現場用語送出配信

送出監視

playout monitoring / ソウシュツカンシ

放送に出ている映像と音声が正常かどうかを常時見張り、異常を検知して知らせる運用のことです。黒画面、フリーズ、無音、無変調、ラウドネスの逸脱を機械が判定し、人が運行表と照らして最終確認します。

監視する対象
放送本線の映像・音声、送信所からの戻り、エンコード後のTS、配信のストリーム
映像の主な検知項目
ブラックフレーム(黒画面)、フリーズ(静止)、カラーバー、映像信号の消失
音声の主な検知項目
無音、片チャンネル落ち、レベル過大、ラウドネスの目標値からの逸脱
伝送の主な検知項目
無変調、TSのビットレート異常、PIDの消失、誤り訂正後のエラーレート
判定の作り
「しきい値を何秒間超えたら異常とみなす」という時間の条件を組み合わせる
人による監視
監視卓で運行表と映像・音声を照らし合わせ、品質と進行を確かめる
ラウドネスの基準
日本のテレビは-24 LKFS(ARIB TR-B32)

放送が止まったことに視聴者より遅く気付く、という事態を避けるための仕組みが送出監視です。映像が真っ黒になった、同じ絵で止まっている、音が出ていないという状態を、人の目より先に機械が判定します。難しいのは検知することではなく、演出との区別を付けることです。

送出監視が現場で行われている場所

放送局のマスターでは、監視卓に多くのモニターが並び、放送本線の映像と音声、送信所からの戻り、系列局へ送っている回線、エンコード後のTSがそれぞれ表示されます。担当者は運行表と見比べながら、予定どおりの素材が出ているか、映像と音声の品質が基準どおりかを常時見ています。自動運行に障害が出た場合は、手動送出に切り替える判断もここで行われます。

機械による判定は、監視装置や監視プローブが担います。放送本線のSDIやIPストリーム、多重化後のTSを入力として、黒画面、静止、無音、無変調、ビットレートの異常などを判定し、しきい値を超えたらアラームを上げます。CMの枠が想定どおり埋まっているか、ラウドネスが目標値から外れていないかも同じ装置で見られることが多いです。

配信側でも同じ考え方が使われます。HLSやDASHのマニフェストとセグメントを取りに行き、セグメントが更新されているか、再生できるか、字幕が付いているかを定期的に確かめます。クラウドマスターのように設備が手元にない構成では、この自動の見張りが運用の中心になります。

送出監視の仕組み

黒画面の判定は、画面全体の輝度が一定値を下回った状態が一定秒数続いたかどうかで行います。フリーズは、連続するフレームの差分が一定値を下回り続けたかどうかで判定します。無音は、音声レベルが一定値を下回る時間の長さで判定します。どの項目も、しきい値と継続時間の2つの条件の組み合わせになっている点が共通しています。

同じ考え方は汎用のツールでも試せます。FFmpegには黒画面を検出するblackdetectとblackframe、静止を検出するfreezedetect、無音を検出するsilencedetect、ラウドネスを測るebur128のフィルタがあり、しきい値と継続時間を引数で指定します。納品前の素材チェックや、監視のしきい値を決める前の検証に使えます。

伝送の側では、変調がかかっているか、TSのビットレートが想定の範囲にあるか、必要なPIDが流れ続けているか、誤り訂正後のエラーレートが基準内かを見ます。映像は正常に見えているのに受信側で映らない、という障害はこの層で検知されます。

送出監視でアラームを設計するときの注意点

いちばん厄介なのが、演出と異常の区別です。番組の中で意図的に暗転する場面、無音になる場面、静止画を出す場面は普通にあります。しきい値を厳しくすると、正常な放送でアラームが鳴り続けます。継続時間を数秒に伸ばし、映像と音声の条件を組み合わせ、運行表上の区分によってしきい値を切り替える設計が取られます。

鳴りすぎるアラームは無視されるようになり、本当の障害を見落とす原因になります。そのため、鳴らす条件と、鳴ったときに誰が何をするかを合わせて決めておきます。段階を分けるのが一般的で、記録だけ残す軽度、卓で音を鳴らす中度、当直へ電話や呼び出しをかける重度という3段くらいに分けます。

記録の残し方も設計に入ります。アラームが上がった時刻と、そのときの映像と音声を数十秒ぶん残しておくと、後から原因を追えます。放送事故の報告では、いつ何が出ていたかを時刻で示す必要があるため、監視の記録はそのまま資料になります。監視装置の時刻が局の時計装置と合っているかも確かめておく項目です。

よくある質問

ブラックフレームの検出はどう判定していますか

画面の輝度が指定した値を下回るフレームが、指定した秒数以上続いたときに黒画面とみなすのが基本です。1フレームだけ黒い場面は編集で普通に出るため、継続時間の条件を入れて誤検知を避けます。判定の値は、番組の種類や局の運用基準に合わせて決めます。

無音の検知で番組の静かな場面をどう除きますか

レベルのしきい値を下げすぎないことと、継続時間を長めに取ることで多くは避けられます。それでも残る場合は、映像側の条件と組み合わせて、映像が動いているのに音だけ完全に無い状態に絞るという作り方をします。

送出監視と送信監視は同じですか

別のものを見ています。送出監視は放送に出ている映像と音声の中身が正しいかを見ます。送信監視は送信機や中継局の動作状態が正常かを見ます。中身は正常でも送信機が止まっていれば視聴者には届かないため、両方が必要です。

似ている用語との違い

名前主に使う場面送出監視との違い
送出送り出す業務送り出す側の業務。送出監視はその結果が正しく出ているかを見る側
送信監視送信所の状態の監視送信機や中継局の動作状態を見張ること。送出監視は中身の映像・音声の品質を見る
ラウドネス音量の管理音の大きさを測る指標。送出監視の中で常時見張る項目の1つ

関連する用語

最終更新