OpenEXR.exr
OpenEXR / オープンイーエックスアール
明るさを浮動小数点の値で持ち、1つのファイルに多数のチャンネルを入れられるVFX・CG向けの画像形式です。ILMが開発してオープンソースで公開し、CGのレンダリング出力や合成の受け渡しで標準的に使われます。
- 拡張子
- .exr
- 開発
- Industrial Light & Magic(ILM)。現在は Academy Software Foundation のプロジェクト
- 値の持ち方
- 16bit浮動小数点(half)、32bit浮動小数点、32bit整数
- チャンネル
- RGBA以外にも任意の名前で多数のチャンネルを持てる
- 主な圧縮
- 可逆のPIZ・ZIP・RLE、非可逆のDWAA・DWAB・B44
- ACESとの関係
- ACESのファイル形式(SMPTE ST 2065-4)はOpenEXRを制限付きで使う
- 扱える主なソフト
- Nuke、After Effects、DaVinci Resolve、Blender、Maya、Houdini
CGのレンダリングを頼んだら .exr の連番で届き、開いてみると色が暗かったりチャンネルがたくさん並んでいたりして戸惑うことがあります。EXRは表示用の画像ではなく、合成の素材として光の量をそのまま記録する形式です。見た目を整えるのは合成ソフト側の仕事になります。
OpenEXRが使われる場面
中心はVFXとCGです。Maya、Houdini、Blenderなどでレンダリングした結果を、NukeやAfter Effectsで合成するときの受け渡しにEXRが使われます。1枚の画像だけでなく、拡散光、反射、影、奥行き(Z)、オブジェクトごとのマスクといった要素を別々のチャンネルとして同じファイルに入れられるので、合成段階で反射だけ弱めるといった調整ができます。
実写のVFXでも、撮影素材をリニアな色空間に変換したプレートをEXR連番でVFX会社に渡し、合成結果もEXRで戻す運用がよく見られます。ACESで仕上げる作品では、中間素材やマスターをACESの規格に沿ったEXRで保存します。フィルム由来の工程で使われてきたDPXに代わって、EXRを受け渡しの基本にするポスプロも多くあります。
OpenEXRの仕組みと浮動小数点
一般的な画像は、黒を0、白を255や1023のような整数の上限で表します。EXRは値を浮動小数点で持つので、白の1.0を超える明るさ、たとえば太陽や照明の光を10.0や100.0として記録できます。合成で露出を下げたときに、飛んでいた部分の階調が戻ってくるのはこのためです。
よく使われるのは16bitのhalfで、映像の階調にはこれで十分な場合が多く、32bitに比べてデータ量が半分になります。奥行きや座標のように精度が必要なチャンネルだけ32bitにする、という使い分けもできます。
圧縮は用途で選びます。最終の素材では可逆のPIZやZIP、プレビューや中間ファイルの容量を抑えたいときは非可逆のDWAAやDWABがよく選ばれます。
OpenEXRが暗い・色がおかしく見えるとき
EXRの中身は多くの場合リニアな値なので、普通の画像ビューアでそのまま表示すると暗くコントラストの強い絵に見えます。ソフトの側でsRGBやRec.709への表示変換を通して確認します。NukeやResolveでは、プロジェクトやビューアの色管理の設定がここに当たります。
After Effectsで読み込んだときに一部のチャンネルしか見えない場合は、マルチチャンネルを扱うエフェクトやプラグインで取り出す必要があります。ファイルが大きく再生が重いときは、確認用にプロキシを作るのが一般的です。
よくある質問
EXRファイルはPhotoshopで開けますか
Photoshopでも開けますが、32bitの画像として扱われ、使える機能が限られます。レイヤーやチャンネルを多用したEXRの編集には、合成ソフトのほうが向いています。
EXRをMP4などの動画に変換するにはどうすればよいですか
DaVinci ResolveやAfter Effectsで連番として読み込み、表示変換を当ててから書き出します。リニアのまま書き出すと暗い映像になるので、変換の設定を確かめてから出力します。
EXRとDPXのどちらで納品すればよいですか
受け渡し先の指定に従います。VFXやCGの合成素材ならEXR、フィルムスキャンや従来型のグレーディングの工程ならDPXが指定されることが多いです。
似ている形式との違い
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