AWS Elemental MediaPackage
メディアパッケージ
エンコーダーから受け取ったライブ映像を、視聴端末の要求に応じてHLSやDASHの形に組み立てて配る、AWSのパッケージング兼オリジンサービスです。DRMの暗号化や、追いかけ再生などの時間を戻す視聴も受け持ちます。
- 提供元
- Amazon Web Services
- 種別
- ジャストインタイムのパッケージャー兼オリジン
- 入力
- HLS または CMAF(エンコーダーからHTTPSでプッシュ)
- 出力
- HLS(TS / CMAF)、DASH(CMAF)、Low-Latency HLS
- DRM
- SPEKE v2.0経由でFairPlay、Widevine、PlayReadyなど
- 時間を戻す視聴
- スタートオーバー、キャッチアップ、タイムディレイ
- 入力の冗長化
- 2つの取り込みURLに同じストリームを送る
- 構成要素
- チャンネルグループ、チャンネル、オリジンエンドポイント
- 現行版
- MediaPackage v2(2023年5月から)。v1とはAPIもURLも別
MediaLiveのHLS出力をそのままCDNにつなげば配信はできるのに、なぜMediaPackageを挟むのか。答えは、1本の入力からHLSとDASHを両方出す、DRMをかける、放送中の番組を頭から見直せるようにする、といった「配信の形を整える仕事」をまとめて引き受けるからです。
MediaPackageの現場での使われ方
使われるのは、権利の管理が必要なライブ配信です。スポーツ中継やドラマの同時配信では、iPhone向けにFairPlayで暗号化したHLS、AndroidやPC向けにWidevineやPlayReadyで暗号化したDASHを、同じ映像から同時に出す必要があります。こうしたマルチDRMの構成でも、MediaPackageは視聴端末からの要求を受けた時点で形式を組み立てるため、形式ごとにエンコードをやり直す必要がありません。
放送中の番組を頭から見る「追っかけ再生」や、少し前に戻って見る再生もMediaPackageの役割です。MediaPackageが過去のセグメントを保持しておき、時刻を指定した要求に応えます。広告を差し込むSSAIの構成では、MediaPackageを広告挿入サービス(AWSならMediaTailor)の手前に置く形がよく使われます。
MediaPackageの基本の使い方・構成例
作る順番は次の通りです。
- チャンネルグループを作る。配信URLのドメインを共有する単位になる
- チャンネルを作り、入力の種類(HLSかCMAF)を選ぶ
- チャンネルにオリジンエンドポイントを作り、コンテナ(TSかCMAF)とマニフェスト(HLSかDASH)、暗号化の設定を決める
- MediaLiveの出力先にチャンネルの取り込みURLを指定し、エンドポイントのURLをCDNのオリジンに設定する
1つのチャンネルに複数のエンドポイントを作れるので、HLS用とDASH用、DRMありとなしを並べて持てます。取り込みURLは2つ用意されるので、MediaLiveのスタンダードチャンネルの2系統をそれぞれに送れば、入力が片方途切れても配信は続きます。
MediaPackageでつまずきやすい点
入力には映像のトラックが必須です。音声だけのラジオ同時配信のような使い方には対応していません。エンコーダーから送るセグメントを暗号化しておくこともできないので、暗号化はMediaPackage側のエンドポイントでかけます。
形式ごとの対応の違いにも注意が必要です。AV1はCMAFのエンドポイントでしか出せず、TSのエンドポイントでは表示されません。字幕も、TSのHLSではWebVTTのみで、CEA-608/708のクローズドキャプションを通したいならCMAFのエンドポイントを使います。
検索で見つかる情報がv1とv2で混ざっている点も混乱のもとです。2023年5月以降の新規作成はv2で、APIもURLも mediapackagev2 を含む別物になり、v1からの自動移行の手段はありません。
よくある質問
MediaPackageはVOD配信にも使えますか
現行のv2のユーザーガイドはライブ配信を対象にしており、VODのパッケージングはv1の機能として案内されています。完成したファイルから見逃し配信を作るなら、MediaConvertでHLSやDASHを書き出す方法が一般的です。
MediaPackageでDRMをかけるには何が必要ですか
SPEKEに対応したDRMプロバイダーとの契約が必要です。プロバイダーが用意する鍵の受け渡し口をエンドポイントの暗号化設定に登録すると、MediaPackageが鍵を受け取って暗号化します。視聴端末へのライセンス発行もプロバイダー側の仕事です。
MediaPackageは必ず必要ですか
HLSだけを暗号化なしで配るなら、MediaLiveのHLS出力を配信用のサーバーやストレージに書き出し、CDNで配る構成でも成り立ちます。DRM、DASHとの併用、追っかけ再生のどれかが必要になった時点で、MediaPackageを入れる理由が出てきます。配信形式そのものの違いはHLSとMPEG-DASHの違いとは?セグメント配信とABRの仕組みを解説で解説しています。
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似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | AWS Elemental MediaPackageとの違い |
|---|---|---|
| CDN | 視聴者の近くでの配信 | できあがったセグメントをキャッシュして大量の視聴者に配る。MediaPackageはその手前でセグメントとマニフェストを作る側 |
| AWS Elemental MediaLive | ライブのエンコード | 映像を圧縮して画質の段を作る。MediaPackageは圧縮し直さず、配信の形式に詰め替える |
| S3に置くだけのHLS配信 | 小規模・VODの配信 | 静的なファイルを置くだけで仕組みは単純。DRMや時間を戻す視聴、DASHの同時提供は自前で用意する |
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