SSAI
Server-Side Ad Insertion / エスエスエーアイ
動画配信の広告を、プレイヤーではなく配信サーバーの側で本編の映像ストリームに縫い込む方式です。広告も本編と同じプレイリストのセグメントとして届くため、切り替わりの読み込み待ちが出にくく、広告ブロッカーにも止められにくくなります。
- 正式名称
- Server-Side Ad Insertion
- 別名
- DAI(Dynamic Ad Insertion)、広告スティッチング
- 広告枠の合図
- SCTE-35のキュー(ANSI/SCTE 35)
- 広告の取得
- IAB Tech LabのVASTやVMAPで広告サーバーに問い合わせる
- 組み合わせる配信方式
- HLS、MPEG-DASH
- 主なサービス
- AWS Elemental MediaTailor、Google Ad ManagerのDAI
広告ブロッカーで配信の広告が消えてしまう。本編から広告へ移るたびに画面が一瞬黒くなる。SSAIは、この2つを広告を配信サーバーの側で本編に縫い込むことで避ける方式です。プレイヤーから見ると、広告も本編も同じプレイリストに並んだ続きのセグメントでしかありません。
SSAIが使われる場面
広告付きの無料配信(AVOD)や、24時間編成で番組を流し続けるFASTチャンネルでは、SSAIが標準的な構成になっています。スマートテレビやストリーミング端末のアプリは広告用のSDKを組み込みにくいものが多く、サーバー側で広告を差し込めば端末ごとの作り込みが要りません。
放送の同時配信でも使われます。放送で流すCMの中にはネット配信の権利がないものや地域限定のものがあり、同時配信ではその枠をネット向けの広告や差し替え映像に置き換える運用が行われています。視聴者ごとに違う広告を出せるので、ネット側では地域や属性に合わせた広告枠として販売できます。
SSAIの仕組み
SSAIの流れは次の通りです。
- エンコーダーや送出設備が、広告枠の開始と長さをSCTE-35のキューとして映像に入れる
- パッケージャーがキューを読み、HLSならEXT-X-DATERANGEやEXT-X-CUE-OUTのタグとして、MPEG-DASHならイベントとしてプレイリストに書く
- SSAIサーバーが視聴者ごとにプレイリストを書き換え、枠の部分を広告サーバーからVASTで返ってきた広告のセグメントに差し替える
- 広告と本編の境目にはEXT-X-DISCONTINUITYを入れ、プレイヤーにデコーダーの切り替えを知らせる
広告の動画は、あらかじめ本編と同じ解像度とビットレートの段数(ABRのラダー)へ変換しておく必要があります。多くのサービスは初めて出てきた広告を裏で変換するため、最初の数回は枠が埋まらず、差し替え映像が流れることがあります。
SSAIの設定で間違えやすい点
実際の運用で問題になりやすいのは次の点です。
- 広告と本編で音量の基準がそろっておらず、広告だけ大きく聞こえる。放送由来の本編が-24LKFSで、Web用に作られた広告がそれより大きい、というずれがよく起きる。ラウドネスの正規化を入稿時に入れておくと防げる
- 広告と本編でフレームレートや音声のチャンネル数が違い、境目で再生が止まる端末がある
- プレイリストが視聴者ごとに変わるため、プレイリストはCDNに保存できず、SSAIサーバーの処理能力が同時視聴数の上限になる。セグメントは従来通りCDNに載せられる
- 本編だけDRMで暗号化し広告は暗号化しない構成で、境目の切り替えに対応していない端末が出る
視聴の計測も設計が要ります。広告を再生したことを広告サーバーへ知らせる通知を、サーバーから送るかプレイヤーから送るかで、数え方と計測会社の扱いが変わるためです。
よくある質問
SSAIとCSAIの違いは何ですか
SSAIは配信サーバーが広告を本編のストリームに縫い込み、CSAIはプレイヤーが本編を止めて広告を別に読み込みます。SSAIは切り替わりが滑らかでブロックされにくく、CSAIは広告ごとの操作や計測を細かく作り込みやすい方式です。
SSAIの広告は広告ブロッカーで消せますか
広告が本編と同じドメイン、同じ形式のセグメントで届くため、ブロッカーでは見分けにくく、消されにくくなります。ただしプレイヤーから送る計測の通知は止められる場合があります。
SCTE-35とは何ですか
放送や配信の映像に「ここから何秒の広告枠」といった区切りを埋め込むための、米国ケーブル業界団体SCTEの規格です。SSAIでは、このキューを手がかりに広告を差し込む位置を決めます。
この用語を扱ったコラム
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | SSAIとの違い |
|---|---|---|
| CSAI | Web動画の広告 | プレイヤーが本編を止めて広告を別に読み込むクライアント側の方式。広告ブロッカーに止められやすく、切り替わりで待ちが出る |
| HLS Interstitials | Apple端末向けの広告差し込み | プレイリストには広告の位置だけを書き、再生側が本編とは別の素材として広告を再生するAppleの仕組み |
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