SRT(伝送プロトコル)
Secure Reliable Transport / エスアールティー
インターネット回線でも途切れにくく、遅延の少ないライブ映像伝送を行うためのプロトコルです。Haivisionが開発してオープンソース化し、中継現場から局やクラウドへの素材伝送で広く使われています。
- 正式名称
- Secure Reliable Transport
- 開発元
- Haivision(2017年にオープンソース化)
- 推進団体
- SRT Alliance(2017年設立)
- 下位の通信
- UDP
- 損失への対処
- ARQ(受信側が欠けたパケットの再送を要求する)
- 暗号化
- AES(送受信で同じパスフレーズを設定)
- 接続モード
- Caller、Listener、Rendezvous
- 遅延の初期値
- 120ms(libsrtの既定値)
- よく運ぶ中身
- MPEG-TS(H.264やHEVCの映像と音声)
「SRTで送ってください」と言われて字幕のSRTファイルを思い浮かべたなら、それは別物です。ここでのSRTは、ライブ映像をインターネット越しに送るための伝送プロトコルで、欠けたパケットを取り戻すための待ち時間を「遅延」として先に決めておく点に特徴があります。
SRTプロトコルが使われる場面
代表的なのは、スポーツ中継や報道の現場から局へ映像を送る用途です。これまで中継車の衛星回線や専用線で送っていた素材を、光回線やモバイル回線で送れるようになり、機材と回線の手配が軽くなりました。受ける側は局内のデコーダーのほか、AWS Elemental MediaConnectのようなクラウドの伝送サービスであることも増えています。
送り手は業務用のハードウェアエンコーダーに限りません。OBS Studio、vMix、FFmpegもSRTでの送受信に対応しているため、配信スタジオのPCから別拠点のスタジオへ映像を送る、リモート出演者へ番組の返し映像を送る、といった使い方も一般的です。中身はMPEG-TSに入れたH.264やHEVCの映像と音声であることがほとんどです。
SRTプロトコルの仕組み
SRTはUDPで映像を送り、受信側はパケットの番号の抜けを見つけると送信側に再送を求めます。受信側は設定した遅延の分だけデータを溜めてから一定のタイミングで出力するので、その時間内に再送が間に合えば、映像は欠けずに届きます。つまり遅延の値は「再送に使える猶予」です。
HaivisionはこのLatencyを回線の往復時間(RTT)の4倍以上に設定するよう案内しており、libsrtの既定値は120msです。接続は、待ち受ける側をListener、接続しに行く側をCallerとして組むのが基本で、両者が同時に接続を試みるRendezvousもあります。暗号化はパスフレーズを共有してAESで行います。
SRTの設定で間違えやすい点
つながらない、映像が途切れるといったトラブルは、次の設定の食い違いから起きることが多いです。
- 送信側と受信側を両方ともCallerにしてしまい、どちらも待ち受けていない
- Listener側のルーターやファイアウォールで、使うUDPポートを開けていない
- パスフレーズが片側だけに設定されている、または文字数が足りない(libsrtでは10〜80文字)
- 遅延を回線に対して短くしすぎて、再送が間に合わずに映像が欠ける
帯域にも注意が要ります。libsrtは再送のための上乗せ帯域を既定で映像ビットレートの25%見込んでいるので、上り回線にはその分の余裕が必要です。
SRTプロトコルとRIST・RTMPの違い
同じ目的のRISTは放送関係の団体が仕様書を先に作った方式で、SRTはHaivisionの実装がそのまま広まった方式です。配信サービスへの打ち上げに使うRTMPはTCPで送るため、回線が不安定になると遅延が伸び続けます。字幕ファイルとの取り違えや遅延の考え方はSRTプロトコルとは?字幕ファイルのSRTとの違いと低遅延ライブ伝送の仕組みで詳しく扱っています。
よくある質問
SRTプロトコルとSRT字幕ファイルは関係がありますか
関係はありません。略称が同じだけで、字幕のSRTはSubRipという字幕ソフトに由来するテキスト形式、伝送のSRTはSecure Reliable Transportの略です。
SRTの遅延は何ミリ秒に設定すればよいですか
回線の往復時間(RTT)の4倍以上が目安で、既定値の120msより短くするのは避けます。モバイル回線や海外との伝送のように揺れが大きい回線では、さらに長めに取ります。
SRTで送った映像はそのままブラウザで見られますか
ブラウザはSRTを直接再生できません。視聴者に見せるには、受信したサーバーでHLSやWebRTCに変換して配信します。
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SRTプロトコルとは?字幕ファイルのSRTとの違いと低遅延ライブ伝送の仕組みSRT(Secure Reliable Transport)は、公衆インターネット経由でライブ映像を低遅延・高信頼に運ぶオープンソースの伝送プロトコルです。字幕ファイルのSRTとの違いから、ARQによる損失回復の仕組み、RTMPとの比較までを解説します。放送技術解説
SRT・RTMP・WebRTC・HLSの違い|配信プロトコルを遅延で選ぶライブ配信のプロトコルは、受け持つ区間が違うため単純な優劣で比べられません。SRT・RTMP・WebRTC・HLSを遅延・区間・視聴側の要件・多人数配信の軸で比較し、伝送区間と視聴者配信を組み合わせて設計する考え方を整理します。放送技術解説
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | SRT(伝送プロトコル)との違い |
|---|---|---|
| SRT(字幕ファイル) | 字幕 | 同じ略称の字幕ファイル形式。拡張子 .srt のテキストファイルで、伝送プロトコルとは無関係 |
| RIST | 中継・局間の素材伝送 | VSFが仕様書から策定した同じ目的のプロトコル。RTPとRTCPを土台にしている |
| RTMP | 配信サービスへの打ち上げ | TCPで送るため、回線が揺れると遅延が積み上がる。遅延量を指定して調整する仕組みはない |
| Zixi | 有償の伝送サービス | Zixi社の独自プロトコルと管理製品の組み合わせ。SRTはオープンソースで自由に実装できる |
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