、機器のフレームレートは施設全体でそろっているものとして扱います。IPMXはそこが違い、送り元ごとに異なる解像度やフレームレートが来る前提で作られています。HDCPで保護された信号をどう受け渡すかについても、ST 2110には定めがありません。

導入時に確認したいのは、対応するTR-10のパートが機器ごとに違うという点です。シリーズは部ごとに文書が分かれており、完成しているものと作業中のものが混在しています。HDCPやUSBの機能が必要なら、そのパートに対応しているかを機種ごとに確かめることになります。

よくある質問

IPMXとST 2110の違いは何ですか

IPMXはST 2110を土台にしており、映像と音声の運び方そのものは共通です。違うのはProAVで必要になる部分で、HDCPの鍵交換、HDMIの付随情報の伝送、USBの扱い、送り元ごとに異なるフレームレートへの対応がVSFのTR-10シリーズとして足されています。

IPMXを使うのに費用はかかりますか

ipmx.ioでは、AIMS、AMWA、VSF、SMPTE、EBU、AESという非営利の団体から生まれた仕様であり、使いたい人に開かれた状態を保つと説明されています。仕様書はVSFのウェブサイトでTR-10シリーズとして公開されています。

IPMXの機器はST 2110の機器とつながりますか

同じST 2110とAES67、NMOSを土台にしているため、非圧縮の映像や音声をやり取りする範囲では組み合わせられる見込みがあります。ただしHDCPやInfoFrameのようにIPMXで足された部分はST 2110の機器が扱わないので、実際の組み合わせは機種ごとの確認が必要です。

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名前主に使う場面IPMXとの違い
SMPTE ST 2110放送設備のIP化IPMXの土台。管理された網と同一のフレームレートが前提で、HDCPやHDMIの付随情報の扱いは決めていない
NMOS機器の検出と接続管理IPMXも制御にNMOSを使う。IPMXとして満たすべき要件はTR-10-8にまとめられている
NDI制作現場のIP映像制作の現場で広く使われているIP映像の方式。IPMXはST 2110を土台にした公開仕様という成り立ちが違う
HDBaseTProAVの映像配線専用の機器とケーブルで1対1に送る方式。IPMXは汎用のIPネットワークに載せる

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