トランスコード
transcode / トランスコード
圧縮された映像や音声をいったん復号し、別のコーデックや設定で圧縮し直す変換処理のことです。編集しやすい形式への変換、納品形式への書き出し、配信用の複数画質の作成など、映像のファイルを扱う工程のあちこちで行われます。
- 英語
- transcode(transcoding)
- 処理の中身
- 復号(デコード)してから別の形式で圧縮し直す(エンコード)
- 画質
- 非可逆圧縮どうしの変換では劣化する
- 主なツール
- FFmpeg、Adobe Media Encoder、Apple Compressor、HandBrake
- 放送・配信の主なシステム
- Telestream Vantage、AWS Elemental MediaConvert
- 似た処理
- リラップ(中身を変えず入れ物だけ替える)
スマホで撮った動画を編集ソフトに入れたら音がずれる、局に納めるためにMXFで書き出せと言われた。どちらも答えはトランスコードで、ファイルの形式を中身ごと変換することです。便利な反面、変換のたびに画質が少しずつ落ちるという性質を持っています。
トランスコードが使われる場面
トランスコードは映像を扱う工程のあちこちで行われます。代表的な場面は次の通りです。
- 取り込み:カメラのH.264やH.265の素材を、編集しやすいProResやDNxHRに変換する
- 編集用の軽い素材づくり:重い素材からプロキシを作る
- 納品:ProResで仕上げたマスターを、局の指定のXDCAM HD422のMXFや、Web用のH.264に変換する
- 配信:1本の映像から、画質の違う複数のファイルを作る
- アーカイブ:古い形式の素材を、長く扱える形式に移し替える
配信サービスでは、アップロードされた映像を1080p、720p、480pのように画質の違う複数のファイルに変換し、視聴者の回線に合わせて切り替えて送ります。この仕組みがABRで、変換はクラウドのトランスコードサービスで自動的に行われます。放送局やポスプロでは、Telestream Vantageのような変換システムで、決まった納品形式への変換を自動で回しています。
トランスコードの仕組みとリラップとの違い
トランスコードは、圧縮された映像をいったん元の画像に戻し(デコード)、別の形式で圧縮し直す(エンコード)処理です。中身を作り直すので、コーデック、ビットレート、解像度、フレームレートを変えられます。その代わり、処理に時間がかかり、非可逆圧縮から非可逆圧縮への変換では、変換するたびに画質が落ちます。
中身のコーデックはそのままで、MXFからMOVのように入れ物だけを替えたいなら、リラップで済みます。圧縮し直さないので画質は落ちず、処理も速く終わります。変換先の入れ物が中のコーデックに対応しているかどうかで、リラップで済むか、トランスコードが必要かが決まります。
変換先のコーデックの選び方は、H.264とH.265(HEVC)の違い|書き出しで迷わない判断軸で詳しく扱っています。
トランスコードで間違えやすい点
変換で抜け落ちやすい情報があります。確認しておきたいのは次の点です。
- 音声のチャンネル数。多チャンネルの音声が、ステレオにまとめられたり一部だけになったりする
- タイムコード。開始のタイムコードが00:00:00:00に戻ってしまう
- 色の範囲と色空間の情報。書き出したファイルの黒が浮く、色が薄くなる
- フレームレート。スマホの動画は撮影中にフレームレートが変わる可変フレームレートのことがあり、そのまま編集すると音と映像がずれる
スマホの素材で音がずれるときは、一定のフレームレートにトランスコードしてから編集すると解消することが多いです。日本の放送向けでは、29.97fpsと30fpsを取り違えると尺が合わなくなるので、変換の設定でフレームレートを必ず確認します。
よくある質問
トランスコードとエンコードの違いは何ですか
エンコードは映像を圧縮してファイルにする処理で、トランスコードはすでに圧縮された映像を復号して圧縮し直す処理です。トランスコードの中にエンコードの工程が含まれている、という関係です。
トランスコードすると画質は落ちますか
H.264やH.265などの非可逆圧縮どうしで変換すると、少しずつ画質が落ちます。ビットレートを十分に取れば見た目の劣化は抑えられますが、変換の回数はできるだけ減らすのが基本です。
トランスコードに使える無料のソフトはありますか
FFmpegとHandBrakeは無料で使えます。DaVinci Resolveの無償版でも、読み込んだ素材を別の形式で書き出せます。
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