ASC CDL.cdl.cc.ccc
American Society of Cinematographers Color Decision List / エーエスシーシーディーエル
撮影現場で決めた色の調整を、Slope・Offset・Power と Saturation の10個の数値で記録し、別のソフトへそのまま渡すための形式です。米国撮影監督協会(ASC)がまとめ、デイリーズや本編集の色の受け渡しに使われます。
- 拡張子
- .cdl、.cc、.ccc(いずれもXML)
- 策定団体
- 米国撮影監督協会(ASC)
- 持つ値
- RGBごとのSlope・Offset・Power(9個)とSaturation(1個)
- 計算式
- 出力 =(入力 × Slope + Offset)の Power 乗
- ほかの形式への埋め込み
- EDLのコメント行(*ASC_SOP、*ASC_SAT)、ALEの列
- 扱える主なソフト
- DaVinci Resolve、Pomfort LiveGrade、Baselight、Avid Media Composer
仕様書やデイリーズの受け渡し表に「CDLも添付」と書かれていて、LUTと何が違うのか迷う人は多いはずです。CDLは色の調整を10個の数値だけで表すので、どのソフトでも同じ計算で同じ色を再現でき、後から数値を読んで直すこともできます。
ASC CDLが使われる場面
典型は、撮影現場のルックを編集部とグレーディングまで持ち運ぶ流れです。DITがLog撮影の映像をモニターで見ながら、Pomfort LiveGradeなどで露出や色かぶりを軽く補正します。その補正をCDLとして保存し、カメラの変換用LUTと組み合わせて現場モニターやデイリーズに当てます。
編集部には、CDLの値がALEの ASC_SOP・ASC_SAT 列や、EDLのコメント行に入った状態で届きます。Avid Media Composerはこの値を読んで、オフライン編集中も現場と同じ見た目で素材を表示できます。本編のカラーグレーディングに入ったときも、カラリストはCDLを出発点として読み込み、撮影監督が現場で狙った方向を確かめてから作業を始められます。
VFXの受け渡しでも、プレートと一緒にショットごとのCDLを .cc で送る運用がよく見られます。VFX側は元の素材に手を加えずに、グレーディングと同じ見た目でプレビューできます。
ASC CDLの仕組み
計算は2段階です。まずRGBのチャンネルごとに、入力にSlopeを掛けてOffsetを足し、その結果をPower乗します。Slopeはおおむねゲイン、Offsetは全体の持ち上げ、Powerはガンマに近い働きをします。そのあと、Saturationで彩度を一括で調整します。彩度の計算にはRec.709の輝度の係数が使われます。
ファイルはXMLで、1つの補正を入れる .cc(ColorCorrection)、複数の補正をまとめる .ccc(ColorCorrectionCollection)、ショットごとの判断を並べる .cdl(ColorDecisionList)の3種類があります。EDLに書くときは、次のようなコメント行になります。
*ASC_SOP (1.0200 1.0000 0.9800)(0.0100 0.0000 -0.0050)(1.0000 1.0000 1.0000)*ASC_SAT 0.9500
CDLで色がずれるときの確認点
CDLには、どの色空間で計算するかという情報が入っていません。同じ数値でも、Logの信号に当てるか、Rec.709に変換した後に当てるかで結果が変わります。現場と編集部で見た目が違うときは、LUTの前に当てるのか後に当てるのかという順番を、双方で揃えているかを最初に確かめます。
もう一つは、CDLで表せない調整です。特定の色だけを変える二次補正やウィンドウの補正は10個の数値に入らないので、CDLを書き出しても消えます。現場でこうした調整をした場合は、LUTとして焼き込んで渡すか、グレーディング側で作り直すことになります。
よくある質問
CDLファイルはDaVinci Resolveで読み込めますか
読み込めます。.cc や .ccc のファイルはギャラリーにスチルとして読み込み、対応するクリップにグレードとして当てます。EDLに書かれたCDLは、カラートレースの機能でタイムラインのクリップにまとめて当てられます。CDLの書き出しにも対応しています。
CDLとLUTはどちらを渡せばよいですか
後の工程で調整し直す可能性があるならCDL、見た目をそのまま固定して渡したいならLUTが向いています。現場では、カメラ用の変換LUTとショットごとのCDLを組み合わせて渡すことがよくあります。
CDLのPowerとガンマは同じものですか
似た働きをしますが、同じではありません。PowerはSlopeとOffsetを当てた後の値をべき乗する計算で、表示装置のガンマとは別の概念です。
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | ASC CDLとの違い |
|---|---|---|
| LUT | 変換やルックの適用 | LUTは入力値と出力値の対応表で、どんな曲線も表せる。CDLは10個の数値だけで、後から値を読んで調整し直せる |
| カラーグレーディング | 本編の色づくり | グレーディングは作業そのもの。CDLはその一部の結果を他の工程へ渡すための記録形式 |
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